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探究学習やPBLより地味だけど、何より大切な「対話」


どうも!

タイトル通り、地味な「対話」を広げようとしている海斗です!

株式会社すみかのサービスであるcanauが正式リリースしました。

中高生が働く大人に進路相談できるサービスです。まさに進路相談を切り口に中高生と働く大人が対話する場をオンラインで提供しています。

canauを導入した高校の1年生・2年生は学校の夏休みの宿題として、3人の大人にオンラインで進路相談するという、自分で言うのも手前味噌ですが、ありそうでなかったサービスです。

canauでの進路相談の流れ
10分:趣旨説明・自己紹介(アイスブレイク)
10分:会社紹介・生き方紹介(プレゼン)
25分:進路相談
5分:振り返り

リリースしてから2週間が経ちました。canauを通して、生徒が大人に進路相談する姿を見て、感動しちゃいました。その理由を今回のnoteに綴ります。

悩みを打ち明け出せないってしんどいよね。

canauで働く大人に働くことや進路相談のことを聞けなかったら、3年間悩んだまま過ごしていたのかなって不安になりました。悩むって何気ないことだけど、悩み続けると自分をダメにしちゃうブレーキだと思うんです。青年期は自我を形成する時期です。「〇〇になりたい」と承認欲求や自己実現を自覚する時期です。だけど、同時に不安も襲ってきて「なれるのかな?」「安定した道を選んだ方がいいのかな?」とすごく葛藤する時期でもあります。

実際にcanauの中でも、

「将来何したいかわからないんですけど、どう決めたんですか?」
「海外に行きたいと思っているんですけどいつがいいですか?」
「安定した仕事と、自分のやりたいことのどっちをどう選んだんですか?」

など、生徒の悩みは十人十色。その働く大人の回答も十人十色。生徒にもあくまで大人の回答は「参考にしてください。」と伝えています。

ただ、働く大人の回答も秀逸で、

「必ずしも1つの仕事に絞るのではなくて、3つ同時に仕事することもできるからね。」

と、良いかどうかではなく、複業という選択肢があることを知ったというこの事実が彼らの価値観を広げるんだと思いました。

何かを乗り越える時に相談相手がいるだけで安心する。

大人もそうですが、自分が悩んでいることや困ったことを自分一人で解決できるわけじゃない。ただ、今の学校現場では自分が進路について悩んだ時に相談できる選択肢があまりにも少なすぎます。親や先生に相談できたらまだましです。「進路について相談する」という概念すらない生徒もいます。そんな生徒に安心して話ができる場を提供することがとても重要です。

進路で悩む場合のほとんどが、
①情報不足
②自信がない
③自己理解の欠如

のどれかだと思います。

大人に進路相談ができるのは、ただ単に大人と出会えれば良いわけではありません。生徒が安心して、自己開示できるのは、以下の3つがポイントだと思いました。
・否定されない安心感
・「はじめまして!」だけど共感される喜び
・悩みは声に出した時点で90%解消される


これらをそれぞれ詳しく見ていきます。

・否定されない安心感

とある生徒が「数学のテストで赤点取ったんです〜。どうしましょう。」と打ち明ける会がありました。きっと先生からは、「勉強したの?」とか「何でこんな低いんだ。」みたいなことを言われる確率が90%だと思います。しかし、canauにいるサポーターは全肯定をルールとしているため、頭ごなしに 「ダメだね。」とは言いません。もちろん、「赤点すごいね!」と意味のわからない褒め言葉を言うわけでもありません。
ただ、「取っちゃったんだー。大変だね。自分で原因ってわかっているのかな?」と否定も肯定もせず、事実を受けとけってくれます。この否定されない安心感が「せっかくだし、普段聞けないことを質問してみよう。」という意欲を生みます。


・「はじめまして」の人に共感される喜び

 canauはたった50分で生徒が最大限打ち解けられるようデザインしています。だから、意外と他の生徒がいても、「漫画家になりたい」と夢を教えてくれる生徒や「全く将来決まっていないんですよね。」と恐る恐る言ってくれる生徒もいます。何ならいまだに参加した生徒で誰一人1回も質問できない人はいなかったかと。(その細かい設計を書くと長いので気になる方は個別聞いてください。)

とある進路相談の会では、

「わかるー!私もそうだったー!」

と、共感の嵐みたいな感じになっていて、一瞬「あれ。ここは、カフェかな?」と勘違いするくらい盛り上がっていました。
大人が的確なアドバイスを伝えて一気に解決することも大事な一方で、それと同じくらい、対話を通して、一緒に悩んで、一緒に考えて、一緒に解決するこのプロセスも大事なんじゃないかと。いや、共に学び合う方が大事なのかと。

・悩みは質問した時点で90%解消される

 自分以外の誰かに質問することで「自分が何に悩んでいるか」に気づくことができます。サポーターに質問しているようで自分の言葉が自分に跳ね返ってくることで悩みから考えるに変わります。悩みは困っていることをわかりながら抜け出せない状態。考えるとは、困っていることから抜け出すために情報収集し、判断していくこと。
この判断するためには、判断できるようになる材料として、知識や考え方をサポーターからもらう。

「対話」って地味だけど、探究学習よりPBLより大事だと思うんです。

ただ、その知識や考え方をサポーターからもらう前に、話した時点でスッキリして解消している傾向があるようです。このやりとりを見ていて感動を覚えた一方で少し怖さと不安を覚えました。もし、この生徒が3年間学外の人に仕事について進路相談相談できなかったら3年間モヤモヤしたまま過ごしていた可能性がある。

可能性があるとしたら、進みたい気持ち(アクセル)と同時にモヤモヤした悩み(ブレーキ)を抱えることは、気持ちの整理がつかず、勉強や部活動への影響も大きく受けてきます。

対話は今すぐ何かが解決することでもないし、課題解決型学習(PBL)よりわかりやすい成果が出るわけでもないし、探求学習ほど派手に映えるわけでもない。
対話って、地味に見えるけど、対話は生徒の根本にある悩みを解決することができます。派手じゃないけど、生徒がアクセル全開で学校生活を過ごすために必要なのが「対話」です。

対話には、心理的安全性という否定されない安心感・聞こうとする文化がポイントです。
canauには心理的安全性が溢れる。


高校1年生が1年生のうちに働く大人からキャリアに対する考え方や高校生活の過ごし方を知ったことでこの先どのような変化が生まれるか楽しみです。

いただいたサポートは、オンライン進路相談会の活動費に使わせていただきます。