見出し画像

つかずはなれず#1

加茂地区最南端の戸面町会にお子さんと一緒に移住した沢田さん。鹿児島のイタリア料理店で働いていた沢田さんは、ここでの生活にとてもうまく溶け込んでいて、お子さんの芙希さんは地域の宝物のように大切にされている。移住した沢田さんたちがどのように生活をしているのか、沢田家で採れたてのハーブティーと自家製の漬物をいただきながらお話を伺った。

この地域との出会い



開宅舎 小深山(以下Kと示す):沢田さんが最初に開宅舎の事務所に来たのは去年の十月ごろでしたよね。

沙喜代さん(以下Sと示す):そうです。はじめに市役所に連絡したら開宅舎さんを紹介してもらいました。千葉県の他の自治体にも連絡したりしていろんなとこを見てまわっていたんです。

芙希さん(以下Fと示す):ふきちゃんはママの友達の家で待ってた!

K:そうだったんですね。具体的にどんなところに行ったんですか?

S:最初はいすみ市に行ったんです。海の近くがいいなと思って。そしたらいすみ市は移住で盛り上がってるんですね。その雰囲気がちょっと違うかもなと思ったんですよ。

K:千葉で移住と聞くといすみ市は有名ですね。

S:他にも、茂原市とか君津市とか行ったんですよ。久留里とかもいいなと思って。自治体ごとに空き家バンクとかありますけど、開宅舎さんみたいに古民家を紹介してくれるところがなくて。

K:実際に物件を公開してるところって少ないですよね。地域に入っていって関係が築けてきてそこで紹介してくれるってケースが多い気がします。沢田さんが移住しようと思ったきっかけはなんだったんですか?

S:松戸市で育ち、東京や鹿児島に住んできたのですが、親のことを考えたり、ふーちゃんが高校生とかになったときに選択肢があった方がいいかなと思ったりして、千葉に戻ろうと思いました。戻ろうかなって思ったとき、コロナがとても盛り上がっていたのでまだすぐにはって感じだったんです。少し落ち着いた頃に物件を探そうと思って千葉に何度か来て。それでこの地域と出会ったんです。

夕木の家




K:この物件は見つけてから実際に入居してもらうまで、いちばん早かった物件なんです。

S:そうなんですかー?

K:ちょうど片付けとか終わったタイミングで沢田さんが本格的に移住を考えているって連絡くれて、ここの物件を紹介したんです。沢田さんが鹿児島からこの日にもう引越し業者頼もうと思いますって来たのは衝撃でした(笑)

S:ふーちゃんが嫌って言わなかったらその物件にしようって決めてたんです。

F:古いお人形さんだけは怖かったから、ママに捨ててって頼んでもらったの!

S:はじめて開宅舎さんの事務所に行ったとき、この人たちは悪いようにしないだろうって思って。代表の髙橋さんはすぐ近くに住んでいるので、入居してからも近隣の人への挨拶とか、ずっと一緒に回ってくれてほんとに嬉しかったです。

F:でも髙橋さん、すぐに人の名前忘れちゃうの。あれ、誰だっけってよく言ってる。

K:この集落は名字が同じ人が多いもんね。



S:ふーちゃんが学校に行くのにバスで行くんですけど、みんながふーちゃんのことを見ててくれるのですごい安心なんです。この前も、雨が降り出して傘借りたりとか、「雷が鳴り出したら〇〇さんのところへ避難」と避難場所を指定したりしてるんです。もうみんなでふーちゃんを宝物のように扱ってくれます。

K:昔はそれが当たり前だったんですよね。

S:ほんとそうですよね。この前は、家に帰ってきたらなんか家の周りがこざっぱりしてるなと思ったんです。そしたら隣の人が「〇〇さんが綺麗にしてくれたわよ!」って。「ありがとうございます!」ってやりとりをお互い庭からしました。

K:みんな移住してきた人のこと気にかけてくれてるんですよね。家の周りの土木工事をしてくれるはあるあるです。

F:あとね、ママがね、畑作ろっかなって言ったら近くの人が作ってくれたの!

