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介護福祉士過去問 第32回 生活支援技術

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第1問 地震対策

一戸建ての住宅に暮らす利用者の地震対策に関する訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 家具には、キャスターをつける。

  2. 書棚の上部には、重い物を収納する。

  3. 食器棚は、ガラス扉を外す。

  4. 外への避難経路は、玄関の1方向とする。

  5. 非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。

答え:5 
家具にキャスターをつけると、動いてしまったり、転倒してしまう危険があるため不適切である。
書棚の上部に重い物を収納すると、落下してくる危険があるため不適切である。
棚の扉を外すと、地震の揺れによって食器等が飛び出しやすくなってしまうため不適切である。ガラス扉は、ガラスが割れたときに飛散しないよう、飛散防止の処置を施しておく。
外への避難経路が玄関の1方向のみであると、その経路が火災等によって通れなくなった場合に、逃げ道を失ってしまうおそれがあるので、不適切である。複数の避難経路を確保しておく必要がある。

第2問 住宅改修(トイレ)

介護保険の給付対象となる住宅改修を利用してトイレを改修するとき、介護福祉職が助言する内容として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 開き戸は、自動ドアに変更できる。

  2. 和式便器の上に、腰掛け便座を設置できる。

  3. 滑りにくい床材に変更できる。

  4. 取り外しが可能な手すりを設置できる。

  5. 現在使用している洋式便器に、洗浄機能を付加できる。

答え:3 
引き戸などへの扉の取り換えは給付対象とされているが、自動ドアの動力部分の設置にかかる費用については給付対象とならない。
洋式便器などへの便器の取り換えは給付対象とされているが、腰掛け便座は、特定福祉用具購入の種目である。
手すりの取り付けは給付対象とされているが、改修工事が不要な取り外しが可能な手すりは、福祉用具貸与の種目である。
和式便器から暖房便座、洗浄機能等が付加されている洋式便器への取替えは給付対象となるが、現在使用している洋式便器である場合、これらの機能等の付加については給付対象とならない。

住宅改修(トイレ)に関する詳細解説

https://www.kourei-sumai.com/03seido/05toilet.html

第3問 ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザイン(universaldesign)の7原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 高齢者が優先的に使用できる。

  2. 使い方を統一する。

  3. 情報伝達の手段は一つにする。

  4. 使用するためには訓練が必要である。

  5. 誰にでも使える大きさと広さが確保されている。

答え:5 
ユニバーサルデザインとは、「あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方」をいう。

ユニバーサルデザインの7原則

  1. 誰にでも公平に利用できること(公平性):1.の高齢者が優先的に使用できるは、適切ではない。

  2. 使う上で自由度が高いこと(自由度):2.の使い方を統一にするは、適切でない。

  3. 使い方が簡単ですぐわかること(単純性):3.の情報伝達の手段は一つにするは、適切でない。4.の使用するためには訓練が必要であるは、適切でない。

  4. 必要な情報がすぐに理解できること(分かりやすさ):3.の情報伝達の手段は一つにするは、適切でない。

  5. うっかりミスや危険につながらないデザインであること(安全性)

  6. 無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること(省体力):4.の使用するためには訓練が必要であるは、適切でない。

  7. アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること(スペースの確保)

ユニバーサルデザインに関する詳細解説

https://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkosomu/hukushi/ud/gensoku.html

第4問 着衣の介護(高次脳機能障害)

次の記述のうち、高次脳機能障害(higherbraindysfunction)による着衣失行のある人に対する着衣の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 着替えができない理由を本人に確認する。

