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国税関係

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元国税職員による税務調査の記事や税務職員になるための情報を掲載しています。
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2021年1月の記事一覧

税務調査の話 その18 〜非違事項別解説⑫ 経費前編〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は経費を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 基本は仕入・外注費と同じ不正の手口については、仕入・外注費と基本的には同じです。詳しくはこちらをご参照下さい。 本稿では、経費に特有の(特徴的な)非違事項について記述します。 個人的経費の付け込み法人の場合は役員個人の経費を会社の経費に計上し、個人事業主の場合は家事費を事業所得計算上の必要経費

税務調査の話 その19 〜非違事項別解説⑬ 経費中編〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回も前回に引き続き経費を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 他科目交際費交際費となる支出を交際費以外の科目(会議費等)で処理していることです。 法人税では、交際費の損金不算入制度(経費にできない)があります。戦後間もない時代、冗費を節約して資本蓄積を促進する目的で、日本全体で効果のあやしい交際費の無駄遣いはやめようということで導入されました

税務調査の話 その20 〜非違事項別解説⑭ 経費後編〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は誤りやすい経費について取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 調査官からすると申告是認(何も指摘できないこと)は是非とも避けたいところです。そのため、過去の経験から誤りやすいと思われる処理を丹念に調べることが多いです。 本稿では、筆者がよくチェックしていたものをいくつかご紹介します。なお、これら以外にもたくさんあると思いますが、網羅性は意識

税務調査の話 その21 〜非違事項別解説⑮ 貸倒損失〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は貸倒損失を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 貸倒損失の正しい処理については、筆者の税務調査の経験上、税理士の中でもきちんと理解していない方が多かった印象です。それでは、税務調査の観点からみていきましょう。 貸倒損失が認められる場合法人税基本通達9-6-1〜9-6-3に規定されています。 1 金銭債権が切り捨てられた場合(9-6-1)

税務調査の話 その22 〜非違事項別解説⑯ 消費税の調査概論〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は消費税固有の非違を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 消費税の税務調査消費税を単独で調査することはあまり多くないです。というのも、通常は法人税や個人なら事業所得に連動する部分が多いからです。売上計上漏れが見つかったら、その分の消費税も追徴するというような関係ですね。 一方で、法人税の納税義務がない場合でも、消費税の納税義務がある者も存在

税務調査の話 その23 〜非違事項別解説⑰ 消費税固有の非違〜

元国税職員による税務調査のあれこれ。前回に引き続き非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。今回は消費税固有の非違のうち課否判定の具体例を取り上げます。 これまでの記事(税務調査の話その○) 給与か外注費かコンプラに携わっている方だと偽装請負の話と思うかもしれません。実は大いに関係があります。 結論から言うと、外注費は(課税)資産の譲渡等に該当するため課税仕入になりますが、給与は資産の譲渡等に該当しないため課税仕入になりません(不課税仕入)。資産の譲

税務職員(高卒区分)で働いてみての感想

この記事は、旧国家Ⅲ種(税務)の区分で採用された女性に書いていただいたものです。基本的にそのまま掲載しています。 はじめに世間では、大学に入るのが当たり前、大学に行かなきゃいい仕事に就けないと言われていますが、家庭の事情など、様々な理由から高卒で就職をする方も多いと思います。私自身もその1人ですので、実際に経験して感じた普通科のメリットを書いてみました。 ①大卒(国税専門官)と同じ仕事ができる一般的に高卒と大卒とで採用を分けている場合、それぞれ任せられる仕事が明確にわかれ