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世界たまたま宣言

わたしはたまたま生まれ
たまたま誰かと出会い
たまたまの場所で生きている

地球は丸く玉のようだ
生まれてきたあの子は玉のようだ
この世界は、たまたまである

わたしの人生もまた、たまたまの繰り返しだ

たまたまのことで私は、強者となり弱者にもなるだろう
たまたまのことで私は、その世界の王様にもなるだろう
たまたまのことで私は、この世界からいなくなるだろう

そんな世界に、私の立つ場所はあるか?
私の持ち物は、どこにある?
私はだれに話しかければいい?

誰がこたえてくれるだろうか
それでもわたしは「世界は、たまたまである」と云おう
なぜなら、ある人がそうわたしに教えてくれたのだから

彼女が言ったのは、お天気のことであり
お腹の調子のことであり
ずいぶん昔に貸した本をまたまた忘れてきたこと
それから、いつものムダな話がいくつもあった気もするが…忘れた

それらのまたかというような話を聞きながら
わたしは「世界はたまたまである」と、ふと思い出した
それもまた、たまたまである
あるいは夢の中で話したのかもしれない


しかしこれはぼんやりとした話ではない
ここは強調しておきたい
これは観念的でも抽象的な話でもない
ある意味わたしは科学的な話をしている

この宇宙に地球は一つしかなく
わたしたちの惑星は丸く
およそ38万キロメートルの距離を月が回っている

それくらいの本当のことがあれば、わたしたちは生きてゆける
それからコーヒーと、たて笛と、おむすびと、
あなたのような話し相手に会えるなら
旅に出ることもあるだろう


たまたま立ち寄った食堂の片隅で
わたしはあなたに話しかけるだろう

ここには、よくいらっしゃるんですか?

わたしたちはどこへでも行ける
わたしはここにいてかまわない
世界は、たまたまである

2022年11月3日の次の朝


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