Google Maps Platform Gaming Solutionの概要とAR活用の可能性
Googleが先日一般公開した「Google Maps Platform Gaming Solution」がなにやら凄そうだ。
Googleは明らかにGoogle Map、Google Street View、Google Earthなどを通して地球規模のミラーワールド構築を目指しており、今回公開されたこのプラットフォームはそんなGoogleの野心的なデータを活用してサービスをつくることができる、という意味で非常に興味深い。
この記事では「Google Maps Platform Gaming Solution」を使うと何ができるのか、ARとのかけ合わせで何が可能になるのか、などを書いていきたい。
Google Maps Platform Gaming Solutionとは
Google Mapのデータを用いて現実世界を舞台にしたゲームを作成できる開発ツール。
要はPokemon GOのような物理世界と連動したサービスが簡単に作れるようになるプラットフォームだ。
2年前のリリース時には10社ほどの限られた企業への限定公開だったが、今回は審査付きではあるものの一般の企業やデベロッパー向けにも公開された。
まずこのプラットフォームは、さすがGoogleが提供しているだけあって、カバーしている建物数や更新スピードが凄まじい。
1億以上の物理世界の建物を3Dデータとして使用することができ、さらにそれらの情報が毎日2,500万件更新されている。
対応範囲も非常に広く、国単位では220カ国以上対応している。
Google Maps Platform gaming solutionでできること
3D化された何億もの建物、道路、ランドマーク、カフェ、公園などをゲームに取り入れることができる。
道路、建物、公園などのオブジェクトはUnityに取り込んでカスタマイズ可能。
こんな感じで特定の建物を好きなデザインにカスタマイズすることも可能。
2年前の限定公開時からのアップデートとして、「Mixed Zoom」と「Pathfinding」が追加されている。
「Mixed Zoom」とはユーザーから遠いエリアはざっくりレンダリングする一方で、ユーザーに近いエリアは高精細にレンダリングする機能で、これにより高精細でありながら広大なマップをユーザーに見せることが可能に。
「Pathfinding」とは、モンスターがユーザーを追いかけたり、特定のスポットに物資を運ぶ飛行機を飛ばす際にそれらの移動オブジェクトが経路をきちんと計算して自律的に移動するというもの。
Google Maps Platform gaming solutionを使って作られたデモアプリ
Parallel Recon
現実世界に並行世界を重ね合わせてプレイするようなゲームアプリ。
Derby Royale
本物の街の中でレースゲームをすることができるゲームアプリ。
Space Janitor
現実の街を掃除機で綺麗に吸い込んでいくゲームアプリ。
ARとのかけ合わせでできそうなこと
このプラットフォームは単なる面白スマホゲームアプリの作成に留まらず、ARとのかけ合わせで真価を発揮しそうだなと思っている。
ぱっと思いつく活用法は以下の2つ。
① Mirrorworldの実装
以下画像はKeiichi Matsudaさんがいた頃のLeap MotionのMirrorworldコンセプト。
自分の周りの環境をきちんと把握した上でそこに別世界を上書きしてあげることで、普段の何気ない街もゲームの世界に様変わりしたりする。
屋外空間においては、Google Maps Platform gaming solution × ARKit3のBody SegmentationでこのMirrorworldのコンセプトは一部実現できそう。
② ロケーションベースARのデメリットである参加人数の制約を解決
まだデバイスやデータセットが十分に普及・整備されていない今の状況ではリッチなAR体験を提供しようと思ったら場所を限定して端末を貸し出すロケーションベース体験にならざるを得ない。
しかし、当然そうすると体験を提供できる人数は限られてしまう。
その課題に対して、コアなAR体験は現地に実際に来た人に提供しつつ、Google Maps Platformを使って日本中、世界中の人が遠隔からその体験エリアに入り込んで、現地にいる人たちと一緒になって体験することが可能になるのではないだろうか。
(もちろんそのときはAR体験というよりはVR寄りな体験になると思うけれど)
まとめ
このようにAR的に非常に可能性を感じるのが、このGoogle Maps Platform Gaming Solutionだ。
MESONではこのような新しいプラットフォームを使って新しいARのユースケース開拓に取り組んでいる企業なので、一緒にプロジェクトをやっていくことに興味がある企業・開発者の人はぜひ連絡をもらえると嬉しいです。
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