夢の本棚⑤〜佐々木譲〜抵抗都市
日露戦争に負けた日本、11年後変死体が東京でみつかる。
ロシア支配下の中、奮闘する警視庁の特務巡査、新堂と神田警察署の多和田。
だが事件の背後には壮大な陰謀が潜んでいた。
事件を探る彼らに日本側、ロシア側の双方から危険が迫る。
架空戦史と警察ものを融合させた意欲作!
(談)
佐々木譲といえば、直木賞受賞もあり、近年は警察小説の書き手として名高いですが、私にとっては第二次世界大戦秘話3部作で圧倒された冒険小説の書き手としてであります。
とりわけ戦争に翻弄される日系アメリカ人のスパイを描いたエトロフ緊急電は心に残る感動作でありました。
この作品はここ最近氏が取り組んでいる架空史実と警察小説の融合です。
こかで佐々木さんが書く日本は日露戦争で負けた日本の姿です。
統治権はロシアが持ち、日本側はわずかながらの自治権を得ているそんな感じですかね。
もちろんこの当時は日本もロシアも軍事国家でおり、すきあらば完全支配、あるいは反逆といった陰謀が張り巡らされた一触即発の状態であります。
佐々木氏はロシアのウクライナ侵攻前にこの作品を書いてますが、まさに主権国家が破れるとこのような状態になるという暗示が込められてますね。
むしろ現実はこの小説の状況より酷いかもしれませんね。
内容的にやや前半部分が中だるみ感がありますが、後半のスピード感あふれる展開は魅了されます。
なおこの作品は既に続編が書かれてます。
偽装同盟という作品でロシアとの二帝同盟が解消された世界が舞台です。
その後も氏が継続されるかどうかわかりませんが、歴史にもしがあったらの作品、私は好きなのでぜひ読みたいところです。
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