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鍋はピカピカになったけど

1)キッチンの棚から、Φ18cmのステンレス片手鍋を取り出す。

2)鶏もも肉は1/4程度に、冷蔵庫にある適当な野菜は食べられる程度の大き目サイズにカットする。中くらいのサイズの玉ねぎなら1/4程度。

3)鍋に、全部の材料と水とコンソメとローレルを入れて中火にかける。

4)スープが沸いて、灰汁がある程度出てまとまってきたら、灰汁を取る。

5)そのまま弱火で煮込む。

6)器によそって、粗めにひいたブラックペッパーを適当にかける。

ほとんど手がかからず、これだけで具だくさんの美味しいスープができる。
これまで数えきれないほど作ってきたし、これまで何も問題なかったのに。

昨夜は違った。

器によそっている時に、「この鶏肉臭くない……?」と思った。
「前にも何度か買ったことのあるお店の同じブランドの国産鶏なのに、なんで今日はこんなに臭いんだろう?」とモヤモヤしながら食べ進めていくと、臭みがどんどん強くなってきた。
食べ終えた時には、食器から湧き上がる臭いに耐えられなくなっていて、食休みもそこそこに食器を下げて洗った。

もともと卵の臭いにも敏感な質で、臭いを感じない卵を探して買っている(パッケージに「においがしません」みたいなことが書かれている卵でも、臭うものが結構あるから油断できない)。
臭いのある卵を使うと、洗って水切りかごに伏せてある、卵液が触れた調理器具や盛り付けた器からも、近くを通っただけで臭いを感じてしまう。
洗って水切りかごに伏せてある玉子焼きを盛り付けた波佐見焼のお皿やお好み焼きのタネを作ったボウルが生臭い、なんてつくづく嫌になる。
ただ、大抵の場合、作った料理は臭くない。
玉子焼きもお好み焼きも、臭みは感じることはなくて美味しい。

でも!昨夜は違った。

過去最大級の臭いだった。
Φ18cmのステンレス鍋と、盛り付けた陶器の器についた臭いがもう全く落ちなくて、ステンレス鍋の蓋まで臭い。

中性洗剤で2度洗う。
 ↓ とてもクサい
重曹で2度洗う。
 ↓ とてもクサい
鍋と器に重曹とお酢を入れて発泡させて2度洗う。
 ↓ クサい。

いくらなんでもここまでやって臭いが落ちないなんて経験は、これまでにしたことがない。
一体何が起こったのか……。
諦めて、鍋と器をオキシクリーン漬けにしてひと晩放置することにして、今朝ようやく臭いが消えていた。
漬けきれなかった鍋の蓋からはまだうっすらと臭うけど、今夜お味噌汁でも作れば消えるだろうという許容範囲。

鶏肉や卵ってなんでこんなに臭い(ことがある)のよ、とインターネットの扉を開いてもよくわからない。
餌がうんたらで皮や脂がどうたらというのはわかるけど、不快なレベルで臭みを感じる人と臭みを感じない人がいることがわからない。

まあ、オキシクリーンにひと晩漬けたことで、10年以上ほぼ毎日使っているΦ18cmのステンレス片手鍋が、メモリの中までピカピカになったのは良かった。

ただ。
今、いつものようにいつもの豆でコーヒーを淹れて飲んだら、味が違う。
コーヒーの香りはいつもと変わらないし、朝食の味もいつもと変わらなかった。
コーヒーと一緒に食べている長崎カステラの味も変わらない。
今飲んでいるコーヒーの味だけが違う。
全然違う。
なにか記憶の奥のほうにある香りが混ざったような味。
食べ物じゃなくて……箪笥?何かの木?なんだろう??
味蕾が壊れたのかしら。
昨日の鶏肉は一体なんだったのか。

追記)
翌日、コーヒーの味はいつもと同じ味に戻っていた。


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