防衛政策は防衛省だけでは不可能
昨年12月、岸田政権は国家安全保障戦略など「安保3文書」を閣議決定し、日本の防衛政策の大転換をおこなった。
現在、防衛省自衛隊は台湾有事に備え急ピッチで防衛力整備に取り組んでおり、令和6年度概算要求において7兆7385億円を計上した。
正面装備だけではなく、継戦能力向上のため弾薬の確保に約9303億円、装備品の部品不足解消や可動率向上に約2兆3515億円を充てられている。
自衛隊では予算不足により弾薬の確保や隊舎の整備にしわ寄せが及んできたが、防衛予算の増額によって今まで放置されてきた問題にメスがはいることになる。
本土防衛には各中央省庁の協力が必要
しかし、こうして防衛予算の増額によって自衛隊の強化するだけで国の防衛ができるかといえばそうではない。
有事の際は、自衛隊は南西方面に急行や住民批判の際に空港や港を総動員する必要がある。当然のことながらそれを所管するのは国土交通省となる。
こうしたインフラ・医療・宇宙・サイバー関連経費・通信・科学技術といった面を強化するには防衛省・国土交通省・厚生労働省・総務省・文部科学などと連携し、省庁横断で有事に備える必要がある。
今まで防衛政策と聞けば「防衛省の責任」というのが一般的とされたが、それは国際的に見ればスタンダードではない。
「そんなのは当然だ」という声もあるかもしれないが、そういった事をしてこなかったのが戦後日本である。
動き出した中央省庁
そうした体制が必要な中で2か月前8月25日官邸である関係閣僚会議が開かれた。
それが「総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」である。
出席者一覧:松野内閣官房長官、高市経済安全保障担当大臣兼内閣府特命担当大臣(科学技術 政策・宇宙政策・経済安全保障)、岡田内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)、 松本総務大臣、鈴木財務大臣、永岡文部科学大臣、野村農林水産大臣、西村経済産 業大臣、斉藤国土交通大臣、浜田防衛大臣、伊佐厚生労働副大臣、山田環境副大臣、 磯﨑内閣官房副長官、栗生内閣官房副長官、秋葉国家安全保障局長、藤井内閣官房 副長官補、鈴木国家安全保障局次長、市川国家安全保障局次長
一覧を見ても今回の会議には多くの関係閣僚が参加しており、「研究開 発及び公共インフラ整備の分野における取組を関係省庁の枠組みの下で推進し、総合 的な防衛体制を強化することを目指していく。」と資料には記載されていた。
こうした動きは今までの歴代政権ではされてこなかった動きであり、現在進行形で沖縄県・福岡県・香川県・福井県など港の整備や新石垣空港・那覇空港・鹿児島空港・宮崎空港・高知空港などは滑走路の延長などに取り組む計画が着々と進められている。
安保3文書改訂からまだ数か月しかたたないうちにこれだけの政策が同時並行で進められており、今後ますますその動きは加速していくとになるであろう。
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