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第66話 都市伝説『哭き女』(BJ・お題『悲しみ』)


世界の極秘情報・裏情報をBJに流してくれる外国人の男が、アマビエ様について漏らしたことがありました。(お馴染みの人なのですが、彼自身はオカルトを信じていないので、俺が言ったと言わないでくれと言われてしまいました)。

彼は日本で話題になっているアマビエ様の絵を一目見て、「あれ?これって、ベン・ニーァじゃん?」と言ったのです。


アイルランドを中心に広く知られるバンシーと呼ばれる妖精がおり、スコットランド地方ではそれがベン・ニーァという呼び名になるそうです。バンシーなら私も知っています。バンシーに出会えることは名誉だとされています。


アマビエ様についてですが、髪が長く、ウロコがあるなど、人のようでいて人と違うところがいくつかあります。バンシーも基本的に長い黒髪の小柄な女性で、地域の伝説ごとに異なる特徴があります。とくにベン・ニーァには赤い水かきがあるとされています。海や滝に関連があるとされることも多いのが、アマビエ様と共通です。また、アマビエ様もバンシーも、予言をします。


わたしは男に、アマビエ様の伝説を伝えました。


「アマビエ様は日本の妖怪で、江戸時代の瓦版に記載がありまして

肥後国海中え毎夜光物出ル所之役人行見るニづの如く者現ス私ハ海中ニ住アマビヱト申者也当年より六ヶ年之間諸国豊作也併病流行早々私シ写シ人々二見せ候得と申て海中へ入けり右ハ写シ役人より江戸え申来ル写也

弘化三年四月中旬

(「アマビエ様は海から現れて『この先、数年間は豊作が続きます。しかし…もしも疫病が流行したら、私の姿を描いた絵を人々に早く見せなさい』と言った」)

とされているんですよ」


男の人は言いました。「絵を見せなさいと言っているけれど、救ってあげるとは言っていないよね」


え?

そういえばバンシー伝説の元は哭き女だとされています。哭き女という職は昔から世界中にあり、現在ではアジアにいます。葬式のときに、泣く仕事です。実は日本にも哭き女はいました。日本神話にも泣沢女神(なきさわめのかみ)という神様がおり、それが昔から哭き女の仕事があった証拠だとされています。近年まで、哭き女の風習が残っていた地方もあります。

その後、とある地方の葬式で、哭き女に会ったという報告をくださった方がいました。今も実在していたようです。

そう、バンシーは人の死を予言できます。予言してどうするかというと、ただひたすら泣くのです。


『私の姿を描いた絵を人々に早く見せなさい』

というのは、「大量の死者が出るから、泣いてあげますよ」ということだけなのでしょうか?


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