自治体の歳入の増やし方
自治体も金の入りと出があるわけで、入りが増えれば出も増やせるし、出を減らせば同じ入りなら、新たな投資に回せるというシンプルな理屈があるわけで。
ただ、既に動いている電車を停めたり、軌道を変えたりするのが難しいように、一度歳出項目が決まると前例大好きお役所さんは、「その項目を削る理由を教えて下さい」と何故か判断する側に回って、いわゆる個人や法人のマネジメントのように【将来に向けて資金を作りたいから、これ削って、こっちをやろう、投資に回そう】を行う主人公にはならないところが困ったものだと思うのです。(もちろん、「風の谷の希望」の回で取り上げた流山市のような成功事例も増えてきているはずです)
そうならないのは、自治体の運営が資本主義というより、社会主義的な視点を崩さないからだと思うのです。
多くの人の話を聞いて、「検討だけして何もしない」では、これからは不味いと思うのです。
発展的破壊、想像から創造。ベンチャー企業が行っている技を自治体も取り入れられたら、きっとその市や町は変わっていくはずなんです。
以下、市や町が発展していくには具体的にどうしたら良いのか? を何話かに分けて考えて見たいと思います。
歳入を増やす方法を考える
歳出を減らす方法を考える
創造的破壊や発展的政策を考える
魅力的な自治体にするロードマップを考える
今回は、
歳入を増やす方法を考える
分かり易く三つに分けてみました。
①ふるさと納税で他県の人に寄付して応援して貰う
②住民を増やして、住民税を増やす
③観光客や関係人口を増やして、市や町に落ちる金を増やす
まず、①ふるさと納税をして貰うですが、以下のグラフを見て下さい。
大崎町/人口12,758人(鹿児島県)の歳入は100億、御宿町/人口7,312年(千葉県)の歳入は37億。この違いはなんなのでしょうか?
そうなんです、大崎町は左上の寄付金などが32億もあるんです。御宿町の歳入全体の37億に近い金額規模です。
以下「ふるさとチョイス」の自治体ランキングを見ても大崎町は【頁閲覧数】で7位となっています。それだけ注目されているってことですね。(2022年6月時点)
ついでに大崎町の自治体情報を見てみると、
2020年で年間金額が50億となっています。還元率が30%とすると、そんなもんですよね。
同じ2020年で御宿町は6000万の年間流通総額なので、大崎町の1%ちょいでしかないのです。
では何が人気かと言うと、
大崎町は【圧倒的に養殖ウナギだそうで】、御宿町には【伊勢海老があります】【アワビもあります】
左の黒毛和牛が19000円、右のうなぎが20000円でした。
供給量の差なのか、認知度の違いなのか、はたまた値付け金額のハードルなのか・・・。
いずれにしても、ふるさと納税で歳入を増やすことは、何かしらのマーケティング策を取り入れれば可能だと思うのです。
聞くところによると、大崎町のPRには某大手旅行代理店がバックについていて、そこの動きが強力とのこと。大体なんでも裏がありますが、そういうことだったんだ・・・と。そこも研究の対象になろうかと。
次に、②住民を増やす策ですが、やはり、「流山市のマーケティング課」の動きは成功事例であり、さすが!! と思います。以前まとめた資料があったので、添付しますと、
施策は、いくつかあって
・子育て世代の移住を促進するのに、保育園への足(バス)の運行を改善した
→駅に子供達を集め、そこからバス6台で子供100人が、数か所の保育園に向かう
・保育士の給与面を上げて人材を確保した
→待機児童ゼロ、保育士には特例手当、住宅で10万7,000円もの手当がつく
・働く場所として、産業の誘致を行った
→GLP ALFA LINK流山(国内最大級の物流施設)、30社以上が入居7000人の雇用を生み出す
・空き家など不動産をデータベース化して、管理と起業家貸出しを行った
→古民家再生、フレンチレストラン、ギャラリーカフェ
・施設を快適にする
→新規の商業施設や住宅の建設時に面積の30%以上の植樹を要請
こんな感じで、とても多くが学べると思います。
その中核となって動いたのが、行政初のマーケティング課。もちろん、その設計と業務遂行を行った井崎市長が凄いわけですが。
これらの結果、2003年190億の流山市の税収が、2020年303億に60%増となったわけです。
最後に、③観光客や関係人口を増やす策ですが、マーケティング的に考えると、当たり前ではありますが、
・国内からの観光客を増やす
→ターゲットの対象となる目的を作り、認知を図る(この時、ターゲット設定はピンポイントでOK。というか、ターゲット絞らずやると刺さらない)
認知を図る為には、独自のメディアを持って、情報発信すべきです。
・海外からの観光客(インバウンド) を増やす
→これも、外国人(どこの国?) に来て貰う為の対象(目的)を作り、認知を図る。日本海側の降雪地帯の老舗旅館は、中国人に買われる傾向にありました。身売りよりも自力で、自治体チームが一丸となることで、外国人が喜ぶ対象 (宿泊施設やアトラクション、シーフードレストランやトローリーバスの運行) をどう作って(イニシャル)と運用(ランニング) していくか? のロードマップや出資者が必要になってきますよね。
・ふるさと納税したくなる自治体になる
→魅力的な返礼品の開発を皮切りに興味喚起を行い、継続して魅力作り、情報発信することで人気の町になる。ワーケーションの対象地になっていくことで、関係人口を増やす施策もあろうかと思います。
「2.歳出を減らす方法を考える」以降については、次回noteにまとめていきたいと思います。(これは、取材して、リアルなところを掴んでいかないと、つまらないかもです)
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