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この本を読んで「こういう画家人生」は美しいなと思った。

「こうやったら儲かりまっせ」な本かと思ったら全然違った。
「福井安紀著 職業は専業画家」

若くして才能を認められた人以外は「バイトで食いつないで絵を描く」「絵画教師をする」しか絵を描きながら生活する方法はないのかと思っていました。

ただ絵を描いて生きていきたい。
そのためにしっかりと人生設計をして、暮らしていけるだけの収入を絵を売ることで稼いでいく。
売るためにはどのような絵を描き、どのような場所で展示すれば良いのか。

こうしなさいではない、このような考え方もありますよという提案の仕方が優しい。
「自分のように絵を描いて暮らせる画家が増えると良いな」という気持ちが伝わってきました。

技法や素材も独特な作品は、意地悪な芸術家に「こんなんインテリアやん」とか言われるのかも・・ですが、画材以外ほとんどものを買わない私の物欲が刺激されました。
欲しいぞこの絵!

美術業界の重鎮が書いた「プロの画家になる方法」みたいなタイトルの本をこれより少し前に読んだのですが、
「絵で食べていけるやつなんて日本にはほとんどいない。学校の先生をしながら美術団体に入れ」
はぁ~・・

ひたすら絵を描きたいと思っているポンコツな人格の私が、公務員しながら上下関係厳しそうな美術団体でやっていけたの?
無理やろー

と、1ミリも参考にならず本を閉じました。

そしてこの本。
一攫千金、絵で富と名声を手に入れるぜみたいな動機で描いている人たちには不向きです。
(この気持ちはまったくないと言ったら嘘でしょうが)

画家として暮らしていく、ささやかで美しい人生の形を見せてくれました。
競争の世界にうっかり入ってしまった絵描きさん、読んで別の選択肢があるのを知ることでほっこりしてください。




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