イギリス🇬🇧扶養家族（Dependant）ビザ取得＊その1【駐妻奮闘記:渡英準備編】

2024年8月11日 06:46

いま、ロンドンにいます

齢28、信長理論なら人生の６合目。ひょんなことから旦那と２人、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国のロンドンで生活中。南北に縦断する橋は作っていないものの、こんな珍しい体験逃すわけにはいかない！とチャンスに飛び乗った結果、現在に至ります。

皆さんは、海外での生活を想像したことはありますか？大学生にもなると、留学、帰国子女の同級生、海外旅行やらで、少しずつ身近になってくる海外。個人的には、「海外に住む」となると、上流階級の選択肢というイメージありました。誠に残念ながら、夫は汽水域を遊泳中ですが、案外転勤や研修で海外生活という選択肢は大いにあり得るようです。

私も夫も、卒業旅行を除けば常に日本在住。これ即ちロンドン生活のすべてが新鮮です。Twitter（現X）でも、やれ「日本はここがダメ」「海外だったら～」と宣う知識人で溢れかえっていますが、海外生活の現実はそんなに良いものなのでしょうか？パンピー目線の海外生活の実態を明らかにすべく、我々は大英帝国の首都ロンドンを目指す。

無論、こちらでの生活は、謎だらけ。査証、交通、銀行口座、住宅、WiFi契約、公共サービス、などなど、毎日がはじめて記念日です。問題が発生するたびに、恵まれた温帯湿潤気候島国箱入りジャパニーズは、現代の叡智、インターネットに超依存。インターネット、ラブ。一方で、あらゆる個人ブログを縦横無尽に掘り返し、情報の日付に一喜一憂し、ようやく５割の確信を持てる、というのが実態です。

せっかく、ロンドンで過ごしているわけですから、いつか同じように、ロンドンやヨーロッパに来る人たちのために、いつかタメになるかも情報をまとめておきたい。そして、海外生活を夢見るあなたに現実を教えたい。

今回はまず、査証、いわゆるビザ取得体験記。特に扶養家族ビザ/配偶者ビザに焦点を当てています。英国の査証制度はしょっちゅう変わり、なおかつファクトチェックは適度なもの。内容を過信することなく、人の日記を盗み見る気持ちでいてください。

日本のパスポートを所持して英国に入国する場合、基本的に６か月以内の滞在に関しては、観光入国として査証は不要とのこと。それ以上滞在する場合には、イギリス政府が海外からの移住を管理するために、査証入手が必要になるわけです。

私たちの場合、夫は英国の大学院生として、私はその配偶者として、それぞれ「Student」と「Dependant（扶養家族）」という区分で査証を取得しました。
流れは大きく分けて以下の通りです。

実際のタイムライン

⓪ 必要書類を事前準備
① インターネット上で申請・支払い（6/25）
--６月末日に賃貸契約更新時期の関係で転居、お互い実家住の別居状態へ--
② ビザセンターで指紋・写真登録を実施（夫7/4 妻7/24）
--英国政府審査---
　夫 7/11査証認証メール
　　 7/12パスポートがセンターに返却
　妻 7/26 追加書類提出依頼メールを受領、提出
　　7/30査証認証メール
　　 8/3パスポートがセンターに返却
③ パスポートを取り返す(夫7/13 妻8/7)
④ 渡英(夫8月1日妻9月15日)
⑤ 英国でBRPカードを受領（※）（夫8月2日、妻9月18日）
※BRPカードは2025年より電子査証（eVisa）に移行するため、今後は消滅の見込み

個人的な経験に基づく

今回は上記①まで、主にインターネット上の申請手続に関してになります。

また、渡英前の2023年1月あたりに、英国政府から急に、「移民抑制のため、海外留学生の扶養家族査証の発給を2024年から取りやめる」との発表。よもや私だけ１年で強制帰国、まして今年分のビザも通るのか、不安でいっぱいの中、人生初のビザ申請。

書類を準備

必要な書類に関しては、インターネット申請提出後に詳細に表示されますが、取得に時間がかかるものもあるため、事前準備がおすすめ。

パスポート・・・現物が必要。申請中はビザセンターに預けることになる。
CAS（Confirmation of Acceptance for Studies）レター・・・夫の入学先が発行する、入学許可証明書のようなもの。
婚姻関係を証明できる書類・・・戸籍謄本の写しをコンビニで取得。
財力証明書・・・滞在中の必要経費、生活費を賄える財力の証明。日本からの留学生は免除されているため必須ではないが、求められた場合に提出の義務があるため用意しておくと無難。通帳の預金残高等が一般的だが、今回は、不法移民ではないという信頼度を上げるために、夫の職場に発行してもらった滞在中の給与支払見込額証明（英）を提出。
語学力証明書・・・夫のみiELTSスコアを提出。不要っぽいが折角なので出す。
日本語書類の翻訳・・・「ビザセンター日本にあるし、書類日本語でいけるのでは？」と挑戦したところ、当然、申請後に「英訳をよこせ」とメールがきたので、戸籍謄本の英訳を追加提出。翻訳証明付が望ましく、急ぎの条件を満たす、くまざき「英語のコンビニエントサービス」を利用。紙１枚翻訳4,070円（当時、PDF発行料含む）で、PDFは依頼当日中に送付され、料金は郵送物を受領してからの後払い可能という、超絶優良サービス。

