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介護福祉士過去問 第32回 障害の理解

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第1問 ICIDH(国際障害分類)

ICIDH(InternationalClassificationofImpairments、DisabilitiesandHandicaps:国際障害分類)における能力障害として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 日常生活動作(ActivitiesofDailyLiving:ADL)の障害

  2. 運動麻痺

  3. 失語

  4. 職場復帰困難

  5. 経済的不利益

答え:1 
ICIDHとは障害を障害の階層性と呼ばれる「機能障害・能力障害・社会的不利」の3つに分類した国際的に共通した障害の概念である。疾患や変調が原因となって運動麻痺や失語などの機能障害が生じ、それが日常生活動作(ADL)の障害という能力障害を招き、それによって職場復帰困難や経済的不利益といった社会的不利につながる。
日常生活行動は能力障害であるため、適切である。
運動麻痺は機能障害であるため、適切ではない。
失語は機能障害であるため、適切ではない。
職場復帰困難は社会的不利であるため、適切ではない。
経済的不利益は社会的不利であるため、適切ではない。



第2問 障害者差別解消法

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

  1. 法の対象者は、身体障害者手帳を持っている人である。

  2. 合理的配慮とは、全ての障害者に同じ配慮をすることである。

  3. 共生社会の実現を目指している。

  4. 障害者は、合理的配慮の提供に努めなければならない。

  5. 障害者差別解消支援地域協議会は、民間事業者で組織される。

答え:3 
手帳を持っている人に限らず、障害のある人すべてが対象となるため、適切ではない。障害者差別解消法(正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)では、「障害者」を対象としており、障害者の定義を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定めている。
行政機関等は、障害者の性別、年齢および障害の状態に応じて、必要かつ合理的な配慮をしなければならないとされているため、同じ配慮をすることは適切ではない。
障害者自らではなく、行政には合理的配慮の提供義務があり、事業者には合理的配慮の提供の努力義務があるため、適切ではない。
障害者差別解消支援地域協議会は、障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事する国および地方公共団体の機関によって組織されるため、民間事業者は適切ではない。

第3問 疾患

痙直型や不随意運動型(アテトーゼ型(athetosis))などの分類がある疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 筋ジストロフィー(musculardystrophy)

  2. 脊髄小脳変性症(spinocerebellardegeneration)

  3. 脳血管疾患(cerebrovasculardisease)

  4. 脳性麻痺(cerebralpalsy)

  5. 脊髄損傷(spinalcordinjury)

答え:4 
筋ジストロフィーは、身体の筋力の低下や筋肉の萎縮に伴って全身の様々な身体機能が低下していく遺伝性の疾患である。デュシェンヌ型、ベッカー型、肢帯型などに分類される。
脊髄小脳変性症は、主に小脳の神経細胞の変性によって運動失調症状をきたす病気の総称であり、遺伝性と非遺伝性(孤発性)に大別される。
脳血管疾患は、脳の血管が詰まる脳梗塞などの虚血性脳血管障害と、脳内の血管から出血が起こる脳出血などの出血性脳血管障害に大別される。
脳性麻痺は、受胎から生後4週間までの胎生期から新生児期に生じた脳の損傷、脳の外傷や酸素欠乏、先天的な形態異常などを原因として運動機能障害を生じる疾患であり、痙直型、不随意運動型(アテトーゼ型)、強直型、失調型、混合型などに分類される。
脊髄損傷は、事故による脊椎の骨折や脱臼、腫瘍などを原因として脊髄神経が損傷される疾患である。損傷した部位により、頸髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷などに分類される。麻痺した部分の脱力や運動機能の消失、感覚の低下や消失、しびれや痛み、腸と膀胱の機能低下や消失などの症状がある。

疾患に関する詳細解説


第4問 内因性精神障害

内因性精神障害に分類される疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 脳腫瘍(braintumor)

  2. アルコール依存症(alcoholdependence)

  3. パニック障害(panicdisorder)

  4. 認知症(dementia)

  5. 統合失調症(schizophrenia)

答え:5 
精神障害は、その原因をもとに遺伝や脳の働き方(素因)といったもともとの個人の病気のなりやすさ(脆弱性)に伴う内因性精神障害、脳の実質的変化(脳腫瘍、脳卒中、神経変性疾患など)や、身体の病気(バセドウ病、肝臓病、膠原病など)に伴う外因性精神障害、悩み、ストレス状況など心理的葛藤から様々な症状が生じる心因性精神障害に分類される。
脳腫蕩は外因性精神障害であるため、適切ではない。
アルコール依存症は外因性精神障害であるため、適切ではない。
パニック障害は心因性精神障害であるため、適切ではない。
認知症は外因性精神障害であるため、適切ではない。
統合失調症は内因性精神障害であるため、適切である。


