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『白』芥川龍之介 「芥川初心者にオススメ」と、ハードル低く

このnoteは、本の内容をまだその本を読んでない人に対してカッコよく語っている設定で書いています。なのでこの文章のままあなたも、お友達、後輩、恋人に語れます。 ぜひ文学をダシにしてカッコよく生きてください。

『白』芥川龍之介

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【芥川龍之介を語る上でのポイント】

①『芥川』と呼ぶ

②芥川賞と直木賞の違いを語る

③完璧な文章だと賞賛する

の3点です。

①に関して、どの分野でも通の人は名称を省略して呼びます。文学でもしかり。「芥川」と呼び捨てで語ることで、文学青年感1割り増しです。

②に関しては、芥川賞は純文学、直木賞は大衆文学に贈られる賞です。それ以上は僕もよくわかりません。調べてください。

③に関しては、芥川はその性格上完璧を求めるが故に短編が多いです。僕個人短くて凝ってる文章が好きなので、まさに芥川の文章は僕の理想です。


○以下会話

■芥川龍之介入門に最適

 「簡単に読める文豪の小説か。そうだな、そしたら芥川龍之介の『白』がオススメかな。『白』は、白という名前の一匹の犬が主人公の短いお話で、児童文学として読まれている小説なんだ。小学生でも読めるくらい、分かりやすく簡潔に書かれている小説だから、芥川の文章が難しいなって思っている人は試しに読んでみるのも良いと思う。

■真っ黒になった白

『白』は白という一匹の真っ白な犬が、犬殺しに出会うところからはじまるんだ。明治時代の当時は狂犬病の犬がたくさんいて、その予防のために野良犬を駆除する人を「犬殺し」って呼んだらしいんだ。

その犬殺しは、白の友達の黒を後ろから狙っていたんだ。白は「黒君危ない」って吠えようとしたんだけど、瞬時に犬殺しに「もし吠えたらお前を殺すぞ」って鋭く睨まれたんだ。黒を助けたかったんだけど、犬殺しの睨みに怯えて、一目散に白は逃げたんだ。泥水を跳ねながら、ゴミ箱に当たりながら、走ったんだ。

すると後ろから「きゃあん。きゃあん。助けてくれえ!」って黒の声がして、黒が捕まったことを悟ったんだよ。

白は落ち込みつつも、飼い主の家に帰るんだ。庭ではお姉ちゃんと弟の二人の子供が遊んでいたんだよ。白は言葉を理解してくれないと知りつつも「先ほど犬殺しに会いました。私は助かりましたけど、隣の黒は捕まってしまいました。」って話しかけたんだ。

すると、二人は目を丸くして「この黒い犬はどこの犬だろう」って言うんだよ。

白は背中の毛が逆立つように感じて、恐る恐る自分の前足をみると、牛乳のように白かった毛が真っ黒になっていたんだ。胸も腹も後ろ足も尻尾も全部真っ黒になっていて、焦った白は「自分は白だ」って一生懸命に吠えたんだ。

お姉ちゃんが「あら、どうしましょう。この犬はきっと狂犬だわ」といって今にも泣き出しそうになるんだよ。それをみた弟が正義感から落ちてた棒で白を叩くんだ。

白は家を飛び出て距離をとって「お嬢さん、お坊ちゃん、私はあの白ですよ」と吠えるんだ。弟は「まだ吠えてやがるな」と言って砂利を投げるんだよ。ビシャビシャっと砂利が当たって、悲しい気持ちで白は逃げるんだ。

■瞳に写った白

家を失った白は、野良犬となって街で暮らすことになるんだ。街中にはどうしても、水溜りとか、黒塗りの車とか、鏡になるものが出てきて、黒くなった自分の姿が写し出されるんだよ。白は黒色の自分を見たくなかったから、いつも下を見て歩いていたんだ。

そこから白は、数人の子供に虐められていた子犬を助けたことをきっかけに、あらゆる人助けをしていくんだ。白の功績は世間にも認知されていって「見知らぬ犬が人助け」という見出しであらゆる新聞に載っていくんだよ。

だけど白はずっと「僕はあの日、黒君を見殺しにした」という後悔を心に抱いて生きていたんだ。

ある秋の真夜中、衰弱しきった白は、数ヶ月ぶりに元の家に戻るんだ。空に浮かぶ月をみて、「お月様、私は黒君を見殺しにして以来、あらゆる危険と戦ってきました。黒い自分をみると、いっそ死んでしまいたいと思いましたが、今日まで生きながらえました。それで最後に可愛がってくれた飼い主の元に帰ってきました。朝になったらきっとお嬢さんとお坊ちゃんが、私を野良犬だと思って叩き殺すでしょう。ですが私はそれが本望です。」と言うんだ。

朝になって子供たちの声で白は目を覚ますんだ。白は「ああ、見つかった」と、死ぬ覚悟をするんだ。

すると坊ちゃんが大声で「お父さん!お母さん!白が帰ってきました!」と叫んだんだ。お嬢さんが白を両手で抱いて、白を見つめるんだよ。白はじっとお嬢さんの目を覗くと、そこには黒い瞳の中に米粒ほどの小さい白い犬が写っていたんだ。

これで『白』は終わり。

■芥川っぽくない小説

白は真っ黒になって以来、自分の姿を映す鏡を恐れていたんだけど、最後にお嬢さんの瞳をしっかりと見て、そこに白い自分の姿を確認するっていうオチは見事だよね。情景が浮かぶ。

『白』は、終始芥川っぽくない雰囲気があって芥川の新たな一面を発見できた気がするよね。

これといった考察とかはないんだけど、単純に読み物として面白いと思う。もし芥川に難しいイメージ持ってたら、試しにぜひ読んでみて。」




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