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【今週聞いたこと】汚職が自然環境破壊につながってる恐ろしさ

実際は先週聞いたこと。でも、どう書こうか迷って、書ききれなかったこの記事。
単なるゴシップのようにも受け取れるし、一国の単なる一騒動とも受け取れるし。でも私にとっては、かなりの衝撃で、「今週聞いたこと」はこの話一択だったので、書くことにしました。

今、人口6百万人弱のデンマークで、2百万人以上が見たと話題になっているTVドキュメンタリー番組「Den sorte svane」(直訳すれば「黒い白鳥」)。

ギャングが関わるマネーロンダリングや税金逃れに以前関わっていた弁護士の女性が、テレビ局のスパイとしてギャング達と引き続き仕事をすることで、内情を暴露する、という番組。テレビ局が用意した小さなオフィスには隠しカメラが沢山、電話やメッセージも録音、外でクライアントに会う時も彼女の服やバックにカメラ。番組と彼女の約束は、撮影の期間は犯罪には手を染めない、危機を感じたらすぐに終了。

次々にやってくるカモの人々。彼らの過去の犯罪からこれからの計画まで、彼らの口から出てくる出てくる。これだけすんなり話すということは、彼女が今までどれだけ中心に入り込んで沢山犯罪に関わっていたのかを示すようなもの。

会社は黒字なのに、偽のインボイスを支払うことで赤字に見せかけて、税金を払わず、その支払いのためにマネーロンダリングが使用される、とか、日常滅多に現金を使わないデンマークで、よくそれだけの現金が実際は存在してるのか、とか、無知な私には新たに知ることがあって興味深かった。

5回放送のこの番組、最後の回で、なんとこの彼女、テレビ局を騙してたことが発覚。スパイとして活動してると同時に、別に自分のオフィスを持ち、実際にマネーロンダリングしてたよう。1回目だったかの放送で出てきた、ギャングメンバーだったか、そんな風な人、番組の中では、お互い知人だけどちょっと警戒してる感じの二人だったけど、実際は恋人でマネーロンダリング仕事の仲間だった。

彼女は、幼い時に、ボスニア内戦に絡んで家族でデンマークに逃げてきたらしいのだけれど、サイコパスに近い印象を受ける。普通に嘘が出てくるし、同情を引くための涙もすんなり出てくるだけでなく、怒鳴り散らすギャングと堂々とやりとりもする。このスパイ活動も、彼女からテレビ局に持ちかけてきたもの。今までのギャングと交渉していく生活に疲れた、彼らの犯罪を世に知らすため、などと理由を言っていたが、怪しい。彼女自身ギャングに借金があったらしいので、それ絡みではという憶測が飛んでいる。

どこにでも、どこの国でも、いつの時代も、社会のシステムを悪用する悪者はいる。税金逃れなど、昔からあるし、これからも税金のシステムがある限り税金逃れはきっとあり続ける。

この番組が衝撃的だったのは、犯罪に加担していたのが、国内トップの弁護士事務所のパートナーの法廷弁護士、その他の弁護士や環境分析官(日本語で何て言うのか分からないのですが)、地方議員、コンサルタントなど社会から信頼を得ている職業の人たち。ギャングが悪事を働くのは普通だけど(いいか悪いかは別にして)、悪用を止める立場の側にいる人たちが悪用する側に立ってしまえば、社会は腐敗されて正常に機能しない。汚職が少ない国ランキングで去年一位だったデンマークでも、結局あるんだな。

また、ギャングメンバーの一人が、汚染された土壌の処理する会社を持っていたのだが、実際は適切な処理をせず、単にある農家の土地に運んでそこに廃棄していた。ある建物の解体時に、危険な物質を含んでいる箇所を検査して報告するときに、買収された環境分析官が極端に箇所を少なく報告していた。どちらも処理費用を浮かすため。報告逃れた汚染廃棄物は、適切な処理がされないまま廃棄される。つまり、汚染された土壌や建物の廃棄物は、地中で垂れ流し。デンマークは地中深くの地下水が水道水になっているのだが、雨などと一緒にいつかは地下水に届く。

去年秋ぐらいから今年春にかけて、汚染土壌廃棄会社と農薬製造会社がそれぞれ、大量の汚染土壌が土砂崩れして周りの土地に汚染物質、海に法定濃度を超える化学汚染水、をそれぞれ垂れ流すというニュースがあった。どちらも行政の検査を掻い潜っていて、この番組を見た後これらの事件を思い出し、これも買収されていたのではと思えてくる。過剰反応なんだろうけど。

土は水が一度でも汚染されたら、被害は単にお金だけで解決できるものではない。経済的犯罪ならまだしも(もちろん良くはないけど)、土や水など自然には本当に手を出さないでほしい。

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