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イタリアが好き、ミラノが好き

お客様との打ち合わせのあと、すっかり話し込んでしまい、気が付けば夜10時、お腹がすいて倒れそうだ。

でも地下鉄の階段を上がって、夜空をバックに真っ白にそびえるミラノのドーモを目にすると、その美しさに未だハッとして、ああ、自分はここに住んでいるんだ、という幸せをいつも再認識させられる。

イタリアでこの時間、レストランで”一人ご飯”は浮いてしまうのでドーモ広場の本屋の2階、セルフサービスの店ということになる。

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空腹に任せていつになくモリモリと注文してしまい、トレーを手に席につく。

係りのおばさんが配膳ワゴンを押しながらお客さんの残した皿をかたづけている。

ふと気づくと、一人のお婆さんが、その配膳ワゴンに下げた残りもののパスタの皿を勝手にとって、そのままテーブルについた。

”えっ?”
と始めは目を疑ったけど、彼女は全く周りを気にせず、そのいわば残飯を食べ始めた。ワゴンのおばさんはしばし、そのお婆さんをじっと見ていたけど、そのまま、ワゴンを押して去っていった。

お婆さんは、私の隣のテーブルの席。食べられもしないのに空腹に任せて頼みすぎた自分に後ろめたさを感じた。しばらくして、係りのおばさんがお婆さんの席につかつかやってきた。

”ああ、追い出されちゃうのかな”と思ったら、おばさんはお婆さんの前に新品のミネラルウオーターのペットボトルをトンと置いた。イタリアでは水は有料だから。
でも、お婆さんはいらない、というゼスチャー。係りのおばさんは「なんで。新しい水なんだから、とっとけばいいじゃない」と有無を言わせず置いて、またどこかへいなくなった。

私は黙々と食べながら、

”半分は食べきれないんだから、きれいに残して差し出す、いや、それは失礼か、テーブルに置いてゆけば、お婆さんが選択できる、でもだったら、明日のご飯がちゃんと食べられるようにお金を渡した方がいいのか・・・”

なんて悶々と考えていると、どこからかお客のおじさんが自分の肉料理を半分持ってきて、おばあさんのテーブルにまた置いていった。

しばらくのろのろとパスタを食べていたおばあさんは、結局、もともと半分しかなかったパスタだけど、残りの半分も食べず、立ち上がり、ゆっくり去っていった。

テーブルに残った新しい水のペットボトルと差し入れの肉料理の皿を見ながら、勝手な推測だけど、これはお婆さんの誇りなのかな、と思った。
私は、水をあげた係りのおばさんも、自分の皿を半分持ってきたおじさんも、それを受けなかったお婆さんにも、人間の強さを感じる

こういう人たちが私に自分自身を振り返らせてくれるから、どんなにイタリアに暮らすことが大変でも、ここにこだわってしまうんだろうな。日本でもこういう人たちは一杯いるのかもしれなくて、自分に余裕がなくて見えなかっただけなのかもしれないけど・・・

ミラノでは、カフェにいても、電車に乗っていても、日常的にこういう風景がくり広げられる。

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<記事 イタリア・ミラノ在住 池田眞美子>
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「ねぇ、日本を飛び出そうよ。17歳のあなたに伝えたいこと(2)」
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