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連載 タイムラブ〜愛に時間を〜夏の終わりに②

中央シティーから神明島までは電子バイクだと快速ロードで行けば1時間もかからなかった。
神明島は小笠原諸島の一角にある人工島である。
海底道路である快速ロードを設立した旧東京都は中央シティーに改名後さらに太平洋諸島との繋がりを円滑にするためこの島を作ったのだ。
神明島は若い世代に人気を集めリゾート地としても大いに賑わっていた。

「絵里、そっちはもう合宿所まで着いたかい?」
凉はバイクテレホンで連絡を入れる。
「もう少しよ‥あと2、3分で到着よ。」

「了解。」

「夕子のやつ、やっぱり速いよな。」
士郎が後ろの助手席で叫ぶ。

「いいから、お前は黙って乗ってろ!」

合宿所は神明島のビーチの東方にある。
合宿所は日本時空光学研究所の元研修施設でここはそれぞれ一軒家になっていて、自炊設備はすべて整っていた。
そして凉たちの泊まる所にはスタジオ設備があり、音楽を練習するのに最適の場所であった。

凉と士郎が合宿所に着いたとき既に準備は整っていた。
「遅いよ、もう準備は出来てるよ、」
絵里はしびれを切らしていた。

「すまん‥すまん‥ちょっとおれ、パーキングエリアで、おトイレに行ってたんよ。」
士郎が手を合わせて弁解する。

「絵里、すまんかったな。」
「もういいよ。怒ってないからお肉を焼いてあげて。」

夕子もクスクス笑ってる。

「それはそうと凉、合宿所を挟んで森の向こうに建物が見えるでしょう。あそこから妙な赤色の光がずっと漏れてるの。」
絵里は疑問を口に出した

「何だって。」

士郎が思ってることを口にだす。
「確かあそこには時空光学研究所の試験所があったはずやで。」

夕子もメモリックスを向ける
‥間違いありません。日本時空光学研究所の試験所です。
でも15年前の事故の時に危険エリアとして閉鎖されたはずです。‥

「おかしいな。あとで見に行くか!」
士郎も後に続く。
「そうやな。それより肉焼けてるで。みんな食べや。腹が減っては戦は出来んからのー。」

バーベキューの肉の焼ける煙が上に舞い上がる。

BGM
クリスレア〜オン・ザ・ビーチ
80年代半ばにイギリスのシンガーソングライター、クリスレアが放った大ヒットナンバー。
日本でもCMソングに使用される。
ラテンビートの軽いのりとしゃがれ声のクリスがマッチして枯れたサウンドを出している。

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