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ドライブ

美容師のキタさん(仮名)から聞いた話です。

当時、専門学生だったキタさんは、友達数名の男女グループで、海に行くことになった。

ただ、地元は埼玉県で海がない。
そこで、千葉県の白浜海岸に向かうことになった。
深夜に車で向かい、朝から遊ぶ計画だった。

ここで、問題なのは誰が夜通し運転するかだった。
誰も、運転したくない。そう思っていると

「俺が運転するよ、運転好きだから」
そう言って、友達のAくんが名乗りを上げた。

キタさんは、Aに夜通しの運転は大変だから
本当に大丈夫か?、途中で交代するか?と尋ねたが

Aは「大丈夫! 大丈夫!俺、寝てなくてハイなんだよね笑」と答えた。
不安を感じたが、一同はAの運転で海岸に向かうことになった。


キタさんは、Aの運転が心配で何かあった時のために、1人で起きていようと思った。
皆は眠ってしまっていた。


鹿が出てくるような、真っ暗な山道を走っているとAは突然、凄いスピードでバックをし始めた。

キタさんは、「何やってんの?」と慌ててAを止めようとした。
騒ぎに友人達も起きてしまいパニック状態だった。

パニック状態の中、眠っていたBちゃんが突然起きた。

真っ直ぐ前を見つめながらポツリと
「廃墟」
とだけ呟き、再び倒れるように寝た。


キタさんは疑問に思ったが、それどころではない。

とりあえず、Aを運転席から降ろさなければならない。Aを説得して車を止めてもらった。
男友達と協力してAを運転席から下ろした。

キタさん「なんであんな事したの?」
A「分かんない」

Aはボンヤリしていて、このまま運転を任せるのも怖い。
その後は、キタさんの運転で海に向かうことにした。
キタさんは、バックした先をチラリと見た
そこには、洋館のような廃墟があった。

後日、改めてAにバックした理由を聞いても
「分からない」しか答えなかった。

Bちゃんに何故、前を向いていたのに、廃墟があることが分かったのか?と聞いても

「そんなこと言ってないよ?寝てたよ?」

と返されてしまった。
以上が、キタさんから聞いたお話です。


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