第5問 知的障害の社会資源

Fさん(26歳)は重度の知的障害があり、施設入所支援を利用している。
次のうち、Fさんが地域移行するときの社会資源として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ケアハウス

  2. 共同生活援助(グループホーム)

  3. 自立支援医療

  4. 精神科病院

  5. 同行援護

答え:2 
地域移行とは、障害者支援施設等に入所している障害者または精神科病院に入院している精神障害者が、地域における生活に移行することをいう。
ケアハウスは、老人福祉法に定められている軽費老人ホームの1つであるため、26歳のFさんには適切ではない。
共同生活援助は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの1つであるり、障害支援区分にかかわらず、共同生活を営む住居において相談、入浴、排せつ、食事の介護その他の日常生活上の援助が行われるため、適切である。
自立支援医療の対象は、障害者総合支援法により、障害児に対する育成医療、身体障害者に対する更生医療、通院による治療を継続的に必要とする程度の精神障害者(知的障害を含む)に対する精神通院医療の3つを統合したものとされている。統合失調症などの精神疾患を有する者、身体障害者手帳の交付を受けた者、身体に障害を有する児童とされている。Fさんは26歳で、重度の知的障害者であるため、適切ではない。
精神科病院は治療を必要とする場合の医療機関であるため、Fさんは治療を必要としているわけではないこと、地域移行にはあてはまらないので、適切ではない。
同行援護は、障害者総合支援法が定めている障害福祉サービス(介護給付)のひとつであり、視覚障害により移動に著しい困難がある障害者の外出時に、介護を含む援助を行うものであるため、適切ではない。



第6問 自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害(autismspectrumdisorder)の特性として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 読み書きの障害

  2. 社会性の障害

  3. 注意の障害

  4. 行為障害

  5. 運動障害

答え:2 
読み書きの障害は、学習障害の特性であるため、適切ではない。
自閉症スペクトラム障害の特性として、社会性の障害があり、言葉を使ったコミュニケーションが苦手で、言葉の外側にある意味や、話の文脈が理解しにくいということがあるため、適切である。
注意の障害は、注意欠陥多動性障害の特性であるため、適切ではない。
行為障害とは、素行症(素行障害)ともいい、他者の基本的な権利を侵害する行為を繰り返し起こす障害であるため、適切ではない。
運動障害とは、スムーズな運動ができなくなる運動失調と、自分の意思で筋肉を動かせなくなる運動麻痺に分かれる障害であるため、適切ではない。

自閉症スペクトラム障害に関する詳細解説

https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/specialty/8004/

第7問 自己覚知

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophiclateralsclerosis:ALS)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 免疫疾患である。

  2. 振戦や筋固縮が主な症状である。

  3. 視力や聴力は保たれる。

  4. 運動失調が現れる。

  5. 全身の臓器に炎症を起こす。

答え:3 
筋萎縮性側索硬化症では、全身の筋肉が徐々に萎縮し、やがて四肢麻痺や呼吸障害などで自立困難となるが、感覚(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)、知能、意識などはおかされにくく、末期まで保たれる。
免疫疾患とは、免疫機能の異常によって発症する病気をいう。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、免疫疾患ではないため、適切ではない。
振戦(手足が震える)や筋固縮(身体の筋肉がこわばる)は、パーキンソン病の主な症状であるため、適切ではない。
運動失調とは、筋力低下がないにもかかわらず、筋が協調的に働かないために運動に障害をきたす症状をいう。筋萎縮性側索硬化症の場合は、全身の筋肉が徐々に萎縮して筋力低下を起こすので、適切ではない。
筋萎縮性側索硬化症では、嚥下障害による食事摂取不良などはみられるが、臓器の炎症は起こらないため、適切ではない。

筋萎縮性側索硬化症に関する詳細解説

https://www.nanbyou.or.jp/entry/52

第8問 障害受容

Gさん(56歳、男性)は、糖尿病性網膜症(diabeticretinopathy)に伴う眼底出血を繰り返して、治療を受けていた。医師から失明は避けられないと説明を受けた。その後、Gさんは周囲に怒りをぶつけたり、壁に頭を打ちつけたりという行動がみられるようになった。
このときのGさんの障害受容の状況として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ショックではあるが、不安はそれほど強くない。

