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現役CFOが公認会計士資格を取ってよかったと思うこと


はじめに

皆さまこんにちは、諸見里 卓(モロミザト スグル)です。

2024年5月現在、株式会社movにてCFOを担当している、組織内公認会計士です。先日31歳になりました。

Xでは、「公認会計士のキャリア」「コーポレートの実務」「スタートアップで働くということ」などについて発信をしていますので、是非フォローお願いします!(先日、4年越しに実名化をしました。)

自己紹介/今までのキャリアについてのnoteはこちらになります。

なぜこの記事を書こうと思ったのか

私自身、公認会計士資格を在学中に取得して本当に良かったと、試験合格後、約10年が経過し、当時の目標だった、CFOとして働いている今でも本気で思っています

大学時代、サークル活動や、その他諸々の大学生らしいことではなく、ほぼ全ての時間を公認会計士試験の勉強につぎ込みました。当時は本当につらく、後述しますが、一度ずつ短答式、論文式に落ちたときは、この先自分はどうなるんだろうという不安に押しつぶされそうになったのを覚えています。(本当に記憶が無くなるくらい辛かったです・・・)

そんな試練を精神と肉体共にギリギリで乗り越え、公認会計試験に合格したわけですが、合格後、10年間たった今でも、本当に公認会計士になってよかったなと感じています。公認会計士試験に挑戦しようか迷っている方々には、本当につらいですが、それに見合うだけのリターンが必ずあるので、おすすめをしたいです。

当時の辛かった時期に、こんな記事があったら、もしかすると自分のモチベーションを高めるためによかったのかなとも思い、当時の気持ちを覚えているうちに記事にしてみることにしました。

主に、「公認会計士試験を勉強中の方」「公認会計士の若手の方々」などに、有益な情報になるような内容にしたいなと思っています。

本当にとってよかったなと思う理由が多いので、せっかくなのでシリーズ化しようかなと思っています。それではよろしくお願いします。

公認会計士資格合格まで

公認会計士資格勉強を始めたきっかけ

大きく2つの理由で、公認会計士資格勉強を始めました。

1つ目は、今でこそ有名ですが、当時はまだ立ち上げられて間もない、CPA会計学院早稲田校と出会ったことです。高校時代、大学受験と部活動で疲れきり「大学では遊ぶぞ!」と思い新入生歓迎パーティーに参加したときに、なぜかCPA早稲田校のチラシを見て、興味を持ち説明会に行きました。
説明会の内容の詳細は覚えていませんが、とんでもなく公認会計士資格が魅力的な資格に見えたのを覚えています。

2つ目は、ファイナンスが分かる経営者を目指したいと思ったことです。幼少期からゲームが好きで、特にファイナルファンタジー、ドラゴンクエスト、キングダムハーツなどの、スクウェア・エニックスのIPを愛していました。笑 同社の前代表取締役の松田さんが公認会計士であることを、ふとしたきっかけで知り、ファイナンス知識は経営者の基礎になるのではと思い、公認会計士資格に興味を持ちました。
このタイミングで、将来CFOを目指したいなと思いました。

CPA早稲田校に張り付いた大学生活

大学1年生の夏ころに入塾したものの、実は大学1年時は、なぜか成蹊大学の体育会水球部の練習に週5で参加し、毎日のように水球の練習をしていました。笑 なぜ早稲田ではなく、成蹊の水球部なのかについての理由は長くなるので割愛します。

そんな中、大学1年時の冬に、同じくCPA早稲田校に通っていた友人から「そろそろ本気を出さないと、在学中に受かるのは難しいよ」と熱い指摘をされ、大学2年時の頭くらいから、本気で勉強を始めました。(本当にありがとうw)

ここからは辛すぎてあまり記憶がないのですが、恐らく、毎日8時間~10時間を、週6~7で勉強していたと思います。
大学受験でもそこそこ勉強していましたが、大学受験では部活との両立をしていたことから、「勉強だけ」にかけた時間で言うと、圧倒的に公認会計士試験の方が多かったです。

本気で勉強はしたものの、残念ながら、大学2年時の冬の短答式試験は不合格という結果になりました。今思うと、この当時だと最も大きな挫折だったかもしれません。人生で初めて悔しくて泣いた記憶があります笑

