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『あたらしい憲法のはなし』 「35頁で日本を知れる」と、熱い眼差しで

○はじめに

このnoteは、まだ本を読んでいない人に対して、その本の内容をカッコよく語る設定で書いています。なのでこの文章のままあなたも、お友達、後輩、恋人に語れます。 ぜひ文学をダシにしてカッコよく生きてください。

『あたらしい憲法のはなし』文部省

【『あたらしい憲法のはなし』を語る上でのポイント】

①憲法に興味ありますよアピールする

②全国民が読むべきと薦める

の2点です。

①について、憲法に関心あるってなんかすご〜いって思わせられます。でも実際に憲法に関心を持つのは大切です。

②について、中学1年生むけに書かれた平易な文章を35ページ読むだけで本当に憲法について知れます。なぜ今中学校の授業に採用されていないのか不思議なくらいです。


○以下会話

■全国民が読むべき本

 「ちょっと勉強になる本か。そうだな。そしたら『あたらしい憲法のはなし』がオススメかな。この本は、第二次世界大戦が終わった直後に中学1年生の社会科の教科書として今の文部科学省が出版した本なんだよ。内容はタイトルから分かるように日本国憲法の話なんだ。

憲法について詳しく知ってる?ほとんど知らないよね。でも日本の活動の根底にあるのが憲法で、なぜ政党があるのか、なぜ国会中継があるのか、憲法9条とはなんなのか、どうすれば国が上手く治るのか、が書いてあるのも憲法なんだ。

ネットで「日本国憲法」って検索すれば、すぐ日本国憲法の全文が読めるけど、そのまま読むのは厳しいよね。でも、『あたらしい憲法のはなし』は、今の日本国憲法について、中学1年生でも分かるように優しい言葉で書かれた本だから、すごく理解しやすいんだ。それにたった35ページの薄い本だからすぐ読めちゃうんだよ。でも当然教科書として使われていた本だからしっかりと書かれてるんだ。これを読みさえすれば、周りのほとんどの人より憲法に詳しくなれるよ。

■日本国憲法は国民が作った

まず最初に、日本国憲法の大前提が書かれてるんだ。それは「新しい憲法は国民全体で作った」という前提なんだ。元々日本にあった憲法は第日本帝国憲法で、これは「明治天皇が作って国民に与えたもの」とされてたんだよ。でも、新しく作られた日本国憲法は、「国民が主権で、国民が作った憲法」だから、憲法を大切にして、憲法に何が書いてあるか知らないといけないんだ。

■民主主義は戦後の価値観

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憲法は第一条から第百三条までと前文で構成されているんだよ。前文は民主主義、平和主義、主権在民主義の3つについて記されていて、この3つの主義が根底となって一条から百三条までが成立しているんだ。

この3つの中の1つの「民主主義」は、何かを決定するときに一人の意見だけでなく多くの人の意見を考慮して決めていく考え方のことなんだ。これ、今となっては当然の考えだよね。誰もが知ってる言葉だし、しっかり理解してるけど、この『あたらしい憲法のはなし』ではしっかりと

民主主義とは、一体どういうことでしょう。皆さんは、はっきりとこれを知っておかなければなりません。しかも正しく知っておかなければなりません。

って、くどく書いてあるんだよ。すなわち、戦前は民主主義という言葉は全く馴染みがなかったってことなんだ。今の国民主権である「民主主義」は戦後に築かれた価値観であって、選挙で議員を決めたり、国民の意見の世論が政治を動かすことは、わずか80年前は当たり前じゃなかったんだよね。凄いよね。

■憲法九条は2つの要素で構成されている

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次に、戦争の放棄について。日本国憲法では日本が決して戦争をしないように2つの決まりを設けたんだよ。1つは、他国と争いが起きた時、戦争によって解決しようとしない。もう1つは、兵隊も軍艦も飛行機も戦争をするためのものは一切持たない、の2つなんだ。この2つが憲法9条の内容なんだ。この2つによって日本は戦争をしない国になれてるんだよ。