オンライン申請～大量の質問との闘い～

一番しんどい。
まず、英国政府のHPから、自分の査証区分に適する申請フォームを見つけ出す必要があります。さながら迷路。イギリス国内で申請する場合と、国外で申請する場合で全く別の申請ルートになります。

注意点として、[Family Visa]と[Dependant Visa]は似て非なるもの。前者は、英国民すなわちイギリス人の家族として滞在するための査証であり、学生あるいは労働者の家族として渡英する場合必要なのは、後者の扶養家族査証になります。

扶養家族査証リンクは、各査証項目内に存在しています。なので、メインの査証申請者、今回であれば[Student Visa]のページ内の、[Your partner and children]の項目を確認するようにしましょう。夫もこの罠に数回騙されていました。

私の英語戦闘力はたったの2。対して夫は、読む・聞くの能力だけが異常に発達した日本教育の賜物、53万なので、面倒な英語のタスクは夫担当。その夫が半狂乱になりながら二日を浪費。山のような質問、全て英語（当然）、人数分の個別申請、途中から修正不能になり最初から。さながらタチの悪い人生ゲーム。始めは英語の練習と意気込んでいた夫も、３時間後にはPCの自動翻訳で業務効率化DX改革を実施していました。

夫（学生ビザ）の質問項目

夫の学生ビザの質問内容は以下の通りでした。あまりにも大量なので、細かい事項は省略。

Select a country to provide your biometrics. 生体情報を提供する場所を選択=日本
Email
Telephone number　日本の番号でOK
Scholarships　奨学金の有無
Your name　君の名は
Any other names　旧姓等
Your sex and relationship status　性別、婚姻有無
Your address Is this address also your correspondence address?　家族との同居
How long have you lived at this address?　居住年数
What is the ownership status of your home?　居住形態持ち家？賃貸？
Previous address history　過去２年間の住居情報・居住期間
Your passport　パスポート情報
National Identity Card　パスポート情報。２回入力が面倒
Your nationality, country and date of birth　国籍
Have you provided evidence of your English language ability in a previous application?　大学院の選考過程で英語力の証明を提出したか
Spoken language preference　ビザセンターの人は日本語が堪能なので、日本語を選択して差し支えない
English qualification from a UK school　進学先の実績。謎の概念なので、リンク先から調べる
English language assessment　英語力を出願過程で提出したか
Does your Confirmation of Acceptance for Studies (CAS) statement indicate that your English language ability was assessed by your institution or that you are a ‘gifted’ student?　CASレターを確認。英語力の入学要件の充足について
Your current partner　配偶者の情報
Do they currently live with you?　配偶者と同居しているか
Will they be travelling with you to the UK?　配偶者と同時渡英か。Yesの場合、配偶者のパスポートを入力
People financially dependent on you　扶養家族の有無
About your dependant　扶養家族の情報
Give details about your parents 両親の情報、生年月日、国籍
Family who live in the UK　英国にいる家族の有無。２親等以内の親族、姻族に該当があれば記入
Travelling as part of an organised group　グループで渡英するか
Travelling with someone who is not your partner, spouse, or dependant　他人と渡英するか
Do you know where you will be staying in the UK?　英国での居住地が決定しているか。渡英１か月は大学寮に住む予定だったので大学住所を記入。Noと答えると、ホテルや居住予定に関して500語以内の説明を求められる
UK travel history　10年以内の渡英歴
Travel to Australia, Canada, New Zealand, USA, Switzerland or the European Economic Area in 10 years 10年以内の豪州、NZ、アメリカ、スイス、EU圏への渡航回数とそれぞれへの滞在期間。
また、過去10年間に他の国への入国歴があれば、それぞれへの滞在期間。
Your planned travel information　渡英予定日。査証有効期間設定のためなので、ある程度の日程があっていればよい
Immigration history　過去、査証拒否、入国拒否、強制退去を経験したことがあるか
Breach of UK immigration law　英国法を犯したことがあるか。
Convictions and other penalties　前科、罰則経験。自動車減点や注意等含む
War crimes　戦争犯罪への関わり
Extremist organisations and views　過激派組織・思想
Your employment history　政府職員、軍隊、インテリジェンスサービス、メディアに該当する職歴有無
Sponsor licence number and address　CASを参照。進学先情報
UCAS details　該当あれば入力
Academic Technology Approval Scheme (ATAS)　該当あれば入力
Future official financial sponsor　政府や企業から、学習のための援助を受け取るか
Course information　CASを参照
Accommodation payments　大学運営住居の場合、支払いが済んでいるか
Course fees　授業料
Student Loan　学生ローンの有無
Maintenance funds　学籍維持のために必要なその他のコスト
Additional information about your application　もし申告することがあれば、入力してよい

