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「広島市平和推進基本条例案」の修正を求める陳情書を提出します。

「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」は、「広島市平和推進基本条例」という名称になり、政策立案検討会議での協議は終了しました。
1000件以上の市民意見が寄せられたにもかかわらず、前文の「被爆75年を迎え」を「被爆75年が過ぎ」に改めるという、1ヶ所の訂正に止まり、結局全く市民意見が取り上げられませんでした。
現在、6月議会に上程・審議されようとしていて、私たちは、拙速な審議・議決を行われることに大きな危惧を抱いています。
そこで、市民意見を取り入れ、市民の理解が得られるような条例となるために尽力していただくよう、以下日時で陳情することにいたしました。

<日時>6月11日(金)11:10〜11:40
<場所>広島市議会議事堂3階 議長公室
<参加メンバー>代表 渡部久仁子
        メンバー 安彦恵里香
        メンバー 河口悠介

「広島市平和推進基本条例案」の修正を求める陳情書

 私たちは、「広島市平和推進基本条例案」(以下、「条例案」)の内容に疑問を抱いた若者有志でつくる市民グループである。
2017年6月の平和推進・安心社会づくり対策特別委員会での議論以降、約4年かけて条例案を作り上げてこられたことに心から敬意を表す。
 1月15日から2月15日までに行われた条例案への市民意見募集に対しては、千件以上の意見が寄せられた。市民意見については、政策立案検討会議で条項ごとに論点整理をして一定時間かけて審議され、前文の「被爆75年を迎え」を「被爆75年が過ぎ」に改めるという、1ヶ所の訂正に止まり、現在、6月議会に上程・審議されようとしている。
 私たちは、条例案に関して、6月定例議会での拙速な審議・議決を行わず、市民意見を取り入れ、市民等の理解が得られるような条例に修正いただくよう陳情する。

陳情に至った理由

1,第2条「平和の定義」は、狭小すぎる。
2020年広島市基本構想における平和の定義では「本市が都市像に掲げる平和とは、単に戦争がない状態にとどまらず、良好な環境の下に人類が共存し、その一人一人の尊厳が保たれながら人間らしい生活が営まれている状態をいう。」とあるにも関わらず、この定義よりも
狭小である。
多数の市民意見が寄せられているにもかかわらず、この条例案のように平和を狭小定義することは、受け入れがたい。被爆地として世界恒久平和を希求してきたと認知されている広島市が、「平和」を定義するということの責任を深く認識すべきである。世界からの広島市への信頼を大きく損ね、この前例ができてしまうことでの後世への社会的影響も懸念される。

2,核兵器禁止条約の記載がない。
核兵器禁止条約の記載に関しては、市民意見だけでなく、被爆者団体を含む複数の団体からの要望等があった。また、広島市議会では『核兵器禁止条約の実効性を高めるための主導的役割を果たすことを求める意見書』などが全会一致で可決されているにもかかわらず、この条例案では全く言及されていない。
政策立案検討会議では、条例の目的は核兵器廃絶を通じて世界恒久平和を目指そうとするもので、ある種絞る形で平和の定義が原案のようになった旨の発言があったが、であればなおのこと核兵器禁止条約を明記すべきである。
被爆から75年、世界各地のヒバクシャや市民の悲願を実現し、同条約が発効した年に制定される「平和の推進に関する条例」であるにもかかわらず、特筆すべき条約をあえて本条例案に記載しない選択は許容できない。

3,平和推進を目的とする条例案でありながら、憲法違反の疑義がある。
条例案の第5条「市民は、本市の平和の推進に関する施策に協力するとともに」、さらに、第6条2項では「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を、市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行うものとする」。この2項については、広島弁護士会等から日本国憲法で保障された憲法21条の「表現の自由」、憲法19条の「思想信条の自由」を制約する、との指摘が出され、市民意見でも削除・修正意見が多数寄せられた。しかし、政策立案検討会議内で、その疑義に関する確認・議論は行われず、全く修正されなかった。このままの案で条例が作られれば、条例案に罰則規定はないとはいえ、これが何らかの「規制の根拠」となることが強く危惧される。

4,市民意見が全く取り上げられていない。
1月15日から2月15日までに行われた「広島市平和の推進に関する条例(仮称)素案」(以下、「条例案」)の市民意見募集に対して市民意見が千件以上寄せられ、また、被爆者団体を含む複数の団体・個人から要望等が出された。
政策立案検討会議において、条項ごとに論点整理をして一定時間かけて市民意見に対する審議が行われたとはいえ、素案作成時、各会派からの意見を検討する際に決まった全会一致の原則が市民意見の検討にも継続適用されたため、たった1名の議員の反対で、市民意見が採用されないこともあり、この結果、時制を合わせる1ヶ所の訂正に止まった。傍聴していても、各議員の発言は、今までの議論や経緯の確認、自身の意見の主張ばかりで、市民意見を分析し、それを反映させようとする姿勢すら見られなかった。
市民意見を市政に反映させることが仕事であるはずの議員が、これだけの市民意見について全く取り上げなかったことは異様であり、到底容認できない。

私たちは、「広島市平和推進基本条例案」に関して、6月定例議会での拙速な審議・議決を行わず、市民意見を取り入れ、市民等の理解が得られるような条例となるために、修正いただくよう陳情する。

                           令和3年6月11日
広島市議会議長
山田 春男 様

             平和推進条例の改善を求める市民キャンペーン
                          代表 渡部久仁子
                            (ほか11名)

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