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『介護の日本語』カリキュラム作りで考えていること

こんにちは。
日本語教師で介護福祉士の内藤です。

今回は『介護の日本語』のカリキュラムを作る際に考えていることを書こうと思います。

介護の日本語のカリキュラムを作る際に、
どこから手をつけたらいいかわからないと不安を感じていないでしょうか。

初めて介護の日本語の世界に踏み入れる方にとって、カリキュラム作成はハードルが高いかもしれません。

そもそも日本語教師でカリキュラムを作ったことがある人は、かなり少ないのでないでしょうか。

日本語教育というと、ほとんどが日本語学校で留学生に授業をすることになりますが、カリキュラムは学校で用意されています。
仮にカリキュラムを作ることになったとしても、学校で使っているメイン教材がありますので、教材分析をして教材選びをする手間が省けるはずです。
学習者のニーズも留学生ですので、細かい調査をする必要もないかと思います。

一方、介護の日本語のカリキュラム作りで大変な所は学習者の多様性と教材についてです。

これから私がカリキュラムを作る際にしている3ステップを紹介します。

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ステップ1 学習者分析

まず学習者分析ですが、留学生教育にない介護の日本語ならではのところです。
介護の日本語を学ぶ学習者は技能実習生、特定技能実習生、EPAなど様々ですが、これから教える学習者の制度を理解しなければ始まらないと考えています。
制度を理解すると求められている教育がうっすらと見えてきます。
例えば、技能実習生は制度的に1年目の終わりまでにN3相当の日本語力が求められているのでカリキュラムに反映したり、制度によっては国家試験までのルートが違うこともあります。

学習者分析として、学習者がどんな施設で働くのかわかっているのであれば、知る必要もあります。
極端な話をすると、老人介護施設か、障害者施設かで、求められる専門用語が変わってきます。

ステップ2 ニーズ調査
ニーズ調査も留学生教育ではあまりない介護の日本語ならではのところです。
施設の担当者と話し合いニーズ調査をしますが、施設の担当者で日本語教育に精通している人はほとんどいません。
ですから、「とりあえずN1をとらせてください」などの要望をされることもありますので注意が必要です。
介護の日本語の勉強をしていて、N1をとる勉強をする必要はありません。
こうした要望が来た際は、ステップ1で分析した学習者の制度を基に、適切なアドバイスや話し合いをすることになります。

また、介護の日本語というと国家試験に合格することがゴールと思われがちですが、
そんなことはありません
国家試験受験の予定はないですが、学習意欲もあり施設で働きたいという方もいます。
そうした方のニーズとしてよくあることが
「記録が書けるようになりたい」
「介護の専門用語を学びたい」
などがあります。

このように介護の日本語といってもニーズは様々です。

ステップ3 教材分析、教材選び
学習者分析とニーズがわかったら、何を教えなければいけないかわかるのでやっと教材分析、教材選びに入ります。

ここが介護の日本語の一番厄介な所なのですが、教材がないことがあります。
最近では、介護の日本語の教材も充実してきていますが、それでも教える範囲を扱っている教材がない場合があります。

教材がない場合は腹をくくって自分で作りましょう
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いつもこのような流れでカリキュラムを作っています。

カリキュラムを作る際に、すぐに教材のことを考えてしまうかもしれませんが、教材を選ぶ前に、まずは学習者のことを理解することが大事だと考えています。
特に制度に関しては、知っていないとミスマッチな教育を提供してしまう恐れがありますので、一度自分なりにまとめてみるとスッキリすると思います。

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございます。

私が作った教材です↓↓↓










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