見出し画像

レヴォリュ美術館の地下 ある専門家の日記よりと休む

 私が海外漫画を読み始めたきっかけは、メビウスとホドロフスキーの猫の目を読んだことだ。そして、私が海外漫画に興味を惹かれたのは、ルーヴル美術館のBDプロジェクトが影響だ。当時、日本からも荒木飛呂彦や谷口ジローがこのプロジェクトで漫画を出版するという話はなんとなく把握していたがそれ以上に興味を惹かれることはなかった。しかし、改めてメビウスとホドロフスキーというBDの正門から入ってルーヴル美術館BDプロジェクトを見ると、それはとても興味深いプロジェクトであることに気付かされた。それは、「ルーヴル美術館」という共通のテーマに従って欧州や日本の漫画家が作品を作っているという点、参加しているBD作家をおうことで現代の著名なBD作家を追うことができる点、ルーヴルが漫画を芸術としてとらえている点などがあげられる。

 本作品はそんなルーヴル美術館のプロジェクトの1冊だ。

 以前、わずか3秒間に起こった出来事にフォーカスした、その名も「3秒」という作品を紹介した。本作品は「3秒」と同一の作者である、マルク=アントワーヌ・マチュー(外国人の名前の「=」や「・」はどのような使い分けをしているのだろう)の作品だ。「3秒」もかなり前衛的な作品だと感じたが、本作品も少し前衛的な雰囲気がある。

 本作品のストリーは、レヴォリュ美術館と呼ばれる(他のにも色んな呼び方がされている)美術館の調査にあたる専門家の話だ。

 本作品は、3秒という極めて短い瞬間を拡大していた「3秒」と異なり、おそらく数十分、数時間の出来事が、数日、数十日に引き伸ばされている。作者は「時間」というものに興味・関心があるのだろうか。

 専門家は、外壁、地下の回廊、保管庫、美術品の修復工房、資料室など美術館の色々な部屋を回って記録をとっていく。

画像1

 相変わらずマルク=アントワーヌ・マチュー独特のグレースケールがかっこいい。白黒ではあるが、単純な白黒ではなく丁寧に彩色されている。こういうものを見てから日本の漫画をみると(どちらが良い悪いという話ではないが)日本の漫画が少し空白が多くスカスカに見える。


画像2

 この絵画の入子構造のところも本作品の見どころなので、是非本作品を実際に手にとってこのページ以降を見て頂きたい。

画像3

 絵画と漫画の連続性を示唆する場面もある。これも本作品の見どころ。海外漫画のうちバンドデシネを読んでいて思うのは、バンドデシネの作家は絵画の歴史の中に位置づけ得るのではないかと感じている。

画像4

ここで掲載されている絵は。まさかのコラボが実現している。少し胸熱だ。

今後もルーヴル美術館BDプロジェクトの他の作品も紹介していきたい。アート好きな方やよく美術館に行かれる方はこのあたりから読み始めるとバンドデシネや他の海外漫画を読み始めるキッカケになるのではないかと感じている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?