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新 夢の本棚4〜東野圭吾〜白鳥とコウモリ

弁護士、白石裕介がある日遺体で発見された。
警察は直ちに殺人事件として捜査を開始する。
そして愛知県に住む倉木達郎を容疑者として逮捕した。しばらくして倉木は白木の殺害を自供する。
しかも30年前に愛知で起きた容疑者死亡の殺人事件も自分が真犯人だと自供する。
倉木は容疑者の家族に内密に贖罪することを白石弁護士に相談していたが、白石に犯罪を暴露すると言われ殺害したと証言する。
これに疑問を抱く倉木の長男、和真は独自で調査を開始する。
同じく白石の娘、美玲も倉木の話す父親の言動に違和感を感じ、行動を起こす。

浮かび上がる過去の事件の容疑者の遺族、浅羽家の内情、警察側の五代と中町の捜査を絡み、過去と現在の事件の真相を暴き出す。
東野圭吾が最高傑作の一つと自負した巨編。

(談)
東野圭吾の作品、久々に読了しました。
やっぱり面白いですね。
読み出したらやめられない、止まらない。
冒頭から引きずり込まれる被害者の謎の行動と加害者の突然の自供。

この作品で語られる30年前の悪徳金融業者殺害事件は1985年に起きた豊田商事会長殺害事件をモデルにしてますね。
東野さんは作家デビュー前、愛知県で仕事をして生活していたので、土地勘の入った描写が幾つも出てきます。

それにしても本の帯に東野版ロミオとジュリエットとあるのですが、これは東野版罪と罰の間違いではないでしょうかね。

加害者側の息子、和真と被害者側の娘、美玲は決して交わらない存在ですが、双方ともお互いの親の行動に納得できないという共通の思いが惹かれていくことになるんですね。
最後に明かされる真相は肩すかしを喰らいますが、それでも罪を憎んで人を憎まずという基本軸は入ってます。
正攻法のミステリーとしておすすめしたいと思います!

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