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小学校の同級生とゆく宝石の釧路
白樺の間をびゅんびゅん走る車には、6歳で知り合った仲間が5人集まっていた。
5人乗りの車に、5人分の3泊の荷物を詰め込んで、ぎゅうぎゅうの車内に流れるのはあの頃歌った合唱曲。あの頃見てた、アニメの主題歌。
北海道は釧路、たんちょう空港に来た。
たんちょうとは鶴のことで、むかし、原田マハの『さいはての彼女』を読んだとき、バリバリの女社長が仕事をすっぽかして北海道の女満別で鶴に出会うシーンが忘れられなくて、北海道に来るたびに、あの小説の温度を思い出す。
人間、必要な挫折もある。つらい時にこの寒さが私を包み込んで、教えてくれる気がする。
私にとっては二度目の釧路。
粉雪に興奮して、鼻の中を凍らせるような冷たい空気にワクワクした。
標茶にある大親友の家は職場まで徒歩30秒で、3LDK。
一人で住むには寂しいような部屋に住んでいる。
この部屋の彼女と私は幾度となく電話をして、何度もお互いの近況報告をしてきた。
今日は、一人じゃない。
箸が転げても笑けるくらいの距離感で、13年前の感覚を蘇らせる。
中学に上がった瞬間になんとなく他人になってしまった私たちが、私の何気ない、8年越しの真優んち行こうよで再集結する。
正直真優がいなかったら道東の、こんなド田舎に遊びに来ることは一生なかったと思う。そういう私だけの出会いを積み重ねていきたい。
小学生の頃の私は、1クラス14人の、あの中の誰かとこうやって、道東のSLを見ながらサウナでととのったり、湯あみ着を着て阿寒湖のそばのインフィニティ―プールで犬かきをしたりするとは、まったく思っていなかったはずだ。まして朝まで家のカラオケで踊りあかすとは、あの日食べた鍋の中に、麻薬でも入っていたんじゃないかと思うほど可笑しくて最高の夜だった。
夢みたいだった。
小学生のころ、私たちは同じ授業を受けて、グランドタイムには全員でドッジボールをした。放課後はどうぶつの森をして、外で走り回って遊んだ。日常の中で起きる出来事のほとんどをお互いが把握していた。
いまは、互いが日々どんなことを考えて何を好きで、何に悩んでいるのかわからない。
仕事をしているときはどんな顔をしているんだろう、どんなお店でデートをして、どんな言葉で好きな人たちに声をかけるんだろう。
それでも一緒に過ごしていると笑い方や記憶力やあほな発言、すべての行動の中に私の知っている要素があった気がする。
知らない部分の方が多くなったのに、変わらないことばかりが目に付く、小学校の同級生とは恐ろしいものだ。
そうやって大人になってしまって、懐古する気持ちが溢れて止まらなかった。
私達は誰も特別ではない。
でもこうして集まれて、あの頃みたいに笑えることは一つの奇跡で、私たちにとっての特別であることに変わりはない。
この日みたいな思い出がある人生にしてくれてありがとう。
あの6年間は宝石みたいだったね、ね
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