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加筆修正しようとしてダメにしてしまった絵と、ダメ元が功を奏して上手くいったこと。

ある技法書に書いてあった絵がなかなか上達しない理由とは
「いつまでも一つの絵に執着して手放さないこと」

ダメならとっとと次の絵に取りかかれですと。

いやいやいや・・
ダ・ヴィンチだってモナリザを生涯手放さず加筆してましたやん。

私はしつこく加筆するタイプです。

1年前に「出来た!最高傑作や!」
と思った絵でも、
今見たら「ここはこうしたほうがもっと良くなる」
「ここが気に入らない」
となるでしょう?

未熟なので完成が分からないということなのかなあ。

で、今回も1年前に描いた絵を見ていて
なんか良くないと思ったので加筆しました。

最初に完成と思った絵の状態


一応完成と思ったけど

描いているときから上手くいってない感はあった絵で、
透明水彩で描いたのにガッシュ?と言われるコテコテ感。

コントラストが弱く、色に深みがない。
なので色をなんとかしようと思う。

最近使い出したトーナルカラーの束を使います。

日本色研トーナルカラー93色
画材屋とかで普通に売っている

トーナルカラーは明度と彩度の同じものが順に並んでいます。
一番上は
なので私はそれぞれを束にしてホッチキスで止めています。
この束の中でどれが必要な色なのか。

白っぽい赤・・ピンク・・なのか、
暗い赤・・茶色・・なのかってね。

前はもっと色数の多いカラーチャートを使っていましたが、
トーナルカラーは大きいのでイメージがわかりやすい。
何百色もあるやつで選ぶの面倒だし。

選んでいきます。

彩度と明度はこのへん
その束の中から選んだ色調と画材

選び方は表紙の赤の彩度と明度で良さそうなのを選んでから、
束の中の色味を選びます。

理屈ではなく感ですが、
コントラストが弱いと思ったら強い色を、
華やかさがほしければ鮮やかな色か補色を、
色の幅が欲しいときはベースの色と離れすぎない別の色を、
選んでいるように思います。

色を選んだらその色の画材を揃えます。

油性色鉛筆
水性色鉛筆
アルコールマーカー
そしてまっちの透明水彩絵具で色を作る。

ホルベインの絵の具だと混色したときに思った色が作れない問題があったのですが、
まっち絵の具を使うようになってからは悩み解消。
確実に狙った色が作れます。

加筆してこんなもんやろと思った絵の状態

絵を客観的に評価してくれるAIとかあればなあ
ネコ型のロボット君で
インコ型でもいいよ

いや、どうよ。

この時点ではやった感があったのですが、
蝶の人相が悪くなり花の背景が単調になっている。

数日後に気がついてまたまた加筆。

いよいよダメにした絵の状態

左のキノコのプックリ感だけ良くなった

単調なのは偶然を利用しないでペタペタ描くだけだったからだ思い、
スポイトで絵の具を流し込んだりして乾燥を待つと・・

訳がわからんうえに、
絵の具にヒビが入っていて、
これ以上の加筆は無理。

またしてもやっちまったな。

でもね、ここでスイッチが入り最後までやってやると
そうです
ダメならとっとと次の絵に取りかかれ

1から描き直した絵


もう一度コンセプトからやり直し、
視界に入っているのに見えていないもの。
「秘密の庭園の門番」という設定で、
蝶は門番、右側は隠された入口です。

同じ資料を使って描いたのがこの絵。

おっ!
いいやん。
もう一枚描けばもっと良くなるのか。

描き始めたもののすぐ挫折。
今描けるのはこれがベストです。
もう1枚描いても良くなる気がしない。

技法を変えれば発見があるかも。

コラージュええんちゃう?

コラージュ!

A4の台紙にコラージュしてみました。
設定は同じく秘密の庭園の番人

A4にしたのは「スキャンして使い回しができるのでは」という邪念があったからです。

やってみたらこの作業はものすごく楽しい。
性に合っているという感じですね。

ここから廃墟の庭のテーマでコラージュの制作を始めました。
絵を描くのと違ってコラージュは物質感のあるところが、
手芸好きな私には合っているのかもしれません。

絵と違って気負いがないのでノリノリで作れたのがこちら。


コントラストの弱い絵を描きがちなので
黒を絶対入れるというルールで
カエルと金魚は銅版画

以前にもコラージュを試したことがあったのですが、
もっと美術的な感じのだったので、
今回はゆるい絵でやってみました。
ゆるい絵・・楽しいな!


下の列は練習兼ねて作ったパーツ

コラージュの良いところは、
溜まりに溜まった失敗作や試し刷りの版画、
子どもたち用に買って使わなかった大量の色紙
・・奴らはゲームしかしなかったから・・
などをバンバン消費できてとってもエコ。

気まぐれで作ったパーツやイメージが違ったパーツも後々使えるところ。

飛んでるスズメさんは上の水浴びスズメ用に作ったけど、
なんか違うと作り直したので余ってたやつです。

今までの作風と違うので、
これを下絵にして絵を描くのもいいかなと思いました。

今回は上手くいかなくてモヤモヤしてる絵をしつこく触っていたら
別の道が見えてきた・・
ダメ元で力を抜いてやったほうが結果は良いよ・・というお話でした。

余談

コラージュを始めたちょうどその時期に春の銅版画講座が始まり、
週の前半はコラージュ制作をして後半は版画の準備で、
一旦すべてを片付けるのが辛かったです。
頭の中もリセットしなければならないし。

気持ちがコラージュに傾いていたので、
版画のアイデアが出てこなかった。

これではいかんと思い、
最終日に門番のチョウチョを刷ってみました。

1つの版に塗り分けでインクを詰めているので
どうなるかは運次第!

中央のは手描きで、
背景は版画です。

版画も描いたり貼ったりするのと違った魅力があるなあ。

絵でもきっちり描かれたものより、
偶然にそうなる美しさが好きです。

・・上手い人は偶然もある程度コントロールできるんだよなあ・・









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