日銀の新しい総裁って、誰が決めるの?

日本銀行(以下「日銀」)の新しい総裁に、経済学者の植田和男氏を起用する案が出ているというニュースが最近注目を集めています。

植田和男氏がどういった人物であるかも気になるところですが、日銀の新しい総裁というのは、一体誰が決めるものなのでしょうか。

実は「日本銀行法」という法律があり、この法律にそのことが定められています。

実際の法律の条文を見てみましょう。

(役員の任命)
第二十三条 総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。
(略)

たったこれだけです。
「両議院」というのは、衆議院と参議院のことで、「内閣」というのは、トップである内閣総理大臣と、その他の国務大臣で構成される組織です。

したがって、タイトルの質問に対する答えとしては、日銀の新しい総裁については、衆議院と参議院の同意を得た上で、内閣が任命することになっている、ということになります。

冒頭で「植田和男氏を起用する案が出ている」と書きましたが、より正確には、「内閣から衆議院と参議院に対して、日銀総裁に植田和男氏を任命したい旨が示された」ということになります。

今後想定される流れとしては、衆議院と参議院それぞれで審議され、両議院の同意が得られれば、正式に内閣が日銀総裁に植田和男氏を任命することとなります。

ちなみに、

日銀総裁の任期は5年とされ、再任も可能とされています(日本銀行法第24条)。
また、日銀総裁には、身分保障があり、一部の例外的な場合を除いて、解任されることがないとされています(同法第25条第1項)。
つまり、任命権を持っている内閣でさえ、自由に日銀総裁を解任することはできず、例えば、一度任命したけどやはり気に入らない等の理由で日銀総裁を解任することはできません。
こうした身分保障(理事を除く他の役員も同様の身分保障があります。)は、日銀の独立性を担保するための工夫といえます。

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