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第27話 怪談『一緒にいた子』(バス・お題『神隠し』)

私が小学校3年の時の事です。家の周りで遊んでいた、小学校5年生のゆりさんが忽然と姿を消した事がありました。

3日後無事に帰ってきたんですが、その当時はどこにいたのか記憶にないって言ってたんですね。

最近ゆりさんと話す機会がありまして、当時の事を聞く事が出来ました。

「あの時ね、本当は私、家出したの」

「そうだったんだ、どこにいたの?」

「近くに神社あったでしょ?
あそこの本殿のなかにいたの」

当時、こんな話だったそうです。

ゆりさんは家出の前日、母親とケンカをして、家出しようと考えたそうです。
前日にお菓子などを用意し、
次の日、母親が台所でご飯を作ってる時に、外に遊びに行くといい、庭にでて、辺りにひとけが消えたのを確認すると、庭を抜け、近くの神社まで来たそうです。
不思議と誰にも合わず、寂れた神社であったので、住んでいる人もおらず、本殿にあがり込んでいたそうです。

本殿の中は、しーんとしており、昼間でしたが、そんなに暑くもなく、過ごしやすい場所だったそうです。
少し寝ようと思い横になると気づくと夜になりあたりはもう真っ暗。
月明かりが微かに射して辺りが少し見える程度だったみたいで、横を見ると小学校低学年くらいの女の子がちょこんとおり、その姿は可愛らしく寝巻きみたいな浴衣を来て、スースーと寝息を立てて横になっていたそうで、
夜遅くな為、自分が家出した事も忘れ、その子を揺すり目が開くと
「大丈夫?もう夜遅いよ」

と言うと、にこーと笑い
「大丈夫だよ!」

と言われその笑顔と言葉から妙な安心感があり、それ以上聞かなかったそうです。

今度はその子からゆりさんのそでを揺すり
「遊ぼ」

「いいよ、何して遊ぶ?」

金魚の模様が描かれた巾着袋を渡され、その中には、おはじき、ビー玉、万華鏡が入っており、懐かしいなと感じ、その子とおはじきやビー玉で遊び、万華鏡を楽しそうに見てるその子を見てたそうです。
その子がそでから小さな、お饅頭を出してくれ、小さいのにそれを食べると不思議とお腹が満たされ元気になったと

朝になり、その子が
「おねーちゃん帰ろ」
とそでを引く、ゆりさんも家に帰りたくなっていた事もあり、きっかけが出来たと思い

「一緒に帰ろうか」

と言うとまた、可愛らしい笑顔で、にこーと笑い一緒に本殿をでて、神社の境内から下に続く階段を降りるとその子が、たたたーとまた階段を登り
「またねー」
と言うと神社に戻って行ったそうです。
ゆりさんは、そのまま家に戻ったそうですが、1日の筈が3日立っていたそうで、神社の事は親には言わず、分からないと言ったそうですが、実はそんな体験をしたと話してくれました。

「バスくん、あの子もしかしたら、あの神社の神様の使いかなにかなのかな?」

「そうかもね、いい神様の使いで良かったね。 」

「ねー、でも、あの子可愛かったし、あれより美味しいお饅頭は、今でも思いつかない」

と話してくれました。


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