当時は「暗記」中心の勉強方法を取ってしまっており、それぞれの論点や事象の裏の背景についての「理解」が行えていなかったのが、大きな理由だったと思います。

ここから勉強方法を大きく切り替え、「理解」重視の勉強方法を取りました。
全ての論点について、「なぜ?」を5回繰り返しても答えられるようになるまで理解を行い、テキストの内容を全て初学者説明できるレベルを目指しました
大学3年時の5月短答式試験に合格したものの、8月の論文式は追加科目の「経営学」「租税法」の仕上がりが間に合わなくて落ちました。その後、しっかりと時間をかけて理解を突き詰めた結果、大学4年時の8月論文式試験に118位で合格をしました。
今思うと、あの時中途半端に受からず、ここで知識を完全に自分のものにできてよかったなとさえ思っています笑(前向き思考です。)

本当につらい3年間の受験勉強でしたが、幸いにも当時一緒に勉強していた、CPA早稲田校、CPA日吉校の友人とは今でも仲良くしています。辛いことを一緒に乗り越えたのもでかかったのかもしれません笑

実は、5つ下の弟も、CPA早稲田校で学び、公認会計士資格を取得しました。CPAには家族ともどもお世話になり、大変感謝しています。(弟の合格時インタビュー記事を添付します。全然似てないとよく言われます笑)

実績もサポート体制も申し分ないので、これから公認会計士の勉強を始める方々には、CPA会計学院を心よりお勧めします。今は、早稲田、日吉以外にも、水道橋、新宿、梅田に校舎ができています。
私自身、頻繁にCPAのアラムナイイベントなどに参加させて頂いていますので、皆様とお会いできるのを楽しみにしています。


現役CFOが、公認会計士資格を取ってよかったと思うこと

正直今ぱっと思いつくだけでもたくさんあるのですが、今回は5つに絞ってご紹介できればと思います。

①経営の基礎である、ファイナンスの知識などを体系的に習得できる

特に、簿記、財務諸表論、会社法、租税法といった科目で学んだことは、監査法人での実務は勿論、メガベンチャーの経営企画、今のCFO業務にも直接的に役に立っています。勿論、座学は基礎中の基礎ではあるものの、習得しているかどうかは大きな差分になると思います。

特に、理解をして習得した上で、実務でも触れることが多い上記科目は、一生モノの知識となりました。

決算書やIRを見て理解がすぐにできる、事業計画策定や予実管理/モデリングなど数字を自在に操れるようになる、ファイナンスのプロ(投資家や金融機関、事業会社の経理の方など)、監査法人、税理士法人、弁護士などの専門家と話すときに同じ目線で会話ができるなど、公認会計士資格を取る際に学んだ知識は、実務に直接的に活かせています。
結果、CFOになるための武器として、公認会計士資格を取る、というのは非常にいい意思決定だったと思っています。

勿論、資格を取っただけでは実務には使えないので、学んだことをその後のキャリアで使い、自分のものにしていくことで、一生モノの武器になっていきます。

有名な大企業の経営者の方々にも、公認会計士の有資格者(会計職種の経験者)の方々が複数人いらっしゃいます。


②キャリアの選択肢が広がり、リスクを取れるようになる

公認会計士資格を取ることで、キャリアの選択肢が大きく広がりました
私の監査法人時代の同期は、例えば今以下のような業界で大活躍をしています。
・スタートアップ起業(代表取締役)
・スタートアップCFO
・外資系戦略コンサルのマネジメント
・FASのマネジャー
・PEファンド
・VCのキャピタリスト
・大企業の経理部門
・日系投資銀行の公開引受部門
・個人事務所の開業
・監査法人の海外事務所勤務
・監査法人のマネジャー など

見て頂くとわかるように、本当にキャリアの幅が大きく広がります。

また、私のように、元来リスクを取れない性格の人間であっても、公認会計士の資格があると、思い切ってリスクを取ったチャレンジができるようになると思います。
これは、最悪失敗しても、将来どうにでもなるという自信が身につくからです笑

私があのベストタイミングで、movに合流できたのは、公認会計士を持っていることで、3年前の28歳でリスクを取りに行く、という人生の意思決定を取れたことが大きかったと思っています。

