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第13話 怪談『ラジオ』(バス・お題「夏」)

80年代の頃の話になるのですが、当時ミニFMという放送が流行した時があります。
今のツイキャスやネトラジとかとにているのですが、簡単にいうとFMラジオで弱い
電波を使って数キロくらいの限られた範囲で個人が放送を行い視聴してもらうことができる
ということですね。微弱電波のため、放送法で違法になりません。
かっこいいDJなんかも、沢山いたり、雰囲気にあった音楽を流したりと80年代の日本は楽しそうだなと思いますね。

会社に趣味でサーフィンを20年以上している香川さんがこんな話を仕事の休憩時間に話してくれました。 
夏が来ると毎週、行ってたんだよねー
海に行くとミニFMを流している、お気に入りのDJがいてね。
海の情報や今日の天気、天気に合わせての音楽、本当に楽しい放送してくれる人だったよ。

それ以外にもよく聞く放送も何件かあったようですね。その日は20時くらいに帰ることになったらしく車でラジオを聞きながら家に帰っていたそうです。
放送のチャンネルを合わせていたら、普段、聴かない周波数に放送があったらしく
香川さんは「誰か放送してくれているのかなー」とその放送を聴くことにしたそうです。
音楽がメインなのか何曲か音楽が終わった後にDJが喋り始めたそうです。それは確かこんな内容だったと。

「さて本日最後のはがきになります。私は団地に住んでいるのですが、目の前が小学校になります。卒業してもう10年経ってますが、その学校が怖くて仕方ありません、実は先日、夜中に学校の前を通りましたら、2階に白いワンピースを着ている女の人を見ました。
その女性だけ不思議に光を放っておりあれは人間ではないです。
明日も見るかと考えると怖くて仕方ありません、ラジオネームなるさんからになります」
そこまでいうとプッツと切れ、ザーという音しかしなくなったと。

気味が悪い終わり方するなと感じたそうでチャンネルを変えて気分のいい音楽を流している
放送を聴いて帰路に着いたそうです。

それから一年経ちまた夏の日、いつものように車で海から帰っているときに、ラジオをつけたら、「さて本日最後のはがきになります。私は・・・・」
最初は聞き流してしたそうですが、これは昨年と同じあの気味の悪い放送とまったく同じだと、気づいたそうです。
まったく同じ放送を流しているのかこれは何だと疑問がでてきたそうなんですね。
そんな、放送を3年連続で香川さんは聴いてしまったそうです。
気づいたのはその放送の周波数が毎回違うこと、その放送の範囲が明らかに移動していることつまり放送の基地局が動いていると、必ず8月の同じ日に1度だけ流れる事、そしてその放送、他のサーフィン仲間に聴いても
一切知らないということ疑問から段々、恐怖に変わってきたと語ってくれました。

それから香川さんは夏がきても、その海を避けるようにしていたらしく、その放送も、もう聴くことないと思っていたそうです。
実際、放送を聴くことはなかったそうですが、ある夜、家の近くを歩いていると知らない
男が急に頭を下げて「なるです。来てくれなかったんですね。」と言い通りすぎて行ったと振り返った時にはもうその男はいなく消えたように感じたそうです。後からその男の名前とあの不気味な話を語ったラジオネームが一緒だったことに気づいたそうです。

香川さん言ってました、「その男もしかしたら放送があった夏の日に学校で見た幽霊に連れていかれたのかもな、放送の場所が変わっていたのも俺をその学校まで呼ぶためのものだったら嫌だわ、疑問に思って深入りしなくて良かったわ」

その後からは奇妙な放送も変な男も見なくなったそうです。そしてラジオは今でも聴かないようにしているとのことでした。

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