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女子って大変

デンマークに住んで、子どもが二人小学校に通っているのだが(娘5年生、息子2年生)、ここ一年程思ってたことが小学校での行動・態度における男女の違い。勤めてる会社で、会計事務処理に関して時々お手伝いに来てくれる女性がいるのだが、先日、その人が教えてくれたことがとても興味深かった。

低学年の保護者会では、学校での男の子達のやんちゃな行動が議題に上がり、女の子の親達は静かにそれを聞いている状態だが、高学年の保護者会では、女の子グループ内での揉め事が議題に上がり、今度は男の子の親達が静かに聞いている。

あー確かに、と思ってしまった。一般化するわけではなく、あくまで自分の知っている範囲でのことだが。同僚の高学年の息子さんのクラス、女子の間で揉め事が起こって授業も落ち着かないのだそう。別の同僚の娘さん(今はもう成人してる)が高学年のとき、女子の間での揉め事がひどかったらしい。一方、低学年の息子のクラス、先生や保護者から伝わってくるのは、男の子が他の子を怒ってどついたとか、別の男子がみんなでスポーツの最中怒ってボールを投げつけたとか、男子絡みの話が大半。(これはデンマークでの、しかも私の周りでの話だが、日本にも一般的に通じる話じゃないかなと思うがどうなんだろう?)なんとなく、傾向的なゆるい感じで男女の違いがあるような気がする、と思っていたところに、冒頭の彼女の発言で、妙に納得した。その話題の最中に、他の同僚が面白いと言っていたこの本を読んだ。
「Pæne piger og dumme drenge」Ann-Elisabeth Knudsen著。
(全く語学のセンスがゼロなので、和訳に困るのですが、「お行儀良い女の子にアホな男の子」みたいな感じだろうか、、)
タイトルがインパクトありすぎだが。

2002年出版でもう売ってなかったので中古で購入。新品同様で届いたのでびっくりした。

極端に要約すると、「脳の発達の違いが男女にはあり、それから生じる学習の仕方やコミュニケーションにおける男女の違いがある」。ただ、全員が当てはまるわけではなく、おおよそ97%にこの発達の違いが見られる。また、子ども達の発達の違いは、脳の発達の男女の違いに起因するのが大体8割で、後は個人差。と著者の前置き。この脳の話、脳の器官や分泌される何たらかんたら、と、私には難しすぎて医学的にはぼんやりとしか分からなかったので、ここでの脳の説明は割愛させてもらいます。が、今Googleで「男女の脳の発達の違い」で検索したら沢山出てきた。もしかしてこれは普通に常識的なことだったのかな。

低学年の男子は一般的に集中力が短い。男子はヒーローごっこなど単純構造の遊びをする一方、女子はままごとなど会話を使った複雑な遊びをする。男子は言葉より形など目に見える状態でないと理解しづらい。そういったことから、男子は女子より一般的に授業の理解が遅れる状態になる。先生の注目の大半は騒がしい男子に注がれ、きちんと授業に参加している女子は放置状態。それを踏まえて、著者は低学年における男女別の授業を提案している(全授業ではなく数時間程度)。

この提案に対し、ジェンダー平等が主張される今、男女を分けるなんて逆行している、それこそ男らしさ女らしさを生み出そうとする(助長する)ものだ、という批判を受けたようだ。私も、男女別にする必要はない気がする。色んな子がいるのが学校であり社会。ただ、授業中に先生が複数いるのがいいような気がする。男女に関わらず、集中力が切れた子達は教室の一角でサブの先生と少し違うアクティビティーをするとか。

続編というか、この本の後にもう一冊が出ている。こちらは高学年から高校生までの話で、女子の大変さに焦点が当てられているらしい。この本も読んだという同僚の話では、「男子はスポーツなどを通して戦って遊んできたので、競争で勝っても負けても翌日はケロッとまた普通に接するが、女子は、ままごとなどの組織関係の遊びをしてきたので、グループなど人間関係のしがらみで競争がとても苦手で勝ち負けを決めたくない」のだそう。まあ、あくまで一般的な話であって、当てはまらない子ども達もたくさんいると思う。先の本に書いてあったが、先生に怒られた時、男子は、先生はそう思ったんだな、と自分とは切り分けて考えるが、女子は先生は自分が好きじゃないんだと個人的に捉えてしまう。女子は脳の発達の過程で他人との関係性に重きが置かれるので、自己肯定感が低い、らしい。

先日のデンマークのニュースで報道されたが、8年生(中学2年生)の女子への調査で、回答者の半分は自分自身であることに嬉しくないと回答している(この日本語訳はしっくりこないけど、ざっくり「I'm not happy with who I am.」という意味です)。インタビューで答えてた女子は、いつも良い状態を見せないといけないというプレッシャーが大変、のだそう。ソーシャルメディアが大きな理由の一つであることは間違いないだろう。ただ、デジタル社会の今だからというより、今も昔もこのくらいの年齢ってそういう時期ではないのかな?という気もするけど。とはいえ、以前記事にしたが、デンマークで多くの若い女性がストレスを抱えているそう。

これだけを聞いていると単純に、学校生活において、低学年の時はきちんと授業を聞けるが故にほったらかされて、高学年以上になると揉め事やプレッシャーにさらされて、女の子って大変、って思ってしまう。もちろん個人差はあるだろうし、年齢が上がるほど、周りの先生や友達や環境などに大きく左右されるだろうし、あくまでも女子の傾向の一つでしかないだろうけど。

今回、環境や文化とは関係ない脳の発達の違いにより、一般的に、男女によって学習や理解の仕方に違いがある、ということを知ることができてよかった。それによって私の子ども達への接し方が変わるということはないけど、自分が感じていた小学生の男女の違いが解釈できたような気がして少しスッキリした。脳、深いな。

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