マガジンのカバー画像

国税関係

38
元国税職員による税務調査の記事や税務職員になるための情報を掲載しています。
運営しているクリエイター

#経理

税務調査の話 その18 〜非違事項別解説⑫ 経費前編〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は経費を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 基本は仕入・外注費と同じ不正の手口については、仕入・外注費と基本的には同じです。詳しくはこちらをご参照下さい。 本稿では、経費に特有の(特徴的な)非違事項について記述します。 個人的経費の付け込み法人の場合は役員個人の経費を会社の経費に計上し、個人事業主の場合は家事費を事業所得計算上の必要経費

税務調査の話 その19 〜非違事項別解説⑬ 経費中編〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回も前回に引き続き経費を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 他科目交際費交際費となる支出を交際費以外の科目(会議費等)で処理していることです。 法人税では、交際費の損金不算入制度(経費にできない)があります。戦後間もない時代、冗費を節約して資本蓄積を促進する目的で、日本全体で効果のあやしい交際費の無駄遣いはやめようということで導入されました

税務調査の話 その20 〜非違事項別解説⑭ 経費後編〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は誤りやすい経費について取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 調査官からすると申告是認(何も指摘できないこと)は是非とも避けたいところです。そのため、過去の経験から誤りやすいと思われる処理を丹念に調べることが多いです。 本稿では、筆者がよくチェックしていたものをいくつかご紹介します。なお、これら以外にもたくさんあると思いますが、網羅性は意識

税務調査の話 その21 〜非違事項別解説⑮ 貸倒損失〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は貸倒損失を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 貸倒損失の正しい処理については、筆者の税務調査の経験上、税理士の中でもきちんと理解していない方が多かった印象です。それでは、税務調査の観点からみていきましょう。 貸倒損失が認められる場合法人税基本通達9-6-1〜9-6-3に規定されています。 1 金銭債権が切り捨てられた場合(9-6-1)

税務調査の話 その22 〜非違事項別解説⑯ 消費税の調査概論〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は消費税固有の非違を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 消費税の税務調査消費税を単独で調査することはあまり多くないです。というのも、通常は法人税や個人なら事業所得に連動する部分が多いからです。売上計上漏れが見つかったら、その分の消費税も追徴するというような関係ですね。 一方で、法人税の納税義務がない場合でも、消費税の納税義務がある者も存在

税務調査の話 その23 〜非違事項別解説⑰ 消費税固有の非違〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は消費税固有の非違のうち課否判定の具体例を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 給与か外注費かコンプラに携わっている方だと偽装請負の話と思うかもしれません。実は大いに関係があります。 結論から言うと、外注費は(課税)資産の譲渡等に該当するため課税仕入になりますが、給与は資産の譲渡等に該当しないため課税仕入になりません(不課税仕入)。資産の譲

国税専門官になろう!番外編Q&A ~金時計を取りたい!~

税務大学校で金時計を取るには?という観点のご質問をいただきましたので、質問者様のご了承の下、Q&Aを掲載します。 これまでの記事はこちら 過去問の入手A 手続は一般の行政文書開示請求と同じです。国税庁については、こちらに案内があります。 行政文書の名称は正確でなくても特定できればOKなのであまり神経質にならなくて大丈夫です。 留意点としては、実際にコピーするのは税大本校の職員=先輩なので、身元がバレるのと手間を掛けさせることになります。私は卒業式の日に嫌味を言われまし

国税審判官になろう! 弁護士・公認会計士・税理士向け ~書類選考対策・面接対策~

筆者は、公募されている任期付の国税審判官の採用内定をいただいたことがあります。結局、内定は辞退しましたが、今でもやってみたかったなと思います。 そこで、国税審判官の仕事内容、処遇(年収)、採用されるには?といった点を記事にまとめました。書類選考対策(有料)・面接対策(無料)にもなり、また、どの程度の職務経歴なら合格できるのかというレベル感も分かる内容になっているかと思います。 国税審判官の年収(任期付の場合)皆さんが一番興味があると思うのは年収だと思うので、まずここから。

有料
500

会計監査と税務調査の違い

両方経験した筆者が思いつくままに書きましたので、ご興味があればお読みください。 目的会計監査は、財務諸表(決算書)に全体として重要な虚偽の表示がないことを証明する手続です。”重要な”の程度は、投資家の投資意思決定に影響があるかないかで決まります。そして、財務諸表の適正性を会社から独立した立場の監査人が保証します。保証という言葉がとても大事です。重要な虚偽表示を看過した場合(粉飾決算の見逃し)、監査人の責任問題となります。 税務調査は、納税者の申告内容に誤りがないことを確認

国税局資料調査課の税務調査がよく分かるニュース記事

税務調査の記事が多い幻冬舎ですが、その中からおすすめのニュース記事のご紹介です。 税務調査のエリート集団!「国税局資料調査課」の凄さ 元国税職員の私から見てもよくまとまっていると思います。 私が書いた税務調査に関する過去noteはこちらから

税務調査関係のニュース 〜税務通信・経営財務から〜

4/26号の記事から2点ご紹介します。 銀行調査のオンライン化税務通信によると、これまで郵送により納税者の預金取引を照会していましたが、実証実験の成果が良好のため、2021年10月から全国的に本格導入されるようです。 平均日数は次のとおりで、大幅に短縮されます(有料版本紙より引用)。 書面照会 11.5日 オンライン 2.5日 これにより深度ある調査の件数が増え、不正発見割合の向上も見込めそうですね。 将来的には、マイナンバー・法人番号と紐付けられた口座を常時リアル