■安倍さんが改憲したい理由

安倍さんは憲法を変えて「憲法への自衛隊明記」をしたいと思っているんだ。憲法では、「兵隊も軍艦も飛行機も持たない」って言ってるのに、日本はいま自衛隊も軍艦も飛行機も持ってるよね。これは「憲法違反じゃないのか」って思うよね。現状としては、あくまで自衛隊も、軍艦も、飛行機も、「自国を守るため」の存在であって、「戦争をするため」ではないから良いと解釈してるんだよ。

でも実際は、自衛隊も軍隊も名前が違うだけで武力を持っている点では一緒だよね。だから憲法学者のほとんどが、「自衛隊の存在は違憲だ」って言ってるんだよ。だから安倍さんは、自衛隊の存在を憲法に書くことで、自衛隊の違憲状態を解消したいんだよ。これだけ聞くと筋が通った真っ当な意見で、「改憲した方が良いじゃん」って思うかもしれないよね。だけど安倍さんは、1つ目の「他国と争いが起きた時、戦争によって解決しない」も消そうとしてるんだよ。もし自衛隊の存在が認められたら、自衛隊(軍隊に名前が変わってるかもしれない)によって武力行使ができるようになってしまうんだ。

実際、自民党が発表してる憲法改正案の九条の部分は

我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を 最高指揮官とする国防軍を保持する。

って書いてあるんだ。まあ憲法9条と自衛隊と戦争については、どう考えるかは人それぞれだけど、安倍さんのやりたい改憲が実現されたら、これまで日本を守っていた憲法9条は消えることは事実だよね。

■基本的人権も戦後の価値観

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次に基本的人権について書いてあって、その冒頭の文章が凄いんだ。

空襲で焼けたところへ行ってごらんなさい。焼けただれた土から、もう草が青々と生えています。みんな生き生きと繁っています。草でさえも、力強く生きてゆくのです。ましてや皆さんは人間です。生きてゆく力があるはずです。

これは、一般的な「一生懸命生きましょうね」っていう呼びかけではなくて、戦争で家も家族も失った中で、それでも学校で学んでいる中学1年生に向けた本物の言葉なんだよ。ボヤッと漠然とした一般的な言葉じゃなくて、当時のクラスの全員がしっかりと受け止められる、地に足ついた言葉なんだ。

そこから「基本的人権」について説明されている。基本的人権は、人間らしい生活に必要な「自由」と「平等」が認められる権利なんだ。人間が生きるうえで、自分の好きなところに住み、自分の好きなところに行き、自分の思いを言い、自分の好きな教えに従えられる権利なんだ。憲法では、この「自由と平等」は、決して侵されない権利だって書いているんだ。

民主主義と一緒で、基本的人権を中学1年生に対して、わざわざ説明しているってことは、それまでの日本では基本的人権が認められていなくて、好きな発言をして、好きな教えに従って、好きなように生きられなかったってことなんだ。基本的人権は今じゃ誰もが一度は聞いたことのある単語だけど、これが当たり前になっていない世の中を、僕らのおじいちゃんおばあちゃんは生きていたんだよね。

■月並みだが平和は尊い

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この本でドキッとさせられた文章があるんだ。

みなさんの中には、今度の戦争にお父さんや兄さんを送り出された人も多いでしょう。ご無事にお帰りになったでしょうか。それともといといお帰りにならなかったでしょうか。また、空襲で家やうちの人を亡くされた人も多いでしょう。今やっと戦争は終わりました。

1945年に終戦して、1948年から中学1年生の教科書としてこの『あたらしい憲法のはなし』が使われたから、まさに学んでる生徒のお父さん、お兄さんが戦争に行ってたんだよね。「今やっと戦争は終わりました」って凄い言葉だよね。当時の中学生がこの本を読むときの言葉の重みは、僕らとは全く違うよね。この本を読むだけで、憲法について知ることができて、憲法について知ることは日本の根底がわかることだから是非読んでみて。本当におすすめだよ。」


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