ジョーカーについて 2024/01/22
はじめに
僕はジョーカーが好きだ。
絶望していて、屈折していて、矛盾していて、世界はブラックジョークであると振る舞う、彼のキャラクターが好きだ。
ジョーカーの存在は映画で知った。
どの映画のジョーカーが好き?と聞かれたら、ダークナイトのジョーカーも大好きだし、ホアキン・フェニックスのジョーカーも大好きだと答える。
どちらもジョーカーとして最高だ、と素人目でみても思う。前者は端から破綻したジョーカー、後者は社会が生み出したジョーカーとして、どちらも大好きだ。
それよりちょっと前のジョーカーについては見ていないからわからない。
しかし、少し前まで、バットマンにおけるジョーカーの原作、というものを見ずに生きてきた。
原作、というのは漫画版バットマンにおけるジョーカーである。
僕は、もっぱら小説とか哲学とか、サイエンス本を読んでいる。僕は、というか、そういう人は、漫画を読んでいるかどうかは、あまり聞かれない。
そもそも読書に漫画は対象外である。という話もよく聞く。
僕は漫画だって、読む人に激情を与えるような漫画は、立派な読書だと思っているし、実際、僕は漫画だって、それなりに読んでいる。(偏ってるけど)
というわけで、僕は漫画版バットマンにおいて、登場する、ジョーカーというキャラクターについて深堀りされた、巷でおすすめされている漫画を二冊買った。
一冊目は『THE KILLING JOKE』、二冊目は『喪われた絆』である。
このどちらも、読んで僕は人におすすめできる、と思った。
なので、今日は一冊目の『THE KILLING JOKE』のジョーカーについて、紹介しようと思う。
ざっくりと登場人物紹介
バットマン
蝙蝠のスーツとデバイスを使いこなし悪を倒す不殺のヒーロー
ジェームズ・ゴードン
バットマンの理解者であり、ゴッサム・シティ警察本部長
バーバラ
ジェームズ・ゴードンの養女
ジョーカー
バットマンにおける悪役であり、浅からぬ因縁の相手
ざっくりとストーリー紹介
ジョーカーは廃墟と化した遊園地を買い取り(所有者は殺害される)、遊園地の見世物だった人たち(太った女性、背の低い男性、双生児の女性)と共にバットマンをもてなすショーを計画する。その計画の一端として、バットマンの理解者である、ジェームズ・ゴードンの精神を破壊しようと、バーバラを殺害(未遂)する。またジェームズ・ゴードンを拉致し、狂気の演説をすることで、直接精神を蝕んでいく。ジョーカーは、ジェームズ・ゴードンを救出し、ジョーカーの用意したライドを潜り抜け、最終的にジョーカーを捕獲する。
語りたいところ
バットマンは正常か、と言われたら、きっと、そうではないと、ジョーカーは思っている。蝙蝠のスーツを来て、警察に協力せず、独自に動き、犯罪者に暴力をふるうが、決して殺さず、何度逃げ出しても、決して見逃すことはしない。捕まえれば警察に引き渡す。それの繰り返し。
そこに充実感、全能感を感じる。バットマンは、それを自覚せず、正義の名の下に欲求を満たす異常者だ。と指摘することもある。
そんなバットマンは、あくまで、ジョーカーとは分かり合える存在だと信じている。ジョーカーが正常になれば、この世界で共に戦えるヒーローになれる、彼は本気でそうジョーカーに言う。ジョーカーは既に何人もの人々を殺害しているのにも関わらずだ。ジョーカーですら、自身はもう手遅れだと告白する。僕はジョーカーの指摘に、同意する、バットマンもまた、異常なのである。
それを裏付けるこの漫画の最後のシーンである。万事休したジョーカーは、捕まることを受け入れると共に、(一般的にみて)つまらないジョークを口にする。そんな自分に、笑いが止まらなくなるジョーカーに、バットマンはなんと、つられて笑ってしまう。最後は二人で、笑いあい、物語は幕を閉じる。
これだと、バットマンは実はジョーカーと同じ異常者でした、という紹介をして終わってしまい、むしろバットマンを語るnoteになってしまう。
しかし私が好きなのはあくまでジョーカーなのだ。
先の説明を逆説的に見れば、ジョーカーは、バットマンと本質は似ている。それはバットマンが語ることである。しかしバットマンと違いただの異常者ではない。すでに深く狂ってしまっているのだ。故に、ジョーカーはバットマンになれない。できることはバットマンと遊び、世界を憎みながら、それでも喜劇と笑うことだ。ここに、ジョーカーの可哀そうでもあり、それでも究極的な悪のカリスマとして立ち続ける存在への、一種の憧れを持ってしまうのだ。(もし、いい悪役を挙げるなら誰がいい?そうジョーカーだ的な意味である)。ここが、僕のジョーカーの推しポイントである。
おわりに
もう一つの作品である『喪われた絆』についてはnoteで語ることはしない。これはネタバレすると面白くないと思うからだ。『THE KILLING JOKE』は、この作品の下敷きであるともいえる存在である。
言えることは、ジョーカーが本気で狂っている、そして、ジョーカーが本気をだした。という事実である。
もし興味を持っていただけたなら、二作を読んでみるといいと思う。
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