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リモートワークに重要となる、相手に伝える技術 / わかりやすく〈伝える〉技術(著)池上彰

・話にはリードをつける
・文章は逆三角形構造にする
・マジックワードを補助線にする

上記は、「わかりやすく<伝える>技術(著)池上彰」に書かれている内容です。

著者のNHKやフリーの記者やニュースキャスターとして実際に経験した、相手に伝える技術が書かれています。

私は、ちょうどとある企業で、「相手に伝わる話し方」について、お話する機会があり、どういう内容にするか考えいてるときに本書に出会いました。社会人の新人でうまく話せないという人向けに導入書として良いのではないでしょうか。
また、なぜ、企業において「相手に伝わる話し方」が重要になっているかを考えたのですが、昨今、リモートワークが多くなっているからこその原因があると感じています。たとえば、ビデオ会議においては、ノンバーバルなコミュニケーションが難しいなかで、ちゃんと相手に伝えられずにストレスを抱えている人たちは増えているのではないでしょうか。

ビジネスの現場で、相手にうまく伝わらない、相手からわかりにくいと言われた人は、是非一読ください。

話にはリードをつける

私はNHKに記者として採用されました。新人研修では、まず原稿の書き方の訓練を受けます。ここで、こう言われました。「原稿を書くときには、必ずリード、つまり『これはこういうニュースですよ』という短い文章から始めること。それから中身に入っていきなさい」NHKにかぎらず放送局のニュースを見ると、それぞれの項目の冒頭に、短い文章で中身の紹介があります。これが「リード」です。前文という意味です。
引用:池上彰. わかりやすく〈伝える〉技術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.132-136). 講談社. Kindle 版.

相手に何かを伝えるのであれば、はじめに相手に話の「地図」を渡すとわかりやすい説明になるとあります。「地図」とは、「いまからこういう話をしますよ」という要約のようなものになります。

NHKなどの放送業界では、その説明のための「地図」をリードと読んでいるそうです。

文章の場合であれば、読んでわからなくなれば、前に戻って読み返すことができますが、テレビなどの放送の場合は、わからなくなっても戻ることができません。そのため、予め内容を伝えておくことで、聞く側に心の準備をしてもらうことで、話がはいりやすくなります。

話がわかりにくい人というのは、話をいくら聞いていても要領を得ないということではないでしょうか。

延々と話が続くのですが、結果何が伝えたいのかが見えてきません。しかも、いつまで続くのかもわからないので、思わず「何がいいたいのか整理してから言ってもらえます?」なんて言ってしまったりします。

話の主題がわからないまま話が進むと、聞き手側は何を聞いたらよいかがわからないため、混乱してしまいます。しかも、ビジネスの場では、忙しい合間のコミュニケーションになってしまいます。飲み会の場などであれば、そういう話でもいいかもしれませんが、短い時間で的確に伝えなければならないのであれば、最初に主題を伝えて、相手に聞く体制を作ってもらうことも大切です。

文章は逆三角形構造にする

放送や新聞では、「記事は逆三角形に書け」と言われます。逆三角形とは、分量ではなく、ニュースバリューが大きなものから書けということです(図1‐1)。1こういうことがありました。(リード)2詳しくは、こういうことでした。(本記)3それはこういう理由でした。(理由・原因)4警察などが調べています。(見通し)5ちなみにこんなこともありました。(エピソード)となるわけです
引用:池上彰. わかりやすく〈伝える〉技術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.208-213). 講談社. Kindle 版.

放送などでは、一分四十秒分の原稿を書いたとしても、アナウンサーが読んでるうちに時間が足らなくなり、最後の十秒分を削るということもよくあるとあります。そいういう場面でも、伝えるべきことを伝えるために、重要な情報から発表していくことで、時間ぎれになったとしてもいつでも止めることができるとあります。

話し方の順序としては、ついつい時系列で話をしてしまう人も多くいます。しかし、時系列で話した場合は、時間がなくなってしまうと肝心な結論部分がわかりません。

ビジネスの場でも、「結論から先にいう」ということを言われますが、先程のリードが「結論」にあたり、ここではその後の話し方の流れになっています。

たとえば、会社での定例で自分のプロジェクトの進捗報告を逆三角形構造で伝えることを考えました。進捗方向とはあまり代わり映えしないので曖昧な報告をしていることも多いのではないでしょうか。ここでは、開発遅延していたものが、遅延になっていた問題を解消し、予定を戻した場合を想定した報告になっています。

1. 先週時点での進捗遅れ1週間を取り戻し、予定どおりになりました
2. 開発の課題だった部分が解消し、滞りなく進めることができました
3. 課題のxxxについては、CTOにも調査頂き、xxxという要因でした。
4. 応急処置は、xxxとしています。再発防止策は、リリース後にxxxをする予定です。
5. 今回の件では、CTO、xxxさんの支援のおかげで解決することができました。

こういった内容であれば、1 から順に報告していけば、時間がなければその時点で終了しても大事な部分が伝えられることになります。

マジックワードを補助線にする

マジックワードとは、相手に自分の話を面白く、興味深く聞いてもらいたいときに効果のある言葉のことです。まずは、「大変なんです」あるいは、「大変大変、聞いてよ」という言葉です。相手に自分が体験したことを面白く伝えたい。自分の気持ちをわかってほしい。そんなとき、まず、「ねえ、ねえ、大変」という言葉から始まる文章を考えましょう。文章ができあがったら、冒頭の「ねえ、ねえ、大変」という言葉を削除してしまいます。そうすると、勢いのある、説得力のある文章がつくれます。実際には隠れてしまうので、「隠れマジックワード」なのです。
引用:池上彰. わかりやすく〈伝える〉技術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1568-1574). 講談社. Kindle 版.

マジックワードとは、意図的な定型文を用いることで、それに続く文章がわかりやすいものになるとあります。他の例として、「どうしても報告したいことがあるのです」とつけると、その後に続く文章は「それは、xxxです」と言いたくなります。

この定型文を使って文章を作成すると、必ず結論を書かざるをえません。そして、最後に定型文の部分を削除してしまえばよいとあります。

これは、定型文を「補助線」として活用している例です。他にも「補助線」となる例として、「つまり」や「言い換えれば」という文章が紹介されています。

フレームワークなどでもいえることですが、人は「空白」があると埋めたくなります。そして、あとに続く定型文があると、その続きを書いてしまうものです。

こういった補助線を設けることで、文章を書くことで相手に伝わりやすい文章を作成することができます。

まとめ

本書では、他にもわかりやすい「伝えるための」ノウハウが多く掲載されています。プレゼンテーションやロジカルに説明するための本や相手からYesを引き出すための本というのもありますが、「伝える」こともとても大切になってきていると感じます。

それは、リモートワークになったことで、現在の自分の状況をわかりやすく伝えなければならない機会が増えたからです。

リモートワークでは、お互いに見えないため、相手が何をやっているかがわかりません。そういった状況では、ちゃんと「伝える」ことが大切になります。

ぜひ、報告に課題を感じている方はご一読ください。




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