見出し画像

メタバースやWeb3とは結局なにか? | 「メタバース」「Web3」「XR」の正体と関係性

「メタバース」や「Web3」は結局なんなのか説明して欲しいと言われたら、あなたはなんと答えますか?

それらの言葉を聞かない日がないくらい注目を集めていますが、意外と上記の質問にスパッと答えるのは難しいですよね。

さらに、「関連技術であるXR技術を含めた3つの技術の関係性はどうなっているか?」という問いに答えられる人もまだ少ない状況だと思っています。

私たちMESONは、XRを軸にしながらメタバースやWeb3などの関連領域も含めて事業を行う企業なので、上記の問いの言語化は非常に重要なのですが、ちょうど最近しっくりくる言語化と整理ができました。

捉えどころのない「メタバース」や「Web3」の概念、さらには「XR」も含めた関係性を掴む助けになればと思い、社内MTGでチームに話した内容を以下で書き綴っていきます。


「メタバース」「Web3」「XR」の正体

これから「メタバース」「Web3」「XR」の正体に迫っていければと思いますが、それを考えるにあたって、前提となるテクノロジー思想を1つセットしたいと思います。
ここから「メタバース」や「Web3」の話に入る前に少しだけ寄り道をしますが、非常に重要な寄り道なのでしばしお付き合い下さい。

自分はWIRED創刊編集長であるケヴィン・ケリーの「テクニウム」の思想に賛同しており、その思想を起点に考えると各概念の正体が見えてきます。

「テクニウム」とは、テクノロジーの進化には「ある種の意思」があるという考え方。
言い換えると、テクノロジーの進化には決まった「力学」があるという考え方です。

複数の技術進化の影響や、社会の要求など様々な要因によって、テクノロジーがまるで意思を持ったようにある1つの方向性に進化する様子が「観測」されています。
そう、ただのケヴィン・ケリーの妄想ではなく「観測」されています。

実際、アフリカ、西ユーラシア、東アジアの3つの地域で有史以前に共通して起きたイノベーションを調査したジョン・トロエンの研究によると、53のイノベーションが共通して、かつ各地域で独立して発明されていたことがわかっています。
さらに驚くべきは、それらが発明された順番の3つの地域間の相関係数は0.93という高い値を示しています。つまり、当時交流がなく離隔された3つの地域で、53のイノベーションが、ほぼ同じ順序で起こされていたわけです。

こうした「観測」に基づいて、「テクニウム」は、テクノロジーの進化には「ある種の意思」がある、言い換えると、テクノロジーの進化には決まった「力学」があると主張します。

ではこの「テクニウム」の考えを思考の基盤と置いたときに、以下の問いが浮かびます。

「ソフトウェアにおけるテクノロジーの力学は何か?」と。

ハードウェアや医療などなど様々なテクノロジーがある中で、「ソフトウェアにおける力学」は何なのか?

自分はそれは、「近づける力」と「押し広げる力」の2つだと考えいます。
いわば引力と斥力です。

引力というのは、デジタル空間と物理世界を近づける力のことです。
スマホがない時代と比べて現代は目の前のモノや店を調べる能力が格段に上がったように、物理世界からデジタル空間にアクセスしやすくすることで便利・豊かにしていく力学です。

斥力というのは、デジタル空間を押し広げていく力のことです。
TikTokやTwitterなどがユーザーのアイデンティティやコミュニケーションをデジタル空間に広げていったように、デジタル空間を押し広げて今までできなかったことを可能にしていく力学です。


ソフトウェアテクノロジーは生まれた時から常にこの2つの力学で発展しており、図で表すと以下のようなイメージです。

デジタル空間と物理世界を近づける力 = 青の矢印と、デジタル空間を押し広げていく力 = 赤の矢印の2つが常に存在してきた中で、テクノロジーの進化によってその2つの動きが極まってきているというのが「メタバース」や「Web3」、さらには関連概念である「ミラーワールド」という概念が生まれてきた背景です。

その中で「メタバース」「Web3」「XR」がどう位置づけられるかという整理が以下の図になります。

デジタル空間と物理世界を近づけるためのデータが「デジタルツイン」であり、それによってデジタル空間と物理空間が重なり合い混ざり合った状態が「ミラーワールド」と呼ばれる状態です。

※ 「ミラーワールド」についてはケヴィン・ケリーの名文や、以前WIREDさんのイベントで登壇させて頂いた際の記事を参照


反対に、デジタル空間を究極的に押し広げていこうという動きが「メタバース」や「Web3」の動きだと思っています。

それぞれどれくらい押し広げるかというと、究極的に新しい"世界"を作ろうというムーブメントが「メタバース」であり、究極的に新しい"社会"を作ろうというムーブメントが「Web3」だと思っています。
※ これについては次の項目で詳しく話します。


そうした関係性の中で、この引力と斥力の両方を加速させるインターフェイスが、MESONがずっと取り組んできている「XR」です。


こうした関係性の中で、こうした技術群の組み合わせをより深ぼっていきたいのですが、その前に、まだ「メタバース」と「Web3」が何なのかというのがまだぼんやりしていると思うので、詳しく話したいと思います。


