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「男子」のためのフェミニズム入門書 おすすめ5選 レビュー

先日公開した「shofarmの農民ラジオ」第30回でも紹介させていただいたフェミニズム入門書を、詳しくこちらでレビューしていきます!


まずはこれ!という5冊選びましたので、気になった本からぜひ読んでみてください。

1. 『We Act 男性特権について話そう』
(Sakumag Colective

佐久間裕美子さんが主催するコレクティブから出版されている小冊子。

ページ数も比較的少なく今回紹介する5冊の中では一番ライトだが、その内容は濃密。

男性特権について男女が集まって語り合うグループセッションの内容や、自身の体験談を集めた特集など、男性がフェミニズムについて考えるにあたってぴったりの入門書。

最初の1冊にどうぞ!

2. 『僕の狂ったフェミ彼女』
(ミン・ジヒョン

昔付き合っていた彼女と久しぶりに再会したらフェミニストになっていた、というパンチの効いたストーリーラインで展開されるフィクション小説。

無自覚なミソジニー男性とフェミニストの彼女とのやりとりが、始まりから終わりまで彼の1人称の視点で描かれる。
随所に散りばめられているフェミニストの叫びや男の心の声や言動がものすごくリアル。

日本よりフェミニズム運動がより活発な韓国から来たとあって選りすぐりの作品。

日本と韓国では社会的文化的背景が近いからか、そういう点ではほとんど違和感なく読み進められるのもおすすめ。

3. 『これからの男の子たちへ』
(太田啓子


おじさんにフェミニズムを教えるは諦めて(笑)これから社会へ出る男の子たちへフェミニズムを教えていこう、と割り切って話を進めていく本書。

日本社会に蔓延る「男らしさ」や「女らしさ」へ疑問を投げかけながら、今の子供たちが置かれている状況を具体的な子供の言動や親の態度などから読み解いてきます。

日本の学校現場において根深く浸透しているがあまり、軽んじられている性差別や性暴力についても細やかに、鋭く切り込んでいきながら、

ただ全体にやさしい文章で書かれているし、対談なんかも挟まれているので、とても読み易い。

「男子」として日本の公立小中高を生きてきた自分にとっては耳が痛い話もあれば、当時感じていた違和感をはっきりと言語化してくれて「だよねだよね!」なんて思いながら読んだ箇所もありました。

子育て世代の男性の方にもぜひ読んで頂きたい一冊。

4.『主婦である私がマルクスの資本論を読んだら』
(チョン・アウン

 カール・マルクスの「資本論」やソースティン・ヴェブレンの「有閑階級の理論」などを、主婦の目線から紹介していく本書。

主婦と家事に焦点を当て、各章ごとに別の著者が展開する理論を分かりやすく説明する。

自身の日常的な体験や、周りの主婦の言動に対する違和感や疑問を起点に、資本主義の問題、それを支える性別分業という周到な仕組みの正体を暴いていく。

高尚な著作の理論を読み解いていくごとに日常の疑問が解消されていく気持ちよさもありながら、
同時に必ずしも理論とは相容れない主婦としての現実との間で揺れるリアルな感情もしっかり描かれている点も素晴らしい。

エッセイ調で書かれているのでスルスルと読めてしまうが、内容は極めて濃密で、著者の鋭い感性が光る。

5.『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』
(杉田俊介

マジョリティ男性でありながら、しかしその特権性に疑問を持つ男性に向けて、社会の中でどのように振る舞うことが「まっとう」なあり方なのかと問う本書。

フェミニズムが女性解放運動として展開されたてきた歴史的な背景を説明しながら、「トイストーリー」や「マッドマックス」などの映画の批評を通して、現代における男性の立場や精神を紐解いていく。

現代社会における複合差別についての分析など他の4冊に比べると情報量が多く少しタフな部分もあるかもしれないが、
ここまでして初めて男性がフェミニズムを語ることができるのだ、という著者のメッセージも受け取ることができる。


自分の特権性を自覚し、それに悩み、疑問をもち、反省し、その上で女性の抑圧を共に解放していく運動に参加すること、それがいまの社会の中で生きる私たちのまっとうな生き方なんじゃ無いかと筆者は結論する。

悩んでいる著者自身の思考の整理のために書かれたとも言える本書は、同じように悩む私たち男性へ、一緒にマイノリティへと降りていこうとおずおずと手を差し伸べてくれている。


以上おすすめ5選でした!!

これらの本を読むなかで、私もそうでしたが、いろいろ反省したり、恥ずかしくなったり、悲しくなったり、するかもしれません。

凹みすぎて辛い、とか感想をシェアしたいこととかあれば、ぜひ一緒に話しましょう!

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