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タモギタケの“うまみ”の秘密

こんにちは(^^)ライターの松谷です。

今回ご紹介するのは、タモギタケの「うまみ」について!

そもそも“うまみ”とは?

私はこのコラムを書くまで、「うまみ」の本当の意味を知りませんでした。

「このきのこはうまみがある!」
「このうまみは昆布だしからとっています」
など、様々なところで「うまみ」という言葉をよく耳にしますよね。

何気なく使っているこの言葉、実はとっても奥が深いのです!

「旨み」?「うま味」?「うまい」?

「うま味」とは、グルタミン酸やアスパラギン酸、イノシン酸などによって生じる「味」の名前。
「うまい」(=味がおいしい)や「旨み」(=味のおいしさ)とは似て非なる言葉だとは知りませんでした!

さらに、「うま味」は英語でもアルファベット表記”umami”で表現され、世界共通の認識となっています!
なぜ日本の言葉がそのまま海外でも通用するようになったのか?
その理由は約115年前の1908年にまで遡ります。

「うま味」ができるまで①

東京大学の池田菊苗教授がうまみ成分(グルタミン酸)を発見し、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」に次ぐ5つ目の味として「うま味」と名付けました。
池田教授が注目したのは「だし昆布」。よく「おだしがきいていない」という言葉を耳にしますが、これは塩味でも酸味でもない、なんとなく違う味の感覚がしませんか?この「だし昆布」の成分にヒントを得て、「うま味」が発案されたのです。

日本人の繊細な味覚が、この「うま味」を見つけられた秘訣かもしれませんね。

「うま味」ができるまで②

しかし、当時海外では「うま味」はなかなか受け入れられませんでした。というのも、ヨーロッパを中心とする西洋文化圏では、「うま味は酸味と塩味を足したもの」と思われていたからです。
また、西洋と日本で決定的に異なるのが「水の硬度」。主に日本で使用される軟水はだしが出やすい反面、ヨーロッパを中心に使用されている硬水はなかなかだが出ないのです。

2000年、味を感じる細胞である「味蕾(みらい)」にグルタミン酸受容体が発見されたことで、うま味の実在が世界的に広く認められるようになりました。

「うま味」に関する小ネタ

また、ここからはちょっと小難しい話になるのですが、お付き合いください。

うま味の倍増効果

うま味にはグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸など様々な成分があることをお話ししました。
実は、これらの成分は多くかけあわせるほどに「うま味」が強くなることが分かっています。
例えば、グルタミン酸はチーズや海藻、味噌、醤油に多く含まれており、イノシン酸は肉類やカツオなどに含まれています。さらに、きのこ類に多く含まれているのはグアニル酸です。

昆布(グルタミン酸)と鰹節(イノシン酸)の「合わせだし」は、誰もが好きな味ではないでしょうか?
同様に、きのこの入ったお味噌汁や、醤油をつけたお刺身にうま味を感じるのは、色々なうま味成分が入っているからなのですね。
うま味成分が1種類でも多く入るように献立を考えるのも楽しいかもしれません♪

タモギタケとうま味の関係とは

さて、タモギタケに話を戻します。タモギタケはきのこなので、グアニル酸が多いのかな?と思われた方も多いと思います。

しかし、タモギタケは「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」など様々なうま味成分をバランスよく豊富に含んでいるのです!

以下のグラフをご覧ください。
ブナシメジや干しシイタケが偏ったチャートなのに比べ、紺色のタモギタケのチャートはどれもバランスよく含まれていることが分かると思います。

紺色のチャートが「タモギタケ」を示します

※ 出典:株式会社スリービー
    『キノコの化学・生化学』(p.149, p.154)/学会出版センター

この最強バランスから、タモギタケについた別名は「だしの王様」。お鍋に入れるだけで、とっても複雑で繊細な味わいが楽しめます(^^)
わたしも、初めて食べたときは「今までに食べたきのこと違う…!」と驚きました。このあたりは、また別の機会に書かせていただこうかと思っています。

北海道や東北地方など限られた場所でしか栽培されていないので、関東や関西などに在住の方はスーパーマーケットで見かけたらラッキーかも!?
この機会にぜひ、「だしの王様」を味わってみてはいかがでしょうか?

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
次回のコラムもお楽しみに♪
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