  2. 左右がわかるように衣類に印をつける。

  3. 着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。

  4. 衣服を畳んで渡す。

  5. 着衣の方法を毎回変えるように勧める。

答え:2 
高次脳機能障害とは、脳血管障害や交通事故などによって脳の一部に損傷を受けたことにより、脳の機能が著しく障害を受け、記憶・注意・思考・学習・行為・言語などの知的な機能に障害が起こり、日常生活に支障をきたしている状態をいう。
着衣失行のある人に着替えができない理由を確認する意味がないため、適切ではない。
複数の情報処理がとっさにできないという特徴があるため、着衣の前に全ての手順を口頭で指示することは、適切ではない。
畳んで渡すと上下左右や前後や裏表などの認識ができなくなるため、適切ではない。
毎回着衣の方法を変えることは混乱を招きやすくなるため、適切ではない。同じ着衣の方法にすることが望ましい。

生活支援(高次脳機能障害)に関する詳細解説

http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/how06-1/

第5問 生活支援(更衣)

更衣のための介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。

  2. 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。

  3. 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。

  4. 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。

  5. 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。

答え:1 
認知症のある利用者に、穴に差し込み、ボタンを引き出すことによってボタンを留めるといった複雑な動作が求められるボタンエンドの使用は、混乱を招くおそれがあるため、適切ではない。手指に障害がある人などに有用である。
立位での行為は不安定で転倒を招くリスクがあるため、適切ではない。重心の位置が低くなる座位での更衣が望ましい。
靴下を器具にかぶせるなどの細かな動作が求められるため、視覚障害のある利用者に使用を勧めることは、適切ではない。ソックスエイドは、脚を曲げることが困難で、足先に手が届かない人が靴下を履くための自助具であり、股関節や膝関節に疾患のある人などに有用である。
袖ぐりの小さい上衣は、動作を妨げてしまうおそれがあるため、適切ではない。片麻痺のある人にとっては、袖ぐりが大きく、ゆとりのある上衣のほうが着脱しやすい。

生活支援(更衣:自助具)に関する詳細解説

http://www.rehab.go.jp/beppu/book/pdf/livinghome_no24.pdf

第6問 専門職の役割

介護老人保健施設の利用者の身じたくに関する専門職の役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、洗面時の関節可動域の制限を改善する。

  2. 支援相談員は、着脱に使用する福祉用具を選定する。

  3. 栄養士は、破損した義歯を修復する。

  4. 看護師は、糖尿病(diabetesmellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。

  5. 理学療法士は、身体状況に合わせて衣類を作り直す。

答え:4 
介護支援専門員(ケアマネジャー)はケアマネジメントの専門職であり、洗面時の関節可動域の制限を改善する役割を担うのは、理学療法士や作業療法士である。
支援相談員は、生活に関する相談援助業務を行う専門職であり、福祉用具の選定は、福祉用具専門相談員が行う。
栄養士は栄養指導やメニューの作成などを行う専門職であり、破損した義歯の修復は、歯科技工士が行う。
介護福祉職による身じたく介護としての爪切りとは異なり、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理を必要とする者の爪切りは、看護師が行う。
理学療法士は、身体に障害のある者に対し、医師の指示のもと、動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせるとともに、電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えるためのリハビリテーションの専門職である。

第7問 移乗介護

次の記述のうち、ベッドから車いすへの移乗介護で最初に行うこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 移乗の目的を説明して同意を得る。

  2. 移乗の方法を説明する。

  3. 衣服を着替えてもらう。

  4. 車いすを介護しやすい位置に調整する。

  5. ベッドの高さを調節する。

答え:1 
介護を提供する際に、利用者の尊厳の保持や自立に向けた支援のために重視しなければならないのが、インフォームドコンセント(説明と同意)である。
1同意→2説明の後に行動に関連する準備を5→4の順番に行っていく。
衣服を着替えてもうらうことは、移乗介護に直接関連する内容ではないが、着替えが必要な場合であっても、最初に利用者にその目的を説明し、同意を得なければならない。

第8問 身体の安定(重心線)

立位をとり静止している利用者の重心線が、点Xから点Yに移動したときに考えられるふらつきとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 左前方へのふらつき

