「私の猫が机の下にいる」の正しい英訳は?

早速ですが次の日本語を英訳できますか?
「私の猫が机の下にいる」

「There is my cat under the table.」
「My cat is under the table.」
この2つのどちらかを考えた人が多いのではないでしょうか。正解は「My cat is under the table.」なのですが、今回はなぜ「There is my cat under the table.」が間違いなのかを解説していきます。

言葉の自然な流れは、旧情報→新情報

例えば、あなたが友達と会話をしている時に、その友達がいきなり

「田中がさ…」

と、あなたが知らない人の話を始めたら困惑しちゃいますよね。これは、新情報から話を始めているからです。逆に

「俺の小学校の同級生の田中がさ…」

という話し方であれば自然に感じると思います。それは、友達(当然、あなたから見て友達はすでに知っているので旧情報)から田中(新情報)に流れているので、自然に感じるわけです。

新旧の区別

例えば、昔話の桃太郎で「昔々、おじいちゃんとおばあちゃんがいました。おじいちゃんは山へ芝刈りに、おばあちゃんは川に洗濯に…..」ってやつがありますが、この文は旧情報と新情報を明確に区別しています。

どういうこと?と思った人は助詞に注目してみてください。

最初は「昔々、おじいちゃんとおばあちゃん”が”いました。」なのに対して、2回目は「おじいちゃん”は”山へ芝刈りに、おばあちゃん”は”川に…」となったますよね。

つまり日本語では、
新情報→「が」
旧情報→「は」
を使って情報の新旧を区別しています。

英語も同じ

この旧情報から新情報へ流れることが自然に感じられるのは、実は英語も同じなんです。しかし英語では日本語で言うところの助詞に相当するものがありません。逆に日本語になくて英語にあるものがあります。それが”冠詞”です。英語では冠詞を用いて新情報と旧情報を区別しています。

急ですが、「theは話し手と聞き手の間に共通認識がある時に使う」って聞いたことありませんか?

これってつまり旧情報のことですよね。他にも「my」などの所有格など、とにかく既に特定されている事柄は旧情報なんです。

Thereの意味

「There is my cat under the table.」のThereはいわゆるthere is構文などと呼ばれるものですが、このthereってなんなんでしょう?「そこ」と訳されることが多いですが「私の猫が机の下にいる」に「そこ」に相当する言葉はありません。

Thereは新情報の合図

there is構文のthereは新情報の合図と考えてください。前述の通り、いきなり新情報から始まると相手が困惑してしまいます。それを防ぐためにあるのがthereです。「俺の小学校の同級生の田中がさ…」では”俺の小学校の同級生の”の部分がthereの役割を果たしているわけです。

逆に旧情報の前にthereがあるとめっちゃくどい文章になります。

(あなたと友達は高校の同級生で、当時の担任の先生について話しています)
友達が「俺の高校の時の担任の田中先生がさ…」と話していたら変ですよね。

これを踏まえると冒頭の問題の答えがわかります。
「私の猫が机の下にいる」
”私の猫”はMy catですからthereを使うと「There is my cat under the table.」となり、新情報の合図→旧情報。という情報の流れになり、変なことになってしまいます。よって正解は「My cat is under the table.」になります。
※My cat(旧情報)から始まっている自然な文になります。

おまけ:there is構文の解釈

記事の趣旨と少しずれますが、せっかくの機会なので書きます。

there is構文をどのように解釈するかは人によって分かれるので、これが正解とは断言はできないのですが、あくまで僕なりの解釈の一つとしてご理解ください。

there is構文の成り立ち

「A dog is on the sofa.」という文があったとします。前述の通り、新情報から始まると相手に違和感を与えてしまいます。ではどうするのか、前にあって困るなら後ろに置くしかありません。しかしそれでは「is a dog on the sofa.」と疑問文と同じ語順になって、これはこれで困るわけです。そこで文頭にThereを置くことで解決したのです。

今回は以上になります、最後までお読みいただきありがとうございます。


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