酒向 快

1997年東京練馬区生まれ 農民 脱成長コミュニスト 2020年京都大学農学部卒 大学…

酒向 快

1997年東京練馬区生まれ 農民 脱成長コミュニスト 2020年京都大学農学部卒 大学在学中にバイオダイナミック農法・パーマカルチャー・アグロフォレストリーなど オルタナティブな農法を国内外で実践を通して学ぶ 現在は横須賀の農園『SHO FARM』で独立就農を目指して研修中

最近の記事

世界で尊敬される伝説の日本人 闘う農民たち②

「闘う農民たち①」では有機農業について話をしてきましたが、この記事では続編として自然農法について深掘りしていきます。 有機農業運動の根っこにあるのは社会変革を求める思想であり、それは1900年代後半に学生運動や反戦運動、環境破壊への反対運動などとも連動しながら社会に広がっていきました。 同時にJAS認証制度の導入など政府主導で一般化が進められる中で、思想的な側面は削ぎ落とされていった、というのが有機農業の辿った変遷でした。 一方で有機農業とは対照的に、技術のみでなく現代

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      身体性から解放されることで、あらゆる自由を手にする人たちがいてそれは、私たちが求めてきたことなんだと思う。 身体が制約になって何かをあきらめざるをえない、身体が差別の対象になる、そういうことがどうしても起こってきたし、今でも変わらず存在する。 だからこそ身体からの解放を具現化するアートや研究は必要とされてきた。 しかし同時に身体性を失うことが、互いが生身の人間同士であるという感覚を鈍らせ、むしろ互いを傷つけ合うことができるようになってしまうということを、私たちはSNSを通

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        少し前に高校の同級生の結婚式があった。 都内の式場で神前式からはじまり、披露宴会場へ移動。 その後新郎新婦の紹介ムービーや友人のスピーチ、コース料理、お色直し、写真撮影、そして最後に両親への手紙、という流れ。 新婦と私と私のパートナーは3人とも同じ高校の軽音部に所属していたので、私たちは二人で式に出席していた。 式も二次会もあっという間に時間が経って、その日は色んな人と話して疲れたね、なんて言いながら、二人とも帰宅後すぐ寝てしまったのだが、 翌日、パートナーの様子が

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          先日公開した「shofarmの農民ラジオ」第30回でも紹介させていただいたフェミニズム入門書を、詳しくこちらでレビューしていきます! まずはこれ!という5冊選びましたので、気になった本からぜひ読んでみてください。 1. 『We Act 男性特権について話そう』 (Sakumag Colective 佐久間裕美子さんが主催するコレクティブから出版されている小冊子。 ページ数も比較的少なく今回紹介する5冊の中では一番ライトだが、その内容は濃密。 男性特権について男女が集

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          森が燃えるって本当? ヤバすぎるコミューン脱出劇

          ※2023年夏に書いた文章を再掲しています 森が燃えるって本当? いま世界中で起きている森林火災。 最近はイタリアやクロアチアの山火事がニュースになりましたが、そもそも森が自然に燃えるなんてことあるのか?と思いませんか。 自分もこんな経験をするまではそう思っていました。 2019年、オーストラリアで大規模な森林火災が起きたニュースはご存じの方も多いと思いますが、ちょうどその頃僕もオーストラリアのジャングルの中に住んでいて、まさに渦中にいました。 あの年の夏は史上最

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          有機農業の本当の意味とは? 闘う農民たち①

          先日リリースされた自然栽培の記事では、 自然栽培と有機栽培などの他の農法との違いや、共通点について解説しましたが、 (詳しくはこちら) 大事な思想の部分についてはあまり書けませんでしたので、その辺に興味がある方はぜひこの記事を読んでいただければと思います! ウェブ記事が表なら、こっちは裏テーマといった感じでしょうか。 自然栽培だけでなく、これに類するオルタナティブな農法は、有機栽培も、自然農も、自然農法もすべて、 その思想的な元を辿れば、現代の資本主義社会への抵抗であり

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          ヒューマニティーは死んだのか?『夜と霧』と希望について  

          私の大事な一冊 今まさにパレスチナでホロコーストが行われているからこそ、そしてクリスマスという今日だからこそ、どうしても紹介したい それがヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』 第二次世界大戦のさなか、ヒトラーによる大量虐殺が行われたアウシュビッツ収容所で、そこに収監された人々や、看守の生き様と人間性を、精神分析医の視点から克明に記録した名著 出会ったのは高校2年の頃だったと思う。 豪州への留学から帰国して、現地のアジア人差別やアボリジニに対する不当な偏見を身をも

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