  2. 右前方へのふらつき

  3. 左後方へのふらつき

  4. 後方へのふらつき

  5. 右後方へのふらつき

答え: 2 
身体の重心線が点Xのように支持基底面の内側にあるときは、身体が安定する。これに対して、点Yのように外側に出てしまうと、身体がバランスをとれなくなってふらつく。重心線が点xから点Y に移動したときのふらつきの方向は、右前方が適切である。

第9問 階段の介助(右麻痺)

右片麻痺の利用者が、手すりを利用して階段を昇降するときの介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 手すりが利用者の右側になるように声をかける。

  2. 階段を昇るとき、利用者の左後方に立つ。

  3. 階段を昇るとき、右足から出すように声をかける。

  4. 階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。

  5. 階段を降りるとき、左足から出すように声をかける。

答え:4 
手すりが利用者の麻痺側では掴むことができないため、健側になるように声をかける。右麻痺の場合は手すりが左側になる必要があるため、適切ではない。
階段における介護では、昇るときも降りるときも、介護者は、利用者の1段下の麻痺側に位置して、転落を防止する支援を行う。右麻痺の場合は、利用者の右後方に立たなければならないため、適切ではない。
利用者は、階段を昇るときは健側の足から、降りるときは麻痺側の足から出すようにするため、昇るときに麻痺側である右側から出すように声かけや、降りるときに健側である左足から出すような声かけは、適切ではない。

階段の介助(右麻痺)に関する詳細解説

http://www.hvrpf.jp/wp-content/uploads/2014/06/44a1c918b639d23b5d775d350b69726b.pdf

第10問 高齢者の低栄養対策

Mさん(78歳、女性)は、体格指数(BMI)は18.7である。病気や食事制限はない。この1年間で体重が2kg減少し、「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と言っている。Mさんに普段の食生活を尋ねたところ、お茶漬けやうどんで済ますことが多いと答えた。
介護福祉職が食事バランスガイドを用いて摂取を勧める区分として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 主食

  2. 副菜

  3. 主菜

  4. 牛乳・乳製品

  5. 果物

答え:3 
「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と言っていることから、筋肉量が減少していると考えられる。加齢とともに筋肉量や骨量が減少していく。血液や筋肉等をつくり、体力や免疫力の維持にも役立つ肉類、魚類、卵、大豆などたんぱく質を多く含んだ食品の摂取が有効である。食事バランスガイドにおいて、たんぱく質等の供給源である主菜が最も適切である。

高齢者の低栄養状態に関する詳細解説

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/shokuji-katsudou.html

第11問 食事の姿勢

いすに座って食事をする利用者の姿勢を確保する介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 顎を上げてもらう。

  2. テーブルは、肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。

  3. テーブルと体の間を30cm離す。

  4. 体幹を後方に傾けてもらう。

  5. いすに浅く座ってもらう。

答え:2 
顎を上げるのでなく、誤嚥予防のため顎をひいて食べることを意識することが大切であり、顎を上げてもらうことは適切ではない。
テーブルと体の間を30㎝話すと体が支えにくくなるため安定しにくいため、適切ではない。握りこぶし程度離すくらいがよいとされている。
体幹を後方に預けると顎が上がり誤嚥を招きやすいため、適切ではない。
いすに浅く座ると不安定になりやすく、さらに体幹が後方になりやすいため、誤嚥につながる可能性があるため、適切ではない。いすに深く腰かけた状態で、股関節が約90度となるように背すじを伸ばして足先を床につける姿勢がよい。

第12問 高齢者の栄養

高齢者の食生活に関する助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンD(vitaminD)の摂取を勧める。

