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生まれ育った町で働き、遊び、考える

湧別の登栄床(とえとこ)
地図で確認すると、こんなところ!?と驚くだろう。
言わずもがな漁業が盛んな地域だ。
サロマ湖沿いには各家の作業倉庫が建ち並んでいる。

取材陣に作業を見せるため、わざわざ沖から牡蠣を取ってきてくれた本間さん親子

―こんにちは!
「あ、どーもどーも!こんなところですみませんね。」
と、作業倉庫に案内してくれたのは漁師で湧別漁協組合青年部部長の本間雅人さんだ。
小中高を湧別で過ごし、札幌の介護専門学校に2年間通い旭川で1年介護の仕事をしてから戻ってきたという。
もともと、父が独立する場合は家に帰るという条件で専門学校に通わせてもらったそうで、
「おむつ替えは得意ですよ!」と介護士として働いていた頃の話も楽しそうに話してくれる姿からは優しさが溢れていた。

「兄貴が障がいを持っているから自分が少しでも勉強しておけば役に立つかなと思って通ったんです。」
ガイドヘルパー、視覚障害者の移動介助など介護に関する資格を5つほど取得。
本間家にとって雅人さんは頼もしい存在に違いない。

「帰ってきた年から湧別の毛ガニの船に8年間乗っていました。それで一昨年降りて、家の仕事を継いでる形です。毛ガニの仕事は8月までなので終われば家や親戚の仕事に戻ってバイト歩きをずっとしてましたね。」

帰ってこいの一言で地元に戻り、8年の下積み生活。

「下積みはまあ長いのか短いのか…長い人はもっと長いんで。
まあ、よそに働きに出ない人もいますけどね!自分は親父が元気なうちは外出て稼いでこいって言われてたんで笑
全然、あっという間でしたよ。帰ってきてからはもう1年があっという間ですね笑」

サロマ湖は冬になると一面凍り、オホーツク海には流氷が来る。
「サロマ湖が凍る前に、越冬だこを獲るためのたこ箱を海に沈め、船は陸上に上げます。3月に船を下ろしてたこ箱を引き揚げたら、ニシン漁。ニシンが落ち着いてサロマ湖の氷が溶けたら、ホタテ漁が始まります。秋になりホタテが落ち着くと今度は牡蠣。冬になったら牡蠣の水揚げですね。」

水揚げした牡蠣には小さな汚れがついている(左)ので、ブラシで丁寧に磨いて(右)全国各地へ出荷する。
水揚げした牡蠣はオゾンにつけて汚れを落とす。

オホーツクの厳しい自然環境に合わせて行われる漁には休みがない。

「毎朝2時に起きて8時頃就寝。おじいちゃんみたいな生活ですよ笑」

自分の時間はとれているのだろうか・・・?
「うちは朝早くて昼で仕事終わっちゃうんで、川に釣り行ったり山に入って狩猟したりしてますね。まあその結果1年があっという間です。」

自然と共に育ち、自然の中で働く。
そして自然の中で遊ぶ。
田舎暮らしに憧れる人にとっては、こんな贅沢ないかも・・・!?

愛犬を抱いて取材チームを見送る雅人さん。

町内おすすめスポットはどこでしょうか?
「愛ランドYOUでしょ!みんな愛ランドYOUっていいません!?」

―いや…まだ誰も・・・笑

「え!愛ランドYOUが一番のデートスポットだと思ってるんだけど!笑
ん~他は…三里浜のキャンプ場じゃないですか。オホーツク海とサロマ湖が両方見えるんで!札幌に住んでた頃友達にどこ住んでるの?って聞かれてここって言ったら、こんなとこ人住んでないでしょって言われましたよ笑」

湧別町で生まれ、外を知って戻ってきた雅人さんが思う湧別の理想像はどんなものだろう・・・?

「もうちょっと力を入れて観光客が来るような町になれば良いなと思いますね。
ちょっとアピール力に欠けるかなって笑
牡蠣だって北海道で一番出しているのは湧別ですしね!正直言って湧別の牡蠣本当においしいと思うし。今は価値が見いだせていなくて安いからもっと宣伝していけば高くなると思うんですけどね。
湧別ってポテンシャルは高いと思う。
産業まつり(※)みたいにがちがちにしなくてもいいから漁師と農家集まって何かしてるとかね。」

※産業まつり…湧別町で毎年9月に行われるお祭り。子どもたちによる鮭のつかみどりは湧別の風物詩。

仕事と趣味の時間を大切にして湧別町で充実した生活を送っている雅人さん。
現在は湧別漁協組合青年部の部長として、PR面でもいろいろ考えていることがあるそうだ。
今後を担うバイタリティー溢れる若者がいる湧別町はもっともっと楽しくなるに違いない。

マガジン”湧”取材チーム
湧別町地域おこし協力隊 さき


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