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【1日1冊】自律する組織とリブランディング/来場者4倍のV字回復! サンリオピューロランドの人づくり(著)小巻亜矢

こんにちは。

今日は、サンリオピューロランドのテーマパークの来場者を4倍(2015年と2019年の1日あたりの来場者数比較)に成長させ、年間来場者数を2014年度126万人から2018年度219万人に成長させた、株式会社サンリオエンターテイメント 代表取締役小巻亜弥氏の本です。

テーマパークのV字回復といえば、元USJ 森岡毅氏のマーケティング本が有名ですが、サンリオピューロランドは自分(30代後半男性)では、ターゲットが違うためか知りませんでした。

本書は、どうやって赤字体質のテーマパークを2年で再建した組織と事業の改善案と、代表の小巻氏のリーダーシップについて学べる本です。

本日の1枚まとめ

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2014年の経営危機

2014年のピューロランドの状態は、来場者数も少なく赤字経営の状態でした。課題として、マネジメントの意識の低さ、現場スタッフの練度の低さ、レストランの品質の低さ、施設の老朽化など、事業が低迷している理由が溢れているようでした。しかし、ここのオペレーション上の課題はあるが、これから復活・成長させることができると考えます。

PEST分析 (サンリオピューロランド2014年時点)
・Politics:クールジャパン戦略の流れ、サブカルチャーへの注目
・Economy:消費の流れが、「モノからコト」へ
・Society:コスプレやハロウィンの流行
・Technology:デジタル化によるIPを活用した低コストのコンテンツ展開

自律する組織への改革

初期の課題であった「人」について、コミュニケーションの問題として、解決するために施策を実行しています。どれもピラミッド型組織のマネジメントではなく、ネットワーク型組織のマネジメントになっています。トップダウンのようなマネジメントではなく、メンバー毎に考えるきっかけや、メンバー同士の繋がりを強化するための施策が中心になっています。

IBMが1992年頃の低迷期にコンピューターメーカーから、ソリューションビジネスのサービス業へと転換させる際に、旧来の優秀な官僚型リーダーシップではなく、即決即断のフラットであり、チームの力を引き出すサーヴァント側リーダーシップを普及させています。テーマパークにおいてもサービスを提供する場合は、メンバーの自主性を引き出しながら中長期的な目標を達成させるというリーダーシップがうまく効果がでると感じました。「新しい経営学(著)三谷宏治」にIBMやピューロランドの事例が記載されています。

組織改善の施策
・ワークショップ(社員200人、アルバイト700人)
・ウォーミングアップ朝礼
・対話フェス
・コンセプト会議
・バックヤードの設備の改善(トイレの修繕)
「根本的な問題は、各部署やスタッフの間で情報が共有されていない点にあります。一人ひとりが悪いとか、怠けているというのではありません」コンセプトや理念がよく伝わってこない。スタッフの教育がなされていない。ショー、イベントとグッズの連動がない。館内の案内表示に統一感がない。これらはすべて、コミュニケーションが足りないから起こる問題です。みんなで話をする機会を増やすことが、絶対に欠かせません。

小巻 亜矢. 来場者4倍のV字回復! サンリオピューロランドの人づくり (Japanese Edition) (Kindle の位置No.285-290). Kindle 版.

リブランディング

事業を改善するにあたって、サンリオピューロランドの「IP」や「ビジョン」は価値があるというのがPEST分析結果として捉えているため、事業としての強みはそのままにターゲットや提供方法を変化させることで成果を上げています。

「IP」や「ビジョン」は同じですが、メインターゲットを変更し、ピューロランドのブランドを刷新(リブランディング)しています。本書のなかでも「意外に思ってもらえれば成功です。」とあり、ターゲットの変更にあわせてコンテンツの提供方法=見せ方で改善していると思います。

具体的には下記のような施策を実施していますが、子供相手ではなく、大人女子にしたことにより、スタンダードな訴求だけでなく、ストーリーのあるビジュアルであったり、インスタ映え、アンバサダー制度など、子供ではなかった新しい施策を実施しています。

事業改善の施策
・メインターゲットの変更する(子供から大人女子へ)
・プロモーションのビジュアル
・飲食をインスタ映え
・ピューロランドのオリジナルグッズ
・アンバサダー制度

またテーマパークの入場者数の規模は下記のようなランキングになっています。

日本では、東京ディズニーランド・ディズニーシーが圧倒的であることはわかりますが、もともとピューロランド自体も100万規模であれば大きかったことがわかります。(*USJも1500万人程度の年間入場者数はあるはず)

全国の主要レジャー・集客施設 入場者数ランキング 2018

テーマパーク
※施設名(所在地):入場者数(前年度比)<以下同>
1. 東京ディズニーランド・東京ディズニーシー(千葉県):3010万人(100.3%)
2. ハウステンボス(長崎県):288万1000人(99.6%)
3. サンリオピューロランド(東京都):198万人(109.6%)
4. 志摩スペイン村 パルケエスパーニャ(三重県):119万7000人(97.6%)
5. 東京ドイツ村(千葉県):103万4272人(91.3%)
* 昨年2位だった、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、入場者数が非公開となったためランク外となった。

引用元:https://www.travelvoice.jp/20180904-116977

テーマパークだけでなく、コンテンツビジネスやサービス業の再成長を検討している人は、ぜひご一読ください。

本日紹介した書籍

メモ

USJの復活本がまた読みたくなりました。規模としては、1000と100万の10倍の違いがありますが、ターゲット変更の部分などは似ている部分があると思いました。

支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。