  2. 高血圧症(hypertension)の予防として、果物の摂取を控える。

  3. 便秘の予防として、水分摂取を控える。

  4. ドライマウス(drymouth)の予防として、柔らかい食物を勧める。

  5. 逆流性食道炎(refluxesophagitis)の予防として、食後すぐに横になる。

答え:1
ビタミンDは、骨や歯の構成成分となるカルシウムの吸収を助ける作用をもつため、骨粗鬆症の予防としてビタミンDの摂取を勧めるのは、適切である。
高血圧症の予防としては、ナトリウム(塩分)の摂取を控え、血圧を下げる効果のある果物に含まれるカリウムの摂取することが効果的であるため、果物摂取を控えることは、適切ではない。
便秘の原因の1つとして、水分不足によって便が硬くなることが挙げられるため、便秘の予防として水分摂取を控えることは適切ではない。便秘の予防として、水分摂取を勧める。
ドライマウスは、唾液の分泌量が少なくなることで口の中が乾燥する状態であるため、唾液の分泌を促す必要があり、柔らかい食物の摂取を勧めることは、咀嚼する時間が短くなり、唾液の分泌量が減少するため、適切ではない。
逆流性食道炎とは、胃粘膜から分泌された胃酸が食道に逆流することによって食道粘膜に起こる炎症をいう。食後すぐに横になると、胃酸の逆流が起こりやすくなるため、適切ではない。

高齢者の栄養に関する詳細解説

https://www.cocokarafine.co.jp/oyakudachi/nursing/202109413.html

第13問 食事介助(左半側空間無視)

左半側空間無視のある利用者の食事介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の左側にトレー(tray)を置く。

  2. トレー(tray)の右側に印をつける。

  3. クロックポジションに従って配膳する。

  4. 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。

  5. 利用者の右側にあるテレビをつけておく。

答え:4
片方の空間にある物を見落としてしまう。例えば体の左側については見えていても「認識できない」のです。そのため、左側の電柱にぶつかったり、左においてあるおかずを食べなかったりする。脳の特定の部位が障害されると起こる症状である。
左半側空間無視のある利用者は、左側を無視してしまうため、左側に置くことは適切ではない。右側にトレーを置く。
右側は気づきやすいため、印をつける必要はないため、適切ではない。気づきにくい左側につける。
クロックポジションとは、視覚障害者に対して、食卓の上の料理の位置を時計の文字盤になぞらえて説明するものである。「8時の方向にご飯」「4時の方向にスープ」などと説明しながら配膳すると、位置関係を把握してもらいやすい。左側半分を無視してしまう利用者には、この方法は適していない。気づきやすい右側を活用した支援を行う。
気づきやすい右側にあるテレビをつけておくと、意識がそちらに集中して、気づきにくい左側の料理により注意が向かなくなるため、適切ではない。

第14問 清拭

清拭の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 目のまわりは目尻から目頭に向かって拭く。

  2. 背部は患側を下にして拭く。

  3. 腹部は臍部から恥骨部に向かって拭く。

  4. 両下肢は末梢から中枢に向かって拭く。

  5. 皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。

答え:4 
目のまわりは目頭から目尻に向かって一方向拭くため、適切ではない。。
背部は、患側を下にすると圧迫されても痛みを感じないため、褥瘡を生じる可能性があるため、適切ではない。健側を下にして拭く。
腹部は、腸の蠕動運動を促す効果があるため、腸の流れに沿って時計回りに「の」の字を書くように拭くため、適切でなはい。
筋肉の走行に沿って末梢から中枢に向かって拭くことで、 マッサージ効果があり、血液循環の促進につながる。まず足首を支えて足首から膝関節へ、次に、膝下部を支えて膝関節から大腿部へ実施することが有効である。
濡れたままの状態にしておくと、気化熱によって体表面の温度が下がり、寒気を感じ体温の低下や風邪などのまねく傾向がある。清拭が終わった部位ごとに、こまめに速やかに水分を拭き取る必要があるため、適切ではない。

第15問 入浴の介護

利用者の状態に応じた入浴の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 血液透析を受けている人は、透析直後に入浴する。

