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反撃能力とインテリジェンス 

安保3文書に書けばゴールなのか?

昨年12月、政府は国家安全保障戦略など「安保3文書」を閣議決定し、日本の防衛政策の大きな転換点となり、反撃能力の保有についても明記されることになった。
これによってこの方針を現実にする為に膨大な作業が必要になり、防衛省自衛隊は急ピッチで体制を整えている。。

インテリジェンスがなければ反撃はできない

反撃能力による攻撃に着手するためには、敵部隊の詳細把握・標的設定・損害評価といったものを強化すると必要がる。細かい話をするともう少しあるが今回は大枠の話をすることとする。
北朝鮮のミサイル対応を事例にあげると日本は情報収集衛星や電波傍受、レーダー、そして米国の早期警戒衛星などによって情報を収取している。
しかし、台湾有事の際は中国の航空基地などその他の目標に対して反撃を行うという状況が十分に想定され、敵部隊の詳細把握など最も細かな情報が必要となるであろう。

敵基地攻撃の核となるトマホーク

日本がアメリカから購入予定のトマホーク巡航ミサイルは2021年に採用されたトマホークBlockⅤである。当然最新型であり一部界隈が言っている中古品というのは誤った情報である。
トマホークの誘導方式は基本的に4種類あり、INS(慣性航法システム)GPS(全地球測位システム)TERCOM(地形等高線照合装置)DSMAC(デジタル式情景照合装置)とされる。
そして誘導で主となるのはTERCOM(地形等高線照合装置)・DSMAC(デジタル式情景照合装置)の二つである。
この二つを使うためには事前に情報を収集、地形・飛行経路等をあぶりだす必要性があり、偵察衛星・光学衛星が重要となる。

・TERCOM(地形等高線照合装置)
飛行経路の地形の等高線データを事前にミサイルに入力し搭載されたレーダー高度計で地形の特徴を確認しながら飛行する。

DSMAC(デジタル式情景照合装置)
飛行経路途中の地形の情景の特徴をコンピュータ処理したものを事前にミサイルに入力して、光学センサーで実際の情景と確認して、飛行経路の修正を行い目標への命中精度を高めるシステム

実現に向けての日米の協力

先ほど述べたがTERCOMDSMAC活用には偵察衛星・光学衛星が重要となるが、それを日本で独自に用意することは不可能である。
実現するためにはアメリカからの情報支援が必ず必要となり、今まで以上に情報の機密・非機密扱いを分類する政府の共通基準や厳格な個人情報セキュリティーなどの対策をしなければならない。
安保3文書を現実のものとするためにはこうした一つ一つの手順をクリアしなければならず、そうしなければ安保3文書を閣議決定したとしてもそれは作文と同じなのだ。


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