新しい"世界"を作ろうというムーブメントが「メタバース」であり、究極的に新しい"社会"を作ろうというムーブメントが「Web3」である。

というのがどういうことかと言うと、下図のように、「セカイ」と「シャカイ」で分けて考えると理解しやすいです。

「セカイ」の方はシンプルで、我々が生きているセカイには「物理世界」という空間があるけれども、デジタルには「つながった空間」はあまりまだない。なので、「つながった空間世界」をデジタル側にもう1つのセカイとして作っていこうというのが「メタバース」の動きです。
こちらは非常に分かりやすい。

一方でWeb3側は難しい概念なんですが、以下のような整理をするとしっくり理解できると思っています。

シャカイを考えたときに、いまの物理世界は図にあるような「法律、通貨、金融、企業、希少価値」などの「社会システム」によってシャカイが成り立っています。

そして、これら社会システムはハラリが「サピエンス全史」で言うところの「虚構」です。そして「虚構」とはすなわち「Trust」です。
通貨自体に価値はなかったり、企業というもある種幻想だったりする中で、そうしたTrust=虚構という社会基盤によって成り立っているのが今のシャカイです。

では「Web3」が何かというと、これに対応する社会システムを、プロトコルで"トラストレス(Trustless)に"構築するというのが「Web3」の考え方です。
そして先ほど挙げた社会システムとそれぞれ以下のように対応しています。

法律 → SmartContract
通貨 → 仮想通貨
金融 → DeFi
企業 → DAO
希少価値 → NFT


※ 「=」ではなく「→」にしているのは、あくまで対応であって代替ではないから。デジタル世界ネイティブにプロトコルでTrustlessに実現する中で当然本来の社会システムとは対応しつつも異なるものとして実現される。

Web3には本当に面白い個別のサービスや事例が多いのですが、それが故にWeb3の本質を掴みづらいのですが、俯瞰して捉えてあげると上記のような理解がしっくりくると思っています。


3つの技術がつくる領域の整理と、MESONが取り組む領域

それでは、「メタバース」「Web3」「XR」という3つの技術の関係性やそれら3技術がつくる領域をもう少し細かく見ていこうと思います。

先ほど整理したように、それらの技術は、引力、斥力、それらを加速させるものという関係性なので、単独でも成立するけれども、掛け合わさると真価を発揮するという関係にあります。

なので、以下のような3つのベン図で表せます。


下図で具体例も交えつつ説明します。

真ん中のXR×メタバース×Web3がかけ合わさっている領域は「Immersive Web3 Metaverse」の領域で、現状この領域のサービスはほぼありません。強いて言うなら「NeosVR」が近いけど、基本的にはまだ存在していない。

次に、XRとMetaverseがかけ合わさっているけどWeb3ではない領域が、「Immersive Web2 Metaverse」でMetaのHorizonやVR Chatなどがここに当たります。

MetaverseとWeb3のみが重なっているのが「On-Screen Web3 Metaverse」で、SandboxやDecentraland、渋めのとこでいうとWorldwide
Webbなどです。

XRとWeb3のみが重なっているのが、「Immersive Web3 Service&Assets」の領域で、現状まだあまりないですが、NFT×XRやGamiFi × XRの領域です。

そして、それぞれ重ならない独自領域が、
XRでいうと狭義のXRのネイティブアプリの領域で様々なXRツールやゲーム、フィルターアプリなど。

そして、単独のメタバースの領域が「On-Screen Web2 Metaverse」の領域で、これがFortniteやRoblox、High FidelityやGatherなどです。

単独のWeb3が「On-Screen Web3」の領域でほとんどのDappsはここにあたります。現状さまざま存在するDeFiやGameFiなど。

こう整理すると弊社MESONがやるべき領域が非常にハッキリしてきます。

Web3も手掛けると言っても、DeFiやGameFiを何でも作りたいか、作れるかというと違うためです。

この中でMESONが手掛けるのは、以下の色を塗っている領域であり、より具体的には下記のような方針を取っています。

  • コアな軸としての領域はXR

  • 特にメタバースやWeb3などとの掛け合わせ領域は注力

  • XR領域外のメタバースも最終的に繋がってくるため取り組み範囲内

  • XRともMetaverseとも重ならないWeb3領域(DEX作るとか)は基本やらない


そしてMESONは、XRにアイデンティティを持つ企業として、「XRによって新しい世界や社会づくりを押し進める会社」でありたいと考えています。

以下の図で整理したように、ソフトウェアテクノロジーの2つの力学が極まって、物理世界がミラーワールドとして進化し、デジタル空間上に新しい世界や社会が生まれようとしている中で、それらを実現・加速させることがXRの意義だと考えているからです。


さいごに

Web3もメタバースも本質的にはセカイやシャカイを新たに創造したり進化させようとする動きであり、そこへのXR技術が持つ"加速力"は非常に大きなものがあります。

MESONは、様々な企業とXRを使ったサービスや事業づくりに取り組むCreative Studio事業、XRサービスづくりのプロセスを刷新するXR SaaSプロダクトの開発、Web3×XRのToCサービスの開発を主な事業として行いながら「XRによって新しい世界や社会づくりを押し進める会社」です。

そうしたチャレンジをご一緒頂ける企業の方や、MESONメンバーとして一緒に未来をつくっていく仲間を募集中なので、下記サイト、もしくはTwitterからぜひ気軽にご連絡頂けますと幸いです。

▼ 会社サイト


▼ 梶谷Twitter
https://twitter.com/kajikent

AIやXRなどの先端テック、プロダクト戦略などについてのトレンド解説や考察をTwitterで日々発信しています。 👉 https://twitter.com/kajikent