猫を保護するということ
我が家では、6匹の保護猫を飼っています。
半外猫だったカイくんにはじまり、県内や隣県から様々な理由で保護された猫たちです。
今日は、猫を保護するということはどういうことなのかについて考えていきたいと思います。
イエネコの祖先はリビアヤマネコと言われている
世界中の様々な場所で見かける野良猫の祖先は、リビアヤマネコと言われています。リビアヤマネコは、キジトラの猫にそっくりなヤマネコで、見た目はほとんど普通の猫ちゃんと変わりません。
約13万年前に家畜化しイエネコとして分布していったとされており、紀元前3000年前のエジプトで広く飼われていたことから、このころに家畜化されたとする説もあります。
日本では、奈良時代に害獣から家や書物などを守る益獣として輸入されたといわれています。
江戸時代では、ねずみ捕りの上手い猫はなんと1匹10両もの価格で取引されていた記録があり、それほどに、猫と人は長くかかわって生きてきました。
人と猫のかかわり
人と猫は、犬や家畜と違い、人は害獣を狩ってもらい、猫は害獣を食することで共生関係を築いてきました。
しかし昨今、この共生関係が崩れつつあることが、猫と人の間における様々な問題の原因だと思っています。
人はもう猫に財産を守ってもらう必要がなく、かつて益獣として重宝した猫を邪魔者として迫害するようになってしまったのです。
イエネコは、ヤマネコと違い人間のいる生活圏でしか生活できません。
人間とのかかわりを持てず、エサと安全な寝床を入手することができない彼らは、ゴミをあさり残飯を見つけ、寄生虫のいるねずみを食べ、這いまわる虫ですら生きるために口に入れます。
その過酷な環境の中で多くの猫たちが命を落とし、野良猫が大人になるまで生き残れる割合は約2割といわれています。
生き残った猫ですら、3~4年という短い寿命を終えるのです。
野良猫との共存のありかた
しかし、すべての野良猫を飼い猫にすることが彼らにとって幸せなのかと考えると、必ずしもそうではないと思えることも出てきます。
野良猫として生まれて育ってしまった猫の多くは、野生の本能が強く発現しており(そういった個体しか生き残れない現状があるのかもしれません。)、ときに人間に敵意をむき出しにします。
多くは、3か月を過ぎたころから人間と距離を置き始め、中には長い時間をかけても友好関係を築けない致命的な敵対心を持ってしまう個体もいます。
そういった個体と共存することは非常に難しく、また、互いに膨大なストレスを抱えながら生きていかねばならずとても現実的ではありません。
そこで、人と猫の共存を可能にする方法がTNRだと考えています。
TNRとは、trap, neuter, returnの略で、野良猫を捕獲し、避妊去勢手術を施し、また元の場所に戻すことをいいます。
TNRを受けた猫の多くは、耳に独特のカット(日本ではさくらみみとよばれることが多い)をされ、一代限りの命としてその生を全うします。
猫は、何もしなければ生後半年で発情期を迎え、多いと一年に3回、4~8匹出産します。
計算上では、一匹の雌猫が3年後には2000匹以上に増えることになります。
そうして鼠算式に生まれた猫が、過酷な環境を生き抜くことができずに死んでいくのです。
TNRは、そういった現状を打破することができます。
悲しい命を増やさない
野良猫が無尽蔵に増えるのは、TNRで抑制することができます。
しかし、猫が増える原因はそれだけではありません。
人間の無責任な繁殖により捨てられたり、それを通り越し多頭飼育崩壊で飼いきれなくなったりする猫もいます。
全国どのシェルターも、そういった猫でうまっていき、殺処分されていくのです。
猫と人が共存していくには
ここまで書いていく中で、猫とのかかわり方がいろいろ浮かんできた方もいるかと思います。
私の考えでは、猫は生後2か月までに人と触れ合うことで共存することが可能になると思います。
そしてその時期を過ぎた個体でも、人に対して敵対心の薄い猫などは人との共存が可能だと思います。
人との関りを失ってしまった猫は、TNRを施し地域猫として見守る。
人との関りが持てる可能性のある猫は、われわれ人間が責任をもって避妊・去勢手術を施し大切に飼っていく。
それが、私たちのできる最大の行動だと思います。
そして、それをすでに行動に移している方々もいます。
邪魔者として扱われ、捨てられ、殺されていく命が減っていくことを祈っています。
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