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図鑑の思い出

子供の頃……多分4歳か5歳か、そのくらいだったと思います。
小児ぜんそくで入院していた私に、伯母がお見舞いとして
1冊の図鑑を持ってきてくれました。

発作が起きるとつらくて、苦しくて、
でも発作が起きなければ退屈で。
今のように携帯ゲームもなければ、マンガも読んでいない年齢。
毎日3時ごろに病室の前を通る、ジュースやお菓子を売り歩く自転車の人が
楽しみでなりませんでした。

そんな中で伯母からもらった学研の図鑑『宇宙』。
むさぼるように読み、
かに星雲やバラ星雲、キャッツアイ(Top画像)の美しさ、
アンドロメダ銀河の神秘さや星の軌跡の写真などを、
飽きもせず眺めていました。
多分、ここから私の宇宙好きが始まったのだと思います。

退院したら夜空を眺めるようになり、
星座こそわからないものの、
天の川の美しさにそれこそ見とれていました。

東京に出る機会があれば、必ず渋谷の五島プラネタリウムへ行き、
宇宙博に行きたいと駄々をこね、
宇宙戦艦ヤマトの映画を見に出かけ……。

幼少期に出会う1冊の本とは
これほどまでに影響力が大きいものなのかと
今改めて認識しています。

そして現在。
仕事として、子ども用の書籍を作る機会を多々いただきます。
そのほとんどが図書館向けのハードカバーで、
一般の書店では見かけない本ばかりです。
正しい情報、きちんとした解説、わかりやすい文章を心がけ、
一つひとつの事実を調べながら、取材しながらの取り組みです。

「この1冊のどこかが子どもに大きな影響を与えるかもしれない」
「これを見たい、これになりたい、ここに行ってみたいと思ってくれればいいな」などと思いながら作っています。

子どもの頃に出会う本は、未知との出会いの場。
子どもが好きなこと、知っていることを並べるだけではなく、
知らないことを魅力的に伝えていきたいものです。

皆さんにも大きな影響を受けた本があるのであれば、嬉しいです。

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