S:ご近所さんが、土地を貸してくれたり、ユンボでその土を掘り返してくれたしてくれて。畑の柵やネットもいただきました。ほんとに心強いです。

K:それはもう本格的にやるしかないですね。簡単に畑やりたいって言えない(笑)

鹿児島の田舎と千葉の田舎



沢田沙喜代さん(以下S):鹿児島の田舎とこっちの田舎は全然違いますね。ほど良い距離感って大事ですよね。付かず離れず。あと言葉がわかるって大きいですね。鹿児島の方言は全然分からなくて。

開宅舎小深山(以下K):言葉がわからないのは不安ですね。加茂地区の人たちはいい人なんですけど、ばかやろうとかおめぇとか、少し驚きませんでした?

S:男性の人たちは照れ屋さんが多いのかなって思いました。すごく愛情深いんだけどシャイなんだろうなって。ツンデレなんですかね。

K:ツンデレな人たちは多いですね(笑)でもみんな優しくてなんだかんだ動いてくれるやってくれるって人が多いです。

S:この地域は人間関係は密なんだけど密すぎないっていうのがいいと思います。田舎に移住すると感じるんですけど、ご近所の人たちは何十年も一緒に暮らしてきた間柄なので、絶妙なバランスで保たれてるんですよね。ここまでは踏み込んでいいけどここからは…みたいなのがなんとなくあるんだろうなって。



K:目には見えない絶妙なバランスがありますよね。鹿児島でもそういうのはあったんですか?

S:二年間鹿児島にいたんですけど、二年間東京の人って言われ続けましたね。もう二年もいるのに…って思ってました。親の代から移住してるのにいまだ深いところまでは入り込めないって人もいましたね。

K:そうなんですね。

S:それでもいいって、もう割り切って、わかんないわかんないって甘えちゃおうかなって。どこまで自分から関わろうとするのか、静かに暮らしていくか、考え方は自分次第だなって感じます。

夕木での暮らし



沢田沙喜代さん(以下S):映画見に行く、お洋服見に行くとかはそんなにないですけど、純粋に生活が楽しいです。同じ季節でも虫の声が変わったなとか、菜の花を摘んで夕ご飯に入れたり、なすを採って焼きなすにしたり。子どもとその時間を共有できることが、かけがえのないことだなって思うようになりました。この子が大きくなったときに、お母さんと一緒に野菜を採って夕ご飯作ったなって思い出してくれないかなって。

開宅舎小深山(以下K):生活が楽しいって最高ですよね。

沢田芙希(以下F):昨日はハーブを摘んでスパゲティに入れたんだよ!カルボナーラとか料理作るの好きなの!

K:ふーちゃんすごい!ぼくは地元がこの辺だけど、そういうことに全く興味を持てませんでしたね。当たり前にあるというか。




S:生まれた環境にそういうことがたくさんあると、そんなに興味持てないんですってね。それこそ移住したいなって思ってる人に、私たちみたいに移住した人がここでどんな生活をしているのか見てほしいなと思ったりします。

K:ぜひ、それやりましょうよ。

S:この前開宅舎さんの片付けに参加してから、すごい考えるようになって。ミニマリストじゃないですけど、使わない物は捨てるようになったりとか(笑)

K:開宅舎の片付けがこんなところに影響してるとは(笑)

S:そういった生活というかライフスタイルを移住したい人と体験できればと思いますね。

K:沢田さん主催の夕木暮らし体験とか面白そう!農作業も一緒にできたらいいですよね。

S:子ども主体でやってくれたら面白いなと思います。例えばカレー作る!ってなったらうちの野菜じゃ足りない物が出てきた時に、お隣さんの畑にあったら相談しに行くみたいな。そうやってみんなで考えてご飯食べれたらいいな。

F:野菜フェスしたい!バーベキューとか花火もしたい!

K:実際に移住した人の話って移住を考えている人にとっては素敵な機会ですよね。

S:その機会に地元の人と一緒に何かできることがあればいいなって思いますね。今は開宅舎さんが入り口になってくれてますけど、この地域にずっと昔から住んでる人も巻き込めたら楽しいなって思います。もちろん全員が移住者に対してウェルカムではないと思いますけど、一人でも味方になってくれる人がいるって思えるだけ安心ですね。来てくれてほんとに嬉しいって言ってくれるだけでよかったなぁって思います。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?