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失われた音楽用語〜スーパーセッションとは?

今は有名なアーティスト同士がコラボしたり、ステージで共演することが当たり前である。
果たして昔からそうだったのか?

筆者が考えるにジャズはそうであったかもしれないが、ロックはそうではなかったと断言出来る。
ジャズはビッグバンドだったり、クインテットだったり、デュオであったとしてもそれぞれのソロイストが集まって演奏する。
集団の前にまず個々の演奏テクニックが試される個々ありきの音楽だと思う。

しかしロックの場合は基本的にバンドありきである。
ミックジャガー もキースリチャードもローリングストーンズなのである。
ブライアンメイはクイーンだし、エドワード・ヴァンヘイレンもヴァンヘイレンだ。
バンドの中のギタリスト、ボーカリストであるのだ。
メンバー間の結束がバンドでライバルはあくまで相手のバンドということもいえる。
さてロックはいつからライバルであるミュージシャンや畑違いのミュージシャンとやるようになったのだろうか?

1968年アルクーパーがマイク・ブルームフィールドとスティーブン・スティルスと録音した「スーパーセッション」がその始まりだとされてる。
実はこれほんとはマイクブルームフィールドが拒否症でスタジオに来れなくなり、代役のスティーブンスティルスが参加した。
なので3人が集まって収録はしていないのに
このアルバムのタイトル、スーパーセッションという言葉が独り歩きしてロック界に広がっていった。

たまたまこの年にロックンロールサーカスの映画が製作されたが、おそらくこれがスーパーセッションの元祖といえるのではないだろうか?
ローリングストーンズを中心に、この映画のために結成したジョンレノン、エリッククラプトン、ミッチ・ミッチェル、キースリチャーズによるバンド、ダーティーマック。
まあこの映画は製作後長い間お蔵入りされてた事情もあり、ないがしろにしれた一面もある。

○ロックンロールサーカスのデジタル化映像

しかしこれ以降ミュージシャン同士の音楽的な結束は高まったようだ。
有名なウッドストックフェスは個々のパフォーマンスが中心なので除外するとして
ジョージハリスンが主催したバングラデシュ救済コンサートやザ・バンドのラストワルツ は大勢のミュージシャンが共演した。
ロックというジャンルが成熟へ向かう時期であったと感ずる。

セッションという言葉がこの辺りから強くなり、それがさらにジャズやソウルやカントリーといった異種ジャンルまで巻き込んでいく。
なかでも最大のスーパーセッションはライブエイドだろう。
世界のアーティストらが集結、80年代のエポックになる。
イギリス側は生でやってくれましたね


あとビデオアーツが出していたスーパーセッションシリーズはまさにその異種格闘技戦。
2本所有していたがテープが伸びて破損してしまった。
しかし現在YouTubeでその一部の動画がみられる。

ブルースセッションは
BBキングとアルバート・キングのもとにロック界からエリッククラプトン、スティービーレイボーン、ポール・バターフィールド、フィルコリンズ、ソウル・R&B関連でビリーオーシャン
ナタリーコール、チャカカーンらが登場。

こちらはラティーノセッション
ラテンアーティストに混じりカルロス・サンタナとグレイトフル・デッドの総帥ジェリーガルシアが参加している。
ガルシアがラテン系とは知らなかったが、おそらく祖父母あたりと繋がりがあるんだろうか?

スーパーセッションという言葉は90年代あたりまで通っていたようだ。
この背景には成熟したアーティストらが新しい刺激を求めていたことにある。
特にバンドの結束に縛られるロックはそもそもソロ活動が厳しかった。
ところが何年もやっていると音楽も人間関係もマンネリ化する。
そこで外の刺激を受けようと自発的になったのだろう。

残念ながらスーパーセッションという言葉は今はほとんど使うことはなくなってしまった。
しかしそこに音楽がある限り、その言葉はなくても脈々と受け継がれて行く。
それは我々観客や聴衆にとっても魅了されるものだからである。

では最後に2004年のロックの殿堂入りに行われたパフォーマンスから。
曲はビートルズの「ホワイル・マイギター・ジェントリー・ウィープス」
脇役であるプリンスがアクロバティックなギタープレイを繰り広げる!



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