  2. 胃ろうを造設している人は、入浴を控える。

  3. 心臓機能障害がある人は、半身浴にする。

  4. 酸素療法を行っている人は、鼻カニューレを外して入浴する。

  5. 回腸ストーマを造設している人は、食後1時間以内に入浴する。

答え:3 
血液透析を受けた後は、血圧が不安定な状態となり、入浴によって急激に血圧が下がって立ちくらみを起こしたり、針を刺した部分からの出血や雑菌が入って感染症を起こしたりする可能性があるため、透析当日の入浴は避ける必要があるため、透析直後の入浴は適切ではない。。
胃ろうを造設していても入浴することは可能であるため、入浴を控える必要はなく、適切ではない。体をきれいに洗い、入浴後は十分に乾燥させて雑菌の繁殖を防ぐことが望ましい。
首まで湯に浸かると、水圧により心臓への負担が大きくなるため、心臓機能障害のある場合は半身浴が適切である。
酸素療法を行っている人は、鼻カニューレをはずすと呼吸困難が起こる可能性があるため、外しての入浴は適切ではない。酸素吸入をしながら入浴する。
回腸ストーマを造設している人は、軟便や水様便であって、流れ出しやすいことから、食後1時間以内の入浴は適切ではない。排泄量の少ない食前か食後2時間以上経過後に入浴する。

第16問 環境整備(右片麻痺)

右片麻痺のある利用者が、ベッドサイドでポータブルトイレを使用するときの設置場所として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. A

答え:2 
右片麻痺のある場合は、健側の足元に設置するため、左側の足元であるBの位置にポータブルトイレを設置することが最も適切である。

第17問 膀胱留置カテーテル

膀胱留置カテーテルを使用している利用者への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 水分摂取を控えてもらう。

  2. カテーテルが折れていないことを確認する。

  3. 採尿バッグは膀胱と同じ高さに置く。

  4. 尿漏れが見られたらカテーテルを抜去する。

  5. 尿量の確認は看護師に依頼する。

答え:2 
排尿は膀胱内の細菌を洗い流す役割もあり、尿量が少ないと膀胱に残った細菌が繁殖しやすい状態となるため、十分な水分摂取を促すことが大切である。さらに、水分が減ると尿量が減り、尿の混濁やカテーテルの閉塞を起こすため、水分を控えることは適切ではない。
膀胱留置力テーテルが折れていると排尿された尿が逆流してしまうため、常にカテーテルの折れがないか確認することが大切である。
採尿バッグは高低差をつけることにより、重力によって膀胱内の尿が採尿バッグ内に入るしくみになっている。そのため、採尿バッグを置く位置は、膀胱より低い位置を保つようにする。カテーテルバックと膀胱と同じ高さは、適切ではない。
膀胱留置力テーテルの抜去や再挿入などカテーテル自体の操作は医行為であり、介護福祉職は行うことができないため、適切ではない。膀胱留置力テーテルの詰まりや折れ、ねじれなどの尿が流れにくくなっている原因はないか、また尿の色などを確認し、濁りや血液の混入、尿漏れが見られた場合には、医療職へ報告する。
尿量の確認は、医行為ではないため、介護福祉職の役割である。看護師に確認を依頼することは適切ではない。

第18問 坐薬の挿入

解熱を目的にした坐薬(座薬)の挿入に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 挿入時は仰臥位(背臥位)で膝を伸ばす。

  2. 挿入時は腹式呼吸を促す。

  3. 坐薬(座薬)はとがっていない方から挿入する。

  4. 挿入後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。

  5. 衣服を整えてから手袋を外す。

答え:4 
挿入時は、腹圧によって排出されないように、側臥位で軽く膝を曲げる体制で行うため、仰臥位で膝を伸ばす姿勢は適切ではない。
挿入時は口呼吸を促すため、腹圧のかかる腹式呼吸は適切ではない。
坐薬はとがっている方に潤滑材をつけて挿入するため、とがってない方からの挿入は適切ではない。
挿入に使った汚染された手袋を外してから衣服を整えるため、手袋をした状態で衣服を整えることは、適切ではない。

第19問 食中毒

肉入りのカレーを常温で保存し、翌日、加熱調理したときの食中毒の原因菌として、最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。

