海士町の偉業
今回もnewspicks(有料動画) 波頭さんと木下さんとの対談内容がとっても良かったので、まずはそこからスタートです。
本題に入る前に、何故「地域創生」への意識の強い人が増えてきたのか? についてサクッとまとめて見ると、
2022年7月28日 公開
【木下斉×中島土】日本経済を「地域」からRethinkせよ
ナビゲーター 波頭亮
動画の中で特に印象に残ったフレーズは二つ
① 2025年問題(後期高齢者が高齢者の半数を超えてくる)で、もはや改革しかないとケッに火がついてきている
② 地場の百貨店経営者は残念な人が多い(権威性を振りかざし、地場のポテンシャルの顕在化など全く見えていなくて、上から目線で来るのでほとほと呆れる)
※こちら、若干私の言葉として脚色入ってはおりますが、意訳するとこんな感じかと。
更に、番組中で取り上げられていた海士町(隠岐國) の取組みをググって見たら、内容が適確過ぎて凄かった・・・学べるということで以下記していきたいと思います。
《島が消える?・・・超過疎化・超少子高齢化・超財政悪化》危機感の中で
昭和25 年頃は約7,000人近くいた人口も平成22 年10月の国勢調査では2,374人に減し、世帯数は1,052であった。高齢化率39%…高校卒業後は殆どが島外へ流出し20~30 歳代の活力人口が低く生まれる子どもも年に10人前後であった。
離島振興法等の公共事業で生きてきた島、生かされてきた島からの脱却
→まずは職員からの意識改革として、役場は「住民サービス総合株式会社」と位置づけ、地域経営は企業経営に同じとし、年功序列を廃止して適材適所主義に、組織を現場主義に再編、職員が地域を変える覚悟をする。
ある日「三位一体の改革」による「地財ショック」が襲い、町税にも匹敵する地方交付税の大幅な削減により、島の存続さえ危うい緊急事態に直面
そこで住民代表と町議会と行政が一体となって、島の生き残りを掛けた「海士町自立促進プラン」を策定、行財政改革によって「守り」を固める一方で、「攻め」の方策として新たな産業創出を強力に推進する戦略の、両面作戦に至る。
【守り】
町長が 「自ら身を削らない改革は支持されない。」 の信念 で給与カットを宣言すると、管理職 が続いて カットを申し出る。
給与カットは平成16年度から、町長以下助役、教育長、管理職、そして議会から始まったが、職員組合からも自主カットの申し出があり、10月から実施する。「先憂後楽」の精神は公務員の基本姿勢である。
職員や議会からカット分の一部を具体的に見える施策に活かしてほしい旨の提案を受け「すこやか子育て支援条例」を制定(H16.10)
以下、給料カット、見直し事項記載の一部となります。
【攻め】
地域資源を活かし、第1次産業の再生で島に産業を創り、島に人(雇用の場)を増やし、外貨を獲得して、島を活性化することである。
ここ重要↓
攻めの実行部隊となる産業 3 課を設置。
観光と定住対策を担う「交流促進課」
第1次産業の振興を図る「地産地商課」
新たな産業の創出を考える「産業創出課」
その産業3課を、情報発信基地であり、町の玄関でアンテナショップでもある港のターミナル「キンニャモニャセンター」のワンフロアーにおき、現場重視の展開を。ニーズを肌で感じる場に。H27年度から地産地商課に産業創出課を統合)答えは常に現場にある。五感を使って考えろ。
この部分、まるで森岡毅さんのお決まりのフレーズが蘇ります。やはり、五感を使う(五感にぶっさす)ことは必須かと。
特に、ここからが面白いのですが、
クリエイティブが事業作りの上に乗ってきます。
海士町、『ないものはない』宣言!|隠岐郡海士町オフィシャルサイト
ないものはない 海士町公式 note
地域再生戦略~島まるごとブランド化で地産地商~
「地域再生計画(海士デパート面とストアプラン)」を策定。
島全体をデパートの階層に見立て、島の味覚や魅力を島まるごと全国にお届けする。
→要は、ECを活用して全国から客を取ろうって戦法ですね。
地産地「消」ではなく、地産地「商」ってキーワード設定も分かり易いです。
以下、商品作り、キャッチフレーズ作りも秀逸です。
① 第1弾が「島じゃ常識!さざえカレー」の登場。島の食文化を商品化してヒット商品となる。
<キーマンは、商品開発研修生>
② 第2弾は種苗の生産から育成・販売まで一貫生産を目指し、U・Iターン者と地元漁師が協力して、「隠岐海士のいわがき・春香」の養殖に成功。春から初夏限定のいわがきとして、築地市場や首都圏のオイスターバーで大ヒット。
<キーマンは、脱サラのIターン者>
③ 産業振興の命運を懸け、商品開発から販売まで、外貨獲得のリーディング・カンパニーを目指して、第三セクター「(株)ふるさと海士」を立ち上げる(平成 17 年3月)資本金2億5千5百万円(内2億4千万円町出資)
④ 「CAS(Cells Alive System」という新技術を導入し、旬の味覚を次から次へと商品化。
CASとは:磁場エネルギーで細胞を振動させることで、細胞組織を壊すことなく凍結させることができる画期的なシステム。解凍しても通常の急速冷凍物のようなドリップなどは一切起きず、長期間にわたって鮮度を保持できる。つまり、とれたての味をそのまま封じ込め、解凍後もとれたての味をそのまま食することが可能になる。
これにより、首都圏の外食チェーンをはじめ百貨店、スーパー、ギフト販売など着実に販路を広げつつある。また、平成19年4月から中国上海へ、平成21年9月から米国への輸出も始まって、海外市場への拡大も期待できる。
→離島の流通ハンディを一気に克服し、また出荷時期の調整も可能となり漁業者の収入確保に大きく繋がった。
実はこの④番目が隠れた、けど最も重要な成功要因なのではないかと思います。
海士町のふるさと納税(寒シマメスルメイカ)頁
海士町全体で2020年度で1.25億円の納税金額です。(2020年海士町歳入72億の約2% 個人向けtoCのふるさと納税より、法人向けtoB販路拡大が成功しているようです)
島での就職や起業、島暮らしの運動を展開した結果、326世帯、483人のIターン者が海士町に定住
「信頼できたから」・「宝物があるから」・「職員の対応が良かった」など。(H26年度末現在 定着率約 50.52%
総人口では増えないが 、活力人口が増えたことによって人口構成のバランスが良くなった。
→【活力人口】を指数にしているところが素晴らしいです。なるほど!! と深く納得。
Iターンによる外部から有識者【活力人口】を呼びこめたのは、私は「宝物がある」ということを気付かせたからではないか・・・と思うのです。
最後に「海士町何が凄かったのか? 」をまとめますと、
反対派が沢山いたでしょう、なんでこんなことしなきゃならないの? と抗議し続ける人も沢山いたはずです。それでも、どなたか優秀なリーダー的な存在の方が必ずいらっしゃったと思います。粘り辛く説明し、説得し、巻き込んで、連携し、表現し、必要なモノコトを創り出していった。リーダーを中心に日本の地方創生の模範となる「海士町」の偉業に心から敬意を表したいと思います。
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