ここまで入力し終えることで、査証申請の際に必須な書類が表示。

パスポート

なお、日本は該当していませんが、アジア諸国に６か月以上居住していた経験がある人は、tuberculosis （TB、結核）の検査証明が必要になる可能性がある。

妻（扶養家族ビザ）の質問項目

夫と同じ質問項目に加えて、以下の事項が追加。
なお、メイン申請者の申請ナンバーを入力する欄があるので、夫のインターネット申請を完全に終了してから開始した方がよさげ。

Person you are applying with or joining　メイン申請者の名前
夫's nationality and date of birth 夫国籍
夫's passport details 夫パスポート
When are you and 夫 travelling to the UK?　夫と比較した渡英時期。Before? With? After?
夫's current UK immigration status　夫の申請番号
夫's application status　夫の査証状況。取得済みか、審査中か。
夫's Sponsor licence number, Course information, primary site of study, CAS, student loan　夫の項目参照
Does the support from the official financial sponsor also cover you? 夫が職場等から受け取る財政援助が、家族もカバーしているか。
Permission to stay as 夫's partner　永住権を既に取得しているか？という意味だと思われる。いずれにしてもNo.
Marriage or civil partnership certificate　婚姻または公的パートナー関係の証明書を提供できるか
Start of marriage or civil partnership　婚姻の開始時期
Was this an arranged marriage or civil partnership?　お見合い結婚か
Was this a proxy marriage or proxy civil partnership?　代理結婚か。片方または双方が式に居ない場合、代理結婚らしい。
Have you lived continuously together for the last two years?　過去２年間、同居関係にあったか。Noの場合、500字の釈明
Evidence of why you lived apart　別居中の婚姻関係を証明できるか。出生証明、休暇やパスポートで訪問した記録の提供。Noの場合、500字の釈明
Were you related to 夫 before you became partners?　婚姻前に夫と血族、姻族関係にあったか。
Married to or in a civil partnership with any other person 重婚の有無
Being married or in a civil partnership before　離婚歴
夫 married to or in a civil partnership with any other person　夫の重婚
夫 being married or in a civil partnership before　夫の離婚歴
Have you been issued with a UK visa in the past 10 years?　過去10年に英国査証を取得したか

メイン申請者よりも膨大な質問の果てに、必須書類が提示。

パスポート
Your marriage or civil partnership certificate　婚姻関係の証明書
Evidence of why you and your partner lived apart during the last two years　過去２年間の別居理由を証明する書類。こちらは反省点で後述

追加の必須書類として、さらに以下が提示。

Evidence of 夫's permission to enter or stay in the UK. Forexample, a visa if issued or permission to stay if already in if issued or permission to stay if already in the UK.　夫の滞在許可証。

夫と同時に申請しているので、追加必須資料を提出できるわけはないのですが、純真無垢な夫婦は、「夫の査証を取得してから、妻はビザセンターへいった方が良さそう」と判断してしまいました。だって、「以下の資料を提出しない場合、あなたの申請は処理が遅れたり、却下されたりします」って表示されたんですもの。今にして思えば、その時点で提供できる夫のパスポート情報等を提供すれば充分だったのかな、と思います。

オンライン申請での反省点

まず、事前に職場の先人たちから、直接情報を集めるべきだったな、と痛感。HPに表示される文言には、査証申請特有の単語も多いので精神的にも疲弊しますし、扶養家族ビザ廃止の噂もあったため、上記の「夫の滞在許可を示せる書類」等、HPに自動表示される無茶な要求にも、無理やりに従ってしまいました。「ひとまず挑戦してから不明な点があれば調べてみる」作戦を採用したのですが、扶養家族ビザの情報が少なすぎますし、不安は募るばかりでストレスは最高潮。

第二に、過去の住所、親の生年月日、海外渡航歴あたりは、親とのラインや過去のSNSを遡りながら入力する関係上、やり直しが苦行の極み。前述した通り、途中から修正が利かなくなることを踏まえると、やり直しは当然くらいの想定で、空で唱えられない情報に関しては、紙などにまとめておく方が効率的でした。