③優秀な同期/後輩/先輩との深いつながりが出来た

特に、CPA会計学院で一緒に学んだ仲間や、新卒で入った有限責任監査法人トーマツで知り合った、同期/先輩/後輩との深いつながりが出来たことも、一つの大きなメリットだと思います。
先ほど挙げたように、公認会計士は広いフィールドで活躍しているので、友人たちがさまざまな領域でプロになっていきます。
もちろんギブ&テイクですが、例えばCFOになった後は、トップティアのVCで働いている同僚や、外資系投資銀行で勤務している先輩に質問をしたりと、公認会計士のネットワークは一生ものだと思います。

また、弊社movで、コーポレート本部マネジャーを担当してくれている武野君は、トーマツ時代の公認会計士の後輩です。トーマツ時代に同じチームで一緒に働き、信頼関係を築いていたので現職で合流することとなりました。正直、チームに非常に優秀な彼がいてくれるお陰で、自分が2人いるくらい(もしかしたらそれ以上)のクオリティの成果を出せている実感があります。例えば、こういった素晴らしい繋がりを持てたことは、公認会計士を取ってよかったと思っている理由の一つです。


④所属組織の外部から見た信頼度を上げることができる

これはmovに合流してから感じたことですが、社内に公認会計士がいることで、例えば投資家、金融機関、取引先、監査法人、税理士法人など、外部の方々からの、所属組織の信頼度を上げることができると思います。

・公認会計士がいるんだから、管理体制がしっかりしていそう
・公認会計士がいるんだから、出してきている資料(決算書やIR資料など)は多分正しいだろう
・公認会計士がこう言ってるんだから多分正しいだろう など

自分の信頼性ももちろん資格で高めることができるのですが、
自分の資格で所属組織の信頼度を高めることができるのも、公認会計士資格を取ってよかった理由の一つです。

movは、現在時点で公認会計士3名、弁護士が1名社内に在籍してるのですが、スタートアップなのにと驚かれます。またありがたいことに、会社のことをよく理解している株主の皆様からも、管理体制がしっかりしていて安心できる、という評価を頂けています。

⑤給料のベースが上がる

これは、特に試験勉強中の学生の皆様へ伝えたいメリットです。
公認会計士を取得すると、多くの方が監査法人に入所します。監査法人は、初任給が大体600万~700万、4年目になると基本的には800万を超えてくるのが一般的です。

給料の上がり幅は、例えば商社や金融機関と比較して少ないですが、初任給から高めのベースの給料を頂けるのは、長いキャリアを考えるとメリットが非常に大きいと思います。

⑥海外で働けるチャンスが非常に多い

公認会計士を取得した方の多くが、最初に監査法人に入りますが、監査法人は海外で働くチャンスにあふれている組織です。私の仲がいい同期は、監査法人5年目で、3人同時期に、シンガポール、ニューヨーク、ロンドンにそれぞれ1.5年~2年赴任していました。
海外に行く条件として、勿論監査法人内での評価が高いこと、TOEICの点数が高いことなどが求められますが、例えばMBAで求められるTOEFLやIELTSのハードルに比較すると、非常に低いと思います。
私は3.5年ほどで監査法人を卒業してしまったので海外赴任の経験はありませんでしたが、もう少しいるのであれば是非海外赴任を経験してみたかったです。

私の後輩で、シンガポールの会計事務所で働いている方もいます。海外で働くチャンスが非常に多いのも、公認会計士を取得したことによるメリットの一つです。


おわりに

上記6つのメリット以外にも、沢山のメリットがあると思うので、思いついたタイミングで、時々記事に追加してみようかなと思っています。

公認会計士試験にチャレンジしている皆様が、この記事を読んで、モチベーションを高めて頂けるととてもうれしいです。

少しでも気になることがあれば、いつでもご連絡ください。
ここまでご覧いただきありがとうございました!

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Xアカウントは、2020年に匿名(しろ/組織内会計士)で始めまして、最近実名化しました!是非フォローをお願い致します。

■Note
諸見里卓 / 会計士CFO|note

■X
諸見里卓 / mov / 元 しろ(組織内会計士)(@kaikeishiro)さん / X (twitter.com)

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