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デンマークの若者の心の健康が気になった話

娘は、今年の新学期(8月始まり)から5年生になる。その娘が、中学、高校に入った時に、どうやってるのかなと、少し心配というか、気になる話題を耳にした。発端は、3月上旬に日本で言うところの厚生労働省みたいな省庁から発表されたデンマークの国民の健康調査(https://www.sst.dk/-/media/Udgivelser/2022/Sundhedsprofil/Sundhedsprofilen.ashx)。2010年に始まって、今回で5回目。心身の健康状態、喫煙や運動習慣など広くカバーされているこの調査。その中で若者の心の健康状態の低下が、色々なラジオ番組やニュースサイトに取り上げられた。

調査方法

調査方法としては、病院のデータを集計したものではなく、調査対象の人達(16歳以上)の質問に回答する形での自己分析。心の健康状態はSF-12という測り方、ストレスはCohen's Perceived Stress Scaleという測り方を用いているそう。(興味のある方は、それぞれ「https://orthotoolkit.com/sf-12/」と「https://www.sprc.org/system/files/private/event-training/Penn%20College%20-%20Perceived%20Stress%20Scale.pdf」で自分で計測できます)調査では、SF-12は35.76以下で心の健康状態が低い、Cohen's Perceived Stress Scaleは18ポイント以上でストレスがある、と見なしている。私もやってみたが、SF-12は問題なかったが、ストレスの方は、19ポイントでストレスが高いとみなされた。ストレスや悩みなど年中あるけど、ストレスが高いとは自分では思っていなかったから意外。でも、ネガティブな感情は記憶に濃く残るので、実際はたまにしか感じてなかったのに、頻繁に感じていたと記憶違いが起こることはないのかな?いや、そういう記憶違い自体もストレスなのかな?

調査結果

心の健康状態が低い人の割合は、全体としては2010年の10.0%から毎回増加し今回は17.4%。年齢別でいくと、16−24歳が一番高く、その中でも男性は21.2%に対し女性は34.4%と、3人に1人が心の状態に問題を抱えていることになる。高いストレスを抱えている人の割合も、全体として2010年20.8%から毎回増加し今回は29.1%。こちらも年齢別で16−24歳が一番高く、その内男性は31.2%で、女性はなんと52.3%。(ちなみに、どちらの調査もどの年齢層でも女性の方が高い)まず前提として、調査はまだコロナに関する規制があった去年行われ、この規制による心理的影響が調査結果に反映していることを念頭に入れなければならない。

原因は何だろう?

なぜデンマークで多くの若者が高いストレスや日常生活に支障が出るほどの精神状態に問題を抱えているのか。学校生活、宿題、進路とそれにかかるプレッシャー、友人関係、恋愛関係、家族関係、ソーシャルメディア、各人それぞれの理由があ流のかな、というぐらいしか思いつかなかったのだが、RADIO4というラジオ放送局の番組で興味深いことを言っていた。

ゲストの一人が、原因は過去に遡って保育園にある、という説を展開。0-2歳児が通う保育園(vuggestue)での慢性的な職員不足・職員多忙による十分なケアが行き届かない状況。それが子ども達が安心できる環境を邪魔するだけでなく、彼らの共感能力、言語能力、自身の感情を表に出す能力などの発達に支障を出す。その後、社会適応能力が不安定なままになって学校生活に突入する。それが後々10代20代まで引き継がれて、今の不安定な精神状態に繋がっている、というのが彼女の説。これはあくまで彼女の説で、実際とどこまで整合性があるかは分からないが、0−2歳まで遡って、保育園の経験がその後の精神状態に大きく影響するとは、私にはその発想はなかったので驚いた。

もう一人のゲストは、家庭の問題を重視していて、何でも子どもに決定権をあげすぎな親(子どもは学校では自分勝手と写りクラスメートと上手くやれない)、helicopter parentのような親(子どもは学業では優秀だが自立性に欠ける)、フルタイムの仕事をしながら「良い親」でもありたいと無理をしてストレスを抱える親、などなど、家庭内での状況が子どもの低社会適応能力引いては社会生活でのストレスにつながる、としている。

色んな原因が考えられるんだな。我が家の子ども達、今のところストレスなり不安なりを抱えてるようには見えない。でも、ストレスを感じたり、辛い思いをしたり、ネガティブな感情なり、それら自体は生きている以上体験するもの。そこを避けようと模索するのではなく、それにどう向き合って対処するか、将来娘達が悩んだ時に、それを一緒に考える助けになれたらいいな。というのは理想論であって、実際はその頃は反抗期絶頂でまともに口も聞いてくれないのかな、、。

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