  2. 自分には障害はないと否認する。

  3. 前向きに自己努力を図ろうとする。

  4. 否認ができずに混乱する。

  5. 新しい価値観や役割を見いだす。

答え:4 
障害受容とは、身体的な障害を持つようになった人が、一定の段階を経て、その障害を受け入れるようになることをいう。障害の受容段階は、ショック期、否認期、混乱期、解決への努力期、受容期の5段階に分けられる。
ショック期とは、ショックではあるが、不安はそれほど強くない状態のことをいい、Gさんの状況として適切ではない。
否認期とは、自分には障害はないと否認する状態のことをいい、Gさんの状況として適切ではない。
解決への努力期とは、前向きに自己努力を図ろうとすることをいい、Gさんの状況として適切ではない。
混乱期とは、怒りや悲しみの感情が湧きあがる状況のことをいい、Gさんの状況として、適切である。
受容期のとは、新しい価値観や役割を見いだす状況をいい、適切ではない。


第9問 ホーエン・ヤール重症度分類

パーキンソン病(Parkinsondisease)のHさんは、最近、立位時の前傾姿勢が強くなり、歩行時の方向転換が不安定になり始めた。日常生活動作には介助を必要としない。Hさんのホーエン・ヤール重症度分類として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ステージⅠ

  2. ステージⅡ

  3. ステージⅢ

  4. ステージⅣ

  5. ステージⅤ

答え:3 
パーキンソン病の症状の進行は、患者によって異なるが、症状の程度や治療方針を判断するための目安として、ホーエン・ヤールの重症度分類がある。
ホーエン・ヤール重症度分類は以下のように分類される。
ステージ1とは、症状は一側性で、機能障害はないか、あるいは体の片側だけに、振戦や固縮がみられるかであり、日常生活にほぼ支障はない状態をいい、Hさんの状況として適切ではない。
ステージ2とは、両側性の振戦や固縮による障害があり、姿勢保持の障害はないが、立位時に前傾姿勢がみられる。日常生活、職業は多少の障害はあるが行い得る状態をいい、Hさんの状況として適切ではない。
ステージ3とは、姿勢反射や歩行障害がみられ、バランスを保てない、体が勝手に傾いて倒れる、方向転換のとき転倒しやすい、すり足で小刻みに歩く、歩き出すと止まらなくなる状態が起こる。活動はある程度制限されるが職種によっては就労可能であり、機能障害は、軽度から中等度だが一人での生活は可能である状態をいい、Hさんの状況として適切である。
ステージ4とは、重篤な機能障害を呈し、支えられずに起立や歩行はどうにか可能な場合はるものの自力のみによる生活は困難である状態をいい、Hさんの状況として適切ではない。
ステージ5とは、立つことも不可能で、ベットまたは車椅子による全面的な要介助の状態をいい、Hさんの状況として適切ではない。

ホーエン・ヤールの重症度分類に関する詳細解説

https://www.kanagawa-stkyougikai.jp/global-image/units/upfiles/4080-1-20191224062630_b5e01af963a801.pdf

第10問 地域の社会資源

制度化された地域の社会資源として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 家族会が行う悩み相談

  2. 近隣の住民からの善意の声かけ

  3. 同居家族が行う身の回りの介護

  4. コンビニエンスストアによる見守り

  5. 民生委員が行う相談・援助

答え:5
制度化された社会資源とは、フオーマルな社会資源を指し、行政によるサービスや保健所、 児童相談所等(行政機関)、障害福祉サービス(事業所)、教育機関や医療機関、社会福祉協議会、民生委員などが含まれる。
民生委員は、民生委員法に基づき、任期3年として市町村の区域に置かれる民間の相談員であり、地域社会の福祉増進を目的として住民の立場に立った相談・援助を行うものとされている。また、生活保護法では、市町村長・福祉事務所長・社会福祉主事の事務の執行に協力する機関として位置づけられている。
制度化されていない社会資源とは、インフオーマルな社会資源を指し、家族や親戚、近隣住民やボランティア、自治会、あるいは当事者組織や家族会などが含まれる。

地域の社会資源に関する詳細解説

https://www.shakyo.or.jp/bunya/chiiki/index.html

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