バックパックin🇮🇳1日目②
〜前回の続き〜
満身創痍でニューデリー駅に到着し、オートリキシャの運転手も振り切った。
逃げ切れたという安心感とデリーという街の恐怖に鼓動が速くなり、手が震える。
後日色々な人に話したところ、デリーでは街ぐるみでこのようなツアー詐欺をしており、気付かない程巧妙にできているので気を付けてほしい。
とにかくデリーを出る為に列車のチケットを手に入れようとすぐに行動を起こした。
しかし、これがまた凶と出た。
インドの鉄道駅では外国人専用のチケットカウンターがあり、ニューデリー駅はとても分かりづらいところに位置している。
駅構内をウロウロと迷っていると、案内人のフリをした詐欺集団に鉢合わせた。
先程と全く同じ手口で私たちを何処かへ連れて行こうとする。
私たちは失敗から学ぶことが出来たため、ひたすら無視を繰り返すもののひたすら追いかけてくる。
30分ほど追いかけっこをした末に『ここから出て行け』と体を押され、雨の中歩いて駅から出て空港へ逃げようとした。
しかし、それでも付いてくる。
挙句の果てに仲間を呼び2対2での言い合いとなる。
『お前は理解してない』『俺は政府の人間だ。言う事を聞け。』を連呼される→逃げようとすると腕を強く掴み、殴られる。
この流れを何度も繰り返した。
腕にアザができるほど強く掴まれ、殴られた。
どう考えても政府の人間が観光客を殴る訳がない。
同じ口論と被害を受けながらどうここから逃げるかしか私の頭にはなかった。
挙句の果てには頑なについて行かない私たちに『お前は賢い』とまで発言してきた。
もはや力尽くでも金を取る気だったのだろう。
そんな事を続けてるうちに逃げるタイミングがやってきた。
口論を20分ほど続けて痺れを切らしただろう相手が私のことを両手で強く押し、2〜3メートル吹き飛んだ私はその勢いのまま走り去った。
詐欺集団達が私に注視した瞬間に友人も走り出し逃げ切る事ができた。
逃げ切っても周りには狂犬病を持っているであろう犬とこの時信用が全くできなかったインド人、そこら中に転がってるフンしかおらず絶望していた。
2人で『この街やべえ』をひたすら連呼し、ネットの記事などを駆使し、ようやく外国人専用窓口に到着した。
24時間営業という情報を得ていたが、窓口は完全に閉まっていた。
AM6:00 OPEN と記してあり、時刻は5:00頃だった。
肉体的にも精神的にも限界を迎えていた私たちは待つ事を辞め、予約していた宿へ向かった。
駅から歩いて10分とマップが記し、向かった。
もちろん道中は犬、牛、フン、人が落ちている。
居るのではなく、本当に落ちているという感覚だ。
踏まないように下を見て歩けば目の前には恐ろしいほど吠える犬。
そんな道を進みマップを見ると到着していた。
辺りを見渡すも予約していた宿の文字は1つもない。
※後日談になるが、ウェブにある宿であっても現地には存在しないという事もたまにあるらしい。
途方に明け暮れた私たちはデリーにある日本人宿を探すことにした。
通るのも怖い程狭い裏路地を進まなければならないとても分かりづらい道のりだった。
駅を出てから宿にたどり着くまでにも1時間を要し、宿に着く頃には6:00になっていた。
23:00に入国してから実に7時間の時を経てようやく寝る場にたどり着けた。
そして、宿の前に到着した僕らはある文字を見て涙がこみ上げてきた。
『おかえりなさい』
いつも何気なく使っている言葉だが、こんなにも人を安心させる言葉である事を初めて体感した。
そしてベルを鳴らし、中へ入り、とにかく2人で心を落ち着かせて毛布が1つもない中、浅い1時間の眠りについた。
波乱の1日目がようやく幕を閉じた。
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