  1. ウエルシュ菌

  2. カンピロバクター

  3. サルモネラ菌

  4. 腸炎ビブリオ

  5. 黄色ブドウ球菌

答え:1 
これらの菌のうち加熱しても原因菌となりうるものは、1.のウエルシュ菌と5.の黄色ブドウ球菌であるが、5.の黄色ブドウ球菌は、人や動物の化膿創、鼻咽頭などに分布するため、カレーの調理による感染経路の可能性はあるものの、一番注意する細菌はウエルシュ菌である。
ウエルシュ菌は、食物とともに腸管に達すると増殖して毒素を作る細菌である。食中毒となる原因食品として、肉・魚・野菜を使用した煮物やカレーなどが挙げられる。加熱調理してもウエルシュ菌の耐熱性芽胞は生き残り、食品の温度が発育に適した温度まで下がると発芽して急速に増殖するため、大量の食品を加工する施設での発生が多くみられる。
カンピロバクターは、鶏、牛、豚などの腸管内に生息し、食肉を汚染する感染型の細菌である。乾燥にきわめて弱く、また、通常の加熱で死滅する。鶏レバーやささみといった鶏肉の生食や加熱不足が原因となる。また、わずかな菌量で感染を引き起こすため、鶏肉を扱った後の包丁やまな板等、調理器具からの2次感染にも注意が必要である。
サルモネラ菌は、人・動物の腸管や、河川、下水などの自然界に広く分布する感染型の細菌である。食中毒となる原因食品として、鶏卵、牛レバー刺し、鶏肉などの食肉などが挙げられるが、十分な加熱によって予防できる。
腸炎ビブリオは、増殖速度の速い感染型の細菌であり、刺身、寿司、加工品などの魚介類が主な原因食品となるが、真水と熱に弱く、加熱によって死滅する。
黄色ブドウ球菌は、人や動物の化膿創、鼻咽頭などに分布する毒素型の細菌である。増殖するときに生じる毒素(エンテロトキシン)に耐熱性があり、多少の加熱では無毒化されない。食中毒となる原因食品として、おにぎり、サンドイッチ、弁当などが挙げられる。

最近による食中毒に関する詳細解説

第20問 ノロウィルスの処理

ノロウイルス(Norovirus)に感染した人の嘔吐物のついた衣服の処理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 嘔吐物を拭き取ったペーパータオルはごみ箱に捨てる。

  2. 汚染された部分にアルコールを噴霧する。

  3. 汚染された部分を強くもみ洗いする。

  4. 嘔吐物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。

  5. 40℃の湯で洗濯する。

答え:4 
便や嘔吐物からの二次感染が多くみられるので、拭き取ったペーパータオル等は、ビニール袋に入れて感染性廃棄物としてほかの廃棄物と区別し、密閉して捨てる必要があり、ごみ箱に捨てる行為は適切ではない。
消毒は、85度以上で1分以上熱湯消毒、または、0.05~0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分程度つける必要があり、アルコール噴霧は適切ではない。
強くもみ洗いをするとしぶきが飛んで飛沫感染につながるため、適切ではない。静かにもみ洗いする。
40度の湯で洗濯をしても効果はないため、適切ではない。

ノロウィルスの消毒に関する詳細解説

https://www.city.seki.lg.jp/faq/faq_detail.php?frmId=137

第21問 生活支援(クーリング・オフ)

Aさん(85歳、女性、要介護1)は、認知症(dementia)があり判断能力が不十分である。一人暮らしで、介護保険サービスを利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに、物品売買契約書を見つけた。Aさんは、「昨日、訪問販売の業者が来た「」契約書については覚えていない」と話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)から連絡を受けたサービス提供責任者が、迅速にクーリング・オフの手続きを相談する相手として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 行政書士

  2. 消費生活センター

  3. 家庭裁判所

  4. 保健所

  5. 相談支援事業所

答え:2 
クーリング・オフとは、すでに契約した後でも、一定期間内であれば、消費者が業者に申し出ることによって契約を無条件で解約ができる制度をいう。
消費生活センターや消費者センターは、地方公共団体によって設置されている消費者のための相談窓口である。消費者の方から消費生活上の様々な問題についての相談を受け付け、問題解決のための助言やあっせんなど、消費者の安全確保に関する業務を行っているので、クーリング・オフの手続きを相談する相手として、最も適切である。

