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家で介護するって、そんなに大変な事なの?

介護に従事していると、よく聞かれることがあります。

「介護って大変なんでしょう?」
「親の介護なんて、私には出来ると思えない。」
「認知症って、全部忘れていくんでしょう??」 

などなど。

 介護に携わった事がないと、なかなかイメージしにくいですよね。

しかし全く知らないよりは、

「ゆくゆくの事を考えると、ちょっと知っておきたい」

という方に、今回は

「介護って、どんなことをするの?」

という疑問に、お答えしていきたいと思います。
まずは「介護」と聞いて、イメージしやすいのが、

・「おむつを交換する」
・「食事を食べさせる」
・「車いすで移動する」
 などを思い浮かべられる方が多いかと思います。

図1

これらは、生活していく上でも欠かすことのできない、生命維持のために必要な活動といえます。

そのため、直接、相手の肌に触れて行う必要があることから、「身体介護」 といいます。

それとは逆に、

・「掃除」
・「洗濯」
・「調理」

図1

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など、直接相手には触れず、生活していく上で必要な、身の回りの家事を支援することを

「生活援助」といいます。

 簡単に説明すると、

直接的に援助する介護を「身体介護」
間接的に援助する介護を「生活援助」

と、大きく2種類に分ける事ができます。

つまり介護とは、生活していく上で、必要な援助を行う事といえます。
ではこれらを行う上で重要な事とは何なのでしょうか。


「自宅での介護で重要な事」

 介護で重要な事といえば、「知識や技術」と思われる方が多いのではないでしょうか。
はたまた、「思いやりや愛情」「慈悲の心」などをイメージされる方もおられるかと思います。
確かに、上記の内容は必要ですよね。しかし重要かと言われれば、「知識や技術」は勉強すれば備わりますし、「思いやりや愛情」は人間関係にもよります。もちろん、そのような観念が根底にないと、なかなか介護というところには行きつかないかもしれません。


その① 「介護は気負わない事」

介護は「人間 対 人間」です。

「こちらはよかれと思ってやったことが相手にはそうではなかった。」
気持ちのすれ違いなんて、介護に関わらず、どこにでもある話です。

感情が入ってしまう以上、「なぜわかってくれないの?」とお互いが感じるようになってしまうと、今まで積み上げてきた関係さえ、崩れてしまうこともあります。
 
 相手の行動や発言が理解できなかったり、頭ではわかっていても、感情が整理できないこともあります。
その結果、イライラして怒ってしまい、冷たい態度をとったり、優しくできなかったり、自己嫌悪に陥ってしまいます。

自宅での介護の始まりは、準備万端で始まることはほとんどありません。
後手になることもしばしばあります。

そんな時、どうしても「介護をしなければならない」という強迫観念が、追い打ちをかけるように「気負ってしまう」事態になってしまうんです。

    「気負わない事が重要です」

 では気負わないためにはどうすればいいのでしょうか。


その②「人に相談し、話を聞いてもらうこと」

 ストレスがかかってしまうと、なかなか抜け出すことができず、介護が苦痛に感じてしまうことになりかねません。

自宅で行う介護の相手は、ほとんどが「両親」か「配偶者の両親」です。
自分の家庭内の事というのは、気心の知れた人でないと、なかなか話しにくいものです。
ましてや負い目や罪悪感を感じてしまうと、なかなか人に相談できなくなってしまいます。

その結果、「介護を一人で背負いこんでしまう」という最悪の事態になってしまいます。

最近では、高齢者虐待という言葉が日常的に聞こえ、連日のようにニュース報道され、社会問題にまでなってしまいました。

そうならないためにも、周りの友人や知人に自分の心の内を、どんどん明かしていく事が大切です。

例えば、

「両親にはお世話になってきたから、老後くらい面倒みてあげたい。」

「母親の介護が必要になるかもしれない。」

「実は今、家で両親の介護を始めたんです」

などなど。
今していることや取り組んでることを話すだけでも、心は軽くなるものではないでしょうか。
 

ここまでは介護に関わるにあたっての心構えのような話ですが、実際に、どのように介護に関わればいいのでしょうか。
 

その③「プロの手を借りる事」

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家で介護を始めると言っても、実際は何から始めればいいかなんて、まったくわかりませんよね。

だからこそ、プロの介護士が必要なんです。

プロの介護士といっても役割に応じて様々な業種の介護士が存在します。

ケアマネージャー(介護支援専門員)という職種の方は、主に介護サービスの提案や、手続きの代行など、様々な相談にものってくれる、自宅で行う介護には欠かせない存在です。

介護福祉士という国家資格を持つ介護士は、身体介護や生活援助だけでなく、その家族の方々のケアもできる、心強い介護のスペシャリストです。

現在、日本には 約65万人のケアマネージャーと、約180万人の介護福祉士が、介護施設や在宅ヘルパーとして活躍しています。
 
どうか、介護に携わることになった時は、一人で抱え込まず、まずは周りに相談することから始めましょう!!


「自宅での介護で重要な事」

図1

「気負わずに関わる事」

「必ず人に相談する事」

「プロの手を借りる事」

この心構えだけでももっていれば、介護を不安に感じる必要はありません。

しかし、知っておいてもらいたいことがあります。
それは、この事象は、誰にでも起こりえるという事なんです。
人は負い目を感じると、なかなか人に話せなくなってしまいます。

お世話になった人、関わってくれていた人を、少しでも支えようとする気持ちに、そもそも負い目なんて感じる必要なんてないんです。

 「圧倒的に善の行動なんです」

その途上で、わからないことや、困ることがあって当たり前ですし、それを悪い事と思う必要はありません。

介護を始める方は、皆、不安から始まるんですから!!

介護はきれいごとだけではありません。もちろん大変なこともたくさんあります。

しかし、一人ではありません。介護保険や専門職である、プロの介護士がいます。
どうか安心して、自宅介護に携わって頂きたいと思います。

フッターB


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