第23話 怪談『アヤメ』(バス・お題「8月15日」)
これは学生時代に花屋でバイトをしている友人、絵里香さんから聞いた話になります。
その花屋は関西では有名なショッピングモールの入口近くにある割と小さめなお店でしたが常連さんが良く来てくれており顔馴染みの方もいたそうです。
インターネットにもショップを出していた為、繁盛していたそうです。
その時期、絵里香さん、無言電話に悩まされてまして、非通知で着信が1日に50件など入っており、かなり辛い思いをしてたそうです。
無言電話以外の被害はなく、警察に相談に行ってましたが、中々動いてはくれませんでした。
仕方なく、非通知を着信拒否にしたそうです。
8月入ってすぐの日トントン、トントン、トントンと家の玄関をノックする音が、時間を見ると朝4時。
これはついに来たなと絵里香さん思ったそうです。
今まで電話でしか被害がなかったのが部屋にまで来たかと、怖くなり布団にくるまって目を閉じていたそうです。
気づくと朝7時バイトに行く時間でした。
直ぐに準備し、恐る恐る玄関のドアを空けましたが、誰もいませんでした。
が床に花が1輪落ちてました。
アヤメの花かな?
絵里香さんはそう思いましたが、ストーカーが落としたかと思うと怖くなり、それを捨てバイトに出かけました。
それから玄関は叩くのはさすがにまずいと思ったのか、叩かなくなったそうですが、玄関でたすぐの床にアヤメの花が落ちていると。
店長が元気のない絵里香さんを心配したそうで、
「最近どうした?夜寝れないのかい?」
絵里香さん「はい・・・」
「心配事?」
絵里香さん「実は...」
とストーカーの事を話したそうです。
無言電話、扉のノック、アヤメの花がおちている事 。
「アヤメの花?どの種類?」
と言って花屋にある花を指差しました。
絵理香さん「これですかね」
「ああ、これはアヤメ科のモントブレチアだね。」
「そうか、ちょうどこの時期の誕生花だよ」
「絵理香ちゃん8月うまれ?」
絵理香さん「いえ」
「たしか…」
「8月15日の誕生花、誕生日に合わせて誕生花を送ってるつもりだったのかと思ったんだけど」
絵里香さん「8月15日の誕生花」
それを聞き、絵里香さんは3年前バイク事故で亡くなった彼氏の事を思い出していたそうです。
辛い事で絵里香さん必死にわすれようとしたそうです。
8月15日彼の誕生日だった。
8月の初めに彼は亡くなった、朝方4時あの、家の扉をノックした日に。
「彼、忘れないでいてもらいたかったのかもな」
8月15日彼の家に行き仏前で手を合わせてきたそうです。
それからは怪現象も起きなくなったそうです。