クーリング・オフに関する詳細解説

https://www.city.osaka.lg.jp/lnet/page/0000002303.html

第22問 不眠への対応

眠れないと訴える高齢者に介護福祉職が行う助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 起床時に日光を浴びるように勧める。

  2. 日中、長い昼寝をするように勧める。

  3. 夕食後2時間以内に就寝するように勧める。

  4. 寝る前に緑茶を飲むように勧める。

  5. 決まった就床時刻を守るように勧める。

答え:1
起床時間を一定にし、日光を浴びるという規則正しい生活習慣を身につけることで、睡眠へとつながる効果が期待できる。睡眠を促進する作用があるホルモンであるメラトニンは、朝、光を浴びると分泌がとまる。その後14~16時間ほど経過すると再び分泌され、休息に適した状態となり快適な眠りにつながる。
長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げる恐れがあるため、長い昼寝の勧めは適切ではない。ただし、高齢者の疲労回復のためには、1時間を超えない程度の短時間の昼寝をとることは効果的である。また、日中に適度な疲労を感じる程度の仕事や運動を行う生活パターンを確立することにより、夜間の安眠へとつなげていくことができる。
食物の消化のために体温が上昇した状態にあるので、タ食後2時間以上経ってから就寝することが望ましいため、夕食後2時間以内に就寝する勧めは、適切ではない。
緑茶にはカフェインが含まれており、覚醒作用や利尿作用があり、睡眠を妨げたり、睡眠の質を低下させたりしてしまうため、寝る前に緑茶を飲むことを勧めるのは適切ではない。
決まった就床時刻を厳格に守らせようとすると、眠くなくても眠らなければならないという緊張感から、かえって入眠を妨げてしまう場合があるため、適切ではない。生活パターンの確立をめざすためには、決まった起床時刻を守るように勧める。 

第23問 睡眠環境

施設における安眠を促すための環境に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 湿度は20%以下に設定する。

  2. 寝衣は、体に密着した形のものを選ぶ。

  3. 冷暖房の風が、体に直接当たるようにする。

  4. 夜間の照明は、部屋全体がはっきり見える明るさにする。

  5. 介護福祉職同士の会話が響かないようにする。

答え:5
快適に過こすことのできる湿度は40-60%であるため、20%以下は乾燥しており、適切ではない。安眠のためには、季節に合わせた快適な室温・湿度に調節することが必要である。
寝衣は、体がリラックスできるようなゆとりがあり、肌触りがよく通気性のある素材のものが好ましいため、体に密着した形のものは適切ではない。
冷暖房の風が、体に直接当たると、体が冷えすぎたり、喉や皮膚が乾燥したりすることになるため、安眠を促す環境として、適切ではない。
夜間に明るい光を浴びると睡眠を妨げる要因となるため、部屋全体がはっきり見える明るさは適切ではない。眠気を生じさせる役割をするメラトニンというホルモンは、夜間に光の刺激が低下すると分泌されるので、夜間の照明は、室内の様子がぼんやりと確認できる程度の眠気を誘うような照度を心がける。

睡眠対策に関する詳細解説

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

第24問 睡眠薬の服用の対応

睡眠薬を服用している高齢者への介護福祉職の対応として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. アルコールと一緒に服用してもらった。