以下最後の二点は、少し個人的な事情。第一に、私たちが新婚夫婦だったこともあり、婚姻から査証申請の間がたった数か月。そのため、「過去２年間に同居していなかった期間があるか」への回答はYESになるのですが、そもそも結婚どころか付き合っていないだけ、というややこしさ。そのため、必要書類の３点目に関しては、婚姻関係の証明書を使用することに決定。どうか、偽装結婚と思われませんように。

最後は、引っ越しの時期です。賃貸マンションの更新時期の関係で、査証申請を終了した後、すぐにマンションを引き払いそれぞれの実家へ。別居期間があると諸々言い訳を書かなくてはいけなかったので、結果的に嘘をつく必要はなくラッキーだったのですが、海外移住前って、ほぼ全員引っ越しとか立て込むと思うんですけどね。郵便局に転送申請を行い、盤石の体制を整えましたが、ビザセンターとのやりとりは全てメールだったので、電話番号や住所をそこまで気にする必要はありませんでした。加えて、婚姻関係証明書に戸籍の写しを使用したため、質問事項内で入力していた住民票上の住所と異なる本籍の概念が登場したので、海外のお役人に理解してもらえるか心配でしたが、結果的には問題なし。

巨額の支払い

やっぱ、上流階級様の選択肢ですわ！！！と、ここで強く実感。支払いは、以下の２回に分けて要求。

IHS（Immigration Health Surcharge）

日本の健康保険のようなもので、全員必須、人数分支払う必要あり。624ポンド/人/年（当時。今は更に値上がりして776ポンド）。夫のコースは１年間なのですが、コース前後に出入国の猶予期間が発生するため、実際には規定の料金より高く要求される気がします。ピッタリに合わなくても、過度に神経質にならない方がいいかもしれません。

申請手数料

全員必須。363ポンド/人。

査証申請二人分だけで、約37万円（当時１ポンド180円台後半）が吹き飛ぶわけです。加えて、パスポート写真代1000円、パスポート申請料16000円、夫の大学院代、英国入学前の語学学校代、飛行機片道、全て含めると、あゝ無情。夫の出費のみは職場都合ということもあり後日返金されるものが多いですが、それでも我が家からはうん百万円が家計から去ります。高等教育って高額だ。改めて、大学へ通わせてくれた両親に感謝。

IHSも申請料も、今まで山のように入力してくれた情報をもとに金額を自動出力してくれますが、ここで金額が誤っていると、今まで苦労した情報のどこが間違っていることに。かといって前に戻って修正、なんてものを許してはくれません。我が家は３回ほどここで振り出しへ。私ができることは「集中！！」と昭和の体育会系の応援をするのみでしたが、夫は回数を重ねるごとに明らかに精神が消耗しており、最後は深夜にノックダウン。翌朝リフレッシュした脳で再度失敗、４時間ほど格闘していました。

ビザセンター来訪予約と書類アップロード

支払いが完了すると、ビザセンターへの来訪予約ページへ転送。
平日朝8時から14時営業という、なかなかの尖り具合。ビザセンター自体、都内の来訪しやすい場所にあるので、自分が来訪できるスロットを予約。少し先の日程まで空きが無いこともあります。以前は、東新橋にオフィスを構えていましたが、2024年の5月に浜離宮の隣の辺に移転。一度、スロットを予約したあとも、キャンセル、予約し直しが可能となっています。

また、このページでは、前述の必要資料をあらかじめアップロードして提出することが可能です。ビザセンターでの資料印刷依頼については有料なので、間違いなくここでアップロードしておきましょう。

同時に、このページでは、Priority等の有料サービスを購入することができます。貴族の選択肢すぎて詳細は記憶していませんが、それぞれ審査期間を、５営業日に短縮できるらしい。もっとも、英国政府によれば、英国外からの査証の認定は通常３週間以内に決定されることになっているため、よほど、渡英までの時間が差し迫っている場合に利用する苦肉の手段でしょう。

他にも、書類チェックサービス、パスポート配送サービス、プレミアムラウンジ等も購入可能です。通常、申請時とパスポート返却時の計２回訪れるビザセンターですが、東京と大阪の２拠点のみにしか存在しないため、交通の便が悪い方は、パスポート配送返却の購入の価値はあるかもしれません（曖昧ですが15ポンド以上した記憶）。

おわりに

今回は、英国移住のための、「Student」「Dependant」査証の取得手続の一部、インターネット上の申請手続について、個人的な経験をもとに記載いたしました。
旅行会社によっては、代理で査証申請を行ってくれるサービスもあるそうですが、平気で数万円かかりますし、高額な海外移住、可能なところは節約したいですよね。
一度流れがわかってしまえば恐れるほどのことではありませんが、知らないって本当に損。ぜひ快適な査証申請ライフを。

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