  2. 服用後、1時間は起きているように伝えた。

  3. 日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。

  4. 通常の量では眠れないと言われたので、追加して飲むように伝えた。

  5. 体調に合わせて服薬時間を変更した。

答え:3 
睡眠薬とアルコールを一緒に服用すると、呼吸抑制やふらつきなどの副作用が現れやすくなり、危険であるため、アルコールと睡眠薬の同時服用は、適切ではない。水か白湯が適切である。
睡眠薬の効果は、服用後10-30分後から徐々に現れはじめるため、起きて活動していると、ふらつきや転倒などの危険がある。服用後すぐに、就寝の準備をすることが大切であり、服用後1時間起こていることを伝えることは適切ではない。
医師の指示なく睡眠薬を追加して服用してはならないため、追加する対応は適切ではない。眠くならない場合は必ず医師に相談しなければならない。
睡眠薬は、自然な睡眠のリズムに合わせて服用することで期待する効果が現れるものであるため、決められた服薬時間と量を守ることが大切であるため、体調に合わせて服薬時間を変更することは適切ではない。眠くならない場合は必ず医師に相談しなければならない。

第25問 終末期の家族への対応

Bさん(83歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。終末期で、「最期はこの施設で迎えたい」という本人の希望があり、家族もそれを望んでいる。昨日から死前喘鳴が出現し、医師から、「あと数日でしょう」と言われた。
「呼吸が苦しそうだ」と言っている家族への介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」

  2. 「Bさんに意識はないので心配いらないですよ」

  3. 「痰の吸引をすると楽になるので準備しますね」

  4. 「Bさんを励ましてください」

  5. 「すぐに救急車を呼びましょう」

答え:1 
終末期の本人・家族への対応として、終末期を迎えた人は、近づきつつある死と向き合い、不安や恐怖、悲しみ、諦めといった さまざまな感情を抱えているので、死の間際まで優しい言葉をかけ続け、不安を取り除くことが望ましい。
死前端鳴は、咳払いができないほど衰弱している状態の人にみられるものであり、死亡数時間前から数日前の死亡の直前に多くの人にみられる死に向かう自然な経過の1つである。気道内に唾液などの分泌物が溜まることによってゴロゴロという音がするため、体位を工夫することによって音が小さくなる場合がある。家族と共に見守りながら寄り添うことが大切である。
家族の心情を受け止めてから、Bさんは意識の低下によりあまり苦しさを感じていないことを説明する。心配している家族に意識がないので心配いらないとの声かけは適切ではない。
死前喘鳴の場合、本人の状態によっては、痰の吸引により呼吸状態を不安定にさせるおそれがある。また、医師の指示ない状況で吸引は行うことができないため、適切ではない。
Bさんに安心感を与える見守りが必要であるため、励ますこと促す声かけは適切ではない。
「最期はこの施設で迎えたい」というBさんと家族の希望しているため、救急車を呼ぶことは意向にに反する対応であるため、適切ではない。

終末期への対応に関する詳細解説

https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/shingikai/ganshingikai/ganbuk

第26問 死亡後の介護

高齢者施設において介護福祉職が行う死亡後の介護について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ペースメーカーを取り除く。

  2. 口が閉じない場合は紐で顎を固定する。

  3. 衣服は着衣がしやすい服を選ぶ。

  4. 全身清拭には水を使用する。

  5. 家族に、死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。

答え:5 
ペースメーカーを取り除くのは医療職が行うため、介護福祉職の対応として適切ではない。
枕を高くし、丸めたタオルを顎の下に入れる、口腔内の綿の詰め方を工夫するなど、自然と口が閉じるように対応するため、紐で顎を固定することは適切ではない。
故人が好んでいた遺志を尊重した衣類や、遺族が用意した浴衣に着替えることが大切であり、着衣のしやすい服を選ぶことは適切ではない。
死亡後の全身清拭は、「湯灌」と呼ばれ、かつてはぬるま湯に浸した手ぬぐいで拭き清めるようにしていたが、近時ではガーゼや脱脂綿をアルコールに浸して軽く拭くのが一般的であるため、水での清拭は適切ではない。
死亡後の処置は、病院では看護師などの医療職、在宅の場合は訪問看護師や葬祭従事者が中心となって行うことが多いが、高齢者施設においては、全身清拭(湯灌)や化粧(死化粧)などを、家族が介護福祉職と一緒に行うこともできる。家族が最期の関わりができるような声